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第二章、〘飛び交う依頼〙

ギア17、協力すれば超強力!我ら、ギアヒーローズ!

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「皆さんにもし相棒がいたとしたら、どんな相棒ですか?私?私はですね…まぁ、野次馬が凄い博士ですね……えー前回のあらすじ。前回、[元宮モトミヤ 成也ナルヤ]改めコードネーム[マイナス]、またの名を、ギアヒーローエヴォ。彼は謎のジャアクギアヒーロー、フォリカと再度巡り会う事となる。彼の中に宿った想いは、自分と気があったお化け屋敷のスタッフ、ハルナさんを怪人に変貌させたフォリカへの怒り。そして彼が手に取った白きギアの正体は?そして、ジャアクパラポネラと戦うダヌアとクイップの命運は?さぁ、乞うご期待。」

「…形態変化フォームチェンジ!!」
エヴォは白く光るギアをベルトの右スロットにセットする。
[獣王!GO GO!獣王!GO GO!]
獣王・・…?」
フォリカは右で持っていた剣を器用に回しながら、エヴォの様子を伺う。
「…ハァァァ……ハァッ!!」
両手に力を溜め込み、一気に力を解放するようにベルトの両サイドを押し込む。
[TRANS FORM.]
その瞬間、ベルトの画面から白いライオンが現れる。
「あー!ライオンだ!」
「…慣れないギアだけど……やるしかない!!」
[Rising! Fighting! Justice!]
[正義の戦士!白き鬣!真の戦士!爆ぜる雄叫び!
その道切り開く、歴戦の獣王ッ!!
その姿はまるで、流星の如くッ!!
その戦士の名は、白獣王、ホワイトライオォォンッ!!]
エヴォはライオンに正面から抱き締められ、その瞬間ライオンの身体のパーツが一瞬でバラバラになり、エヴォの装甲となる。
[白き王者 THE HENSHIN.]
「…さぁ、最高の負けイベントを始めようか!」
エヴォの姿は白いライオンの如く、白銀の装甲を纏い、手足の爪は鋭く、歩く姿はまるで優雅な王者の様。
「へー…じゃあ名前負けしてるって思えないくらい、楽しませてね!☆」
フォリカは超スピードで白いエヴォに接近する。しかし、エヴォは先程と打って変わり、サッ…と攻撃をいとも容易く避ける。
「…フフッ、楽しくなりそう!!☆」
「…ハァッ!!」
エヴォの腕に着いたクローのアタッチメントが展開する。そしてフォリカの双剣による猛攻を全て受け流す。
「…白銀獣王斬はくぎんじゅうおうざんッ!!」
「おっとと…?!」
エヴォのホワイトタイガークローは光を纏い、フォリカに向けて6つの斬撃の波動を放つ。流石の彼女も本能的に危ないと思ったのか、攻撃を真正面から防ごうとせず、瞬間移動で間一髪波動を避ける。
「…面白い♪ホンッットーに面白い♪楽しい!☆もっと殺ろうよ!!☆」
「…まだまだ行く…ぜッ…!?」
その時、エヴォの体に異変が起きる。なんと、体に電撃が走り、そのまま強制的に変身が解除される。
「え?えー…?もしかしてタイムリミット?つまんなーい。」
「…やっぱ、慣れないとダメでした……へへっ……終わった……」
マイナスは使い慣れないホワイトライオンのギアを使った為、体が追い付かず拒絶反応を起こし、ベルトが緊急停止したのだ。彼は重度の全身筋肉痛のような状態となり、身体が動かなくなる。
「…トドメ、刺さないと……」「…そりゃそーなるよね……畜生……」
フォリカはゆっくり近づき、マイナスの首に目掛けて双剣を振り落とそうとする。
「…ッ?!」「…?」
その時だった。フォリカは何かに気が付いたのか、マイナスから距離を置く。その次に目に映るものは、先端にサソリの毒針の様な物の付いたムチだった。
「父さん!!大丈夫ですか?!」
「…また、逃しちゃった……」
フォリカは静かに呟き、ワープホールの様なものを展開して吸い込まれていった。
「…エヌ……マジさんきゅ……」
「言ってる場合ですか……ほら、ギアヒーローの緊急停止による筋肉痛は一瞬ですから……ハルナさんを助けますよ!」
「…ハルナ…さん?……あ、ハルナさん!!」
マイナスはクイップが指差す方向を見つめる。そこには腕の銃口をこちらに向けたジャアクパラポネラがいた。
「うおったァアブねえーッ!?」「アレはパラポネラ!通称弾丸アリの異名を持つアリの仲間です!あの弾丸に一発でも当たったら危険です!気をつけて!」
クイップはクロサイシールドで弾丸を防ぐ。マイナスは生身でさっきの痛みが嘘のように猛ダッシュして避ける。
「お、おー分かった!ってかなんで痛くなくなった…?」「ギアヒーローは遺伝子を操ることが主にできること。ダヌアやエヴォみたいな人体に影響する機能だと、その遺伝子を完全解除するのに痛みを伴うんです…というか早く変身しッー!?」
マイナスに容赦なく無数の弾丸が撃ち込まれる。砂埃が渦を巻き、マイナスが見えなくなる。
「と、父さぁぁぁんッ?!」
「…簡単に言えば……自らの意思で解除してる訳じゃないから、身体に合わない遺伝子が死滅する時がめっちゃ痛ぇってことだろ?」
砂埃は去り、しかしそこにマイナスは居なかった。そしてクイップの後ろに、右サイドにディンゴギアをセットしたいつものエヴォがいた。
「…そーいや、ダヌアは?」「…あいつに対抗するため、策を練っています。僕達は、その時間稼ぎ…と、言うわけです。」「…なるほど。じゃあ、やるだけやれって言うわけね。」
ジャアクパラポネラは先程と変わらず黙ったままで、再度二人に銃口を向ける。
「…例のアレ・・・・、やります?」「いや、まだダヌアがいねぇよ。一発目は三人でやろうや。二発目以降は単体でも。」「…こだわりますね。流石は僕の父さん。」
二人は一緒に笑い合い、たった一人の敵に牙を向ける。
「さぁ、最高の負けイベントを始めようか!」
「It’s SHOW TIME!正義の歴史に名を刻め!」
三人は勢いのまま激突する。ジャアクパラポネラは弾丸を無数に放ち、エヴォはディンゴギアの持ち前のスピードで避け、クイップは強固な盾で身を守りつつムチで応戦する。
「むぅ…クイップもハルナさん(暴走状態っぽいケド)も攻撃し合っててスゲー…俺は手が出せない……あ、そーいやマスタフォンで何かあるんじゃ…」
エヴォはサッサッサッ…と攻撃を避けながら、指でサッサッサッ…と画面をスライドする。
「…あ、これ使えるんじゃ…!」
画面に映ったアイテムをタップし、音声と共に武器が呼び出される。
「おっとっと…!」[ギアチェーンブレイカー!]
エヴォの手元に、そこそこ重量のあるチェーンソーが召喚される。エヴォは「よしっ!」と頷き、ジャアクパラポネラの銃弾の雨がリロードにより一旦止んだ時、そのチャンスを見逃さないと言わんばかりにコガネグモギアを左サイドにセットする。
「フォームチェンジ!」
[TRANS FORM.]
[ディーンーゴォ…コーガーネェ…最高速度の糸巻き職人……]
[コガネディングモ THE HENSHIN.]
「…今回の変身音は……糸巻き職人ダサすぎ32点。」
弾丸の雨が再度降り注ぐ。エヴォは雨を避けつつギアチェーンブレイカーの持ち手に高い強度を持つ糸を巻き付ける。
「よし、準備完了!喰らえ我流必殺…!」
[チェーンブレイクバスター!]
蜘蛛ノ危険縫スパイデンジャーダタイフーンッ!!」
ギアチェーンブレイカーは弾丸を弾きながらジャアクパラポネラに目掛けて刃を向ける。しかし、パラポネラの装甲はとても頑丈。チェーンソーの刃は右手で掴まれ、左手に残った銃口をエヴォに向ける。
「…そりゃあ我流だから防がれるわな。それ分かってやったんだよ…俺も攻撃出来ればもうひとりがフリー・・・・・・・・・・・・・・・・・だからな!!」 
「…?!」「後ろですよ!!」
クイップはシールドを両手で持ち、思いっきり角で頭を殴打する。その威力には耐えられなかったのか、ジャアクパラポネラは思わず膝をつく。クイップはギアチェーンブレイカーを回収し、エヴォの元に駆けつけて武器を返す。
「はい!ナイス連携でしたよ!」「まだ単純なヤツだけど…でも、前よりはちゃんと連携出来てて成長感じる…なんか楽しい…!」
二人はキャッキャッと楽しそうに会話する。ジャアクパラポネラはその二人に弾丸をぶち込もうとするが、瞬時に反応して回避する。
「っしゃ!この調子で、ダヌアを待ちますか!」「はい!」

[遊園地の大広間]
「…クロカタゾウムシ、トウブモグラ……あと…必要なのは……コイツか……」
[ウスバカゲロウ-アリジゴク!][遺伝子、魔改造!]
「…あとは身体が馴染むまで……早く…アイツが持ちこたえている間に…エヴォももし合流して交戦中なら尚更…頼む…間に合ってくれ…!」

[メリーゴーランド]
「オリァリャリャリャーッ!」「よっ、あらよっと、…そこだッ!よっしゃ狙い通り!ってあぶねっ?!」
クイップは盾で弾丸を防ぎつつ毒針付きのムチで攻撃を続け、エヴォはディンゴのスピードで弾丸を避け、コガネグモの器用さを利用し、ギアシューターで的確な命中率を保ったまま撃ちつつ応戦する。
「父さん!気を抜かないで下さい!パラポネラはいつも戦ってるようなジャアクカルマのベースと比べて凶暴な方なんですから!」「分かってるけど攻撃が当たったら楽しいやん!」「否定はしませんけど言ってる場合ですか?!」
仲の良い(?)論争を繰り広げつつも、確実に攻撃を当て続ける二人。ジャアクパラポネラは僅かながらもダメージが蓄積されていく。最初の頃と比べて装甲には傷が付き、少しボロボロになっていた。
「お、よーく見たら、ちょっとだけダメージ入ってる感じ?」「…っぽいですね!でも、このペースだと日を超しますね…やはり、ダヌアを待つ方が得策ですね…」
二人は少し攻撃を緩めた時に来た弾丸を華麗に避ける。
「おっと…!休憩する暇も無いってか…」「そうらしいですね。父さんの時代にあったあのゲームの作戦で言うなら…ガンガンいこうぜ・・・・・・・・…ですね!」
拳を握ってガッツポーズを取り、そして2人は微笑む。
「…しゃあッ!!じゃ、ガンガン行かせていただきやすッ!!」
[必殺!]
クイップはエヴォの必殺待機音声を聴き、なら自分もと言わんばかりにスロットのクロサイギアを回す。
[Are you ready?]
「「はァァァ……!!」」
[必殺!]
[[カルマ!]]
2人は飛び上がり、ジャアクパラポネラに向かって足の平を向ける。
[コガネディングモ!エヴォストライクフィニッシュ!]
エヴォは8本の蜘蛛の足を右足に1点集中させ、3本の隠してたディンゴの爪は鋭く伸び、総計11本の槍はエヴォの足をサッカーシューズの様にする。しかし、それとは比べ物にならないほどの強靭かつ凶悪なサッカーシューズとなっていた。11本の槍は頑丈な糸で固定され、それが更に凶悪さを増していた。
[Great![クロサイシールド!][キョクトウサソリムチ!]クイップフィニッシュ!]
クイップはサイの角が3本飛び出た盾を足の平に装着し、毒針の付いたムチは足にグルグルと巻き付き、先端の針は盾を貫いて4本目の角として姿を現す。たった1つの角から発生した猛毒は盾を蝕み、残り3本の角も毒の角と化す。
「セイヤァァァーッ!!!」「おぅりゃぁぁぁー ッ!!!」
「…!」
装甲を破壊せんとばかり、二人の必殺キックはジャアクパラポネラに直撃する。しかし、黒い装甲は少しヒビが入る程度で防がれてしまう。
「うぃ…ッ?!もしや俺ら、しくった…?!」「これは…相当……マズイですね…ッ?!」
片腕で防がれた必殺キックは、徐々にその勢いを落としてしまう。二人はもう片方の腕の銃口を向けられた瞬間、「これもう終わった」と半分諦めムードとなっていた。
「…ふ、ふふふ…ハハハ……」「…え、クイップ?もしや、もう全部諦めた?」「…いえ、逆です…」
その瞬間、ジャアクパラポネラはとてつもない速さで地中に埋まる。そして、2人は完全に必殺キックの勢いが消えた為、すぐさまジャアクパラポネラから距離を置く。
「おーっととと!…ありゃあ何だ!?」「何って、父さん、思い当たるのは1人しかいませんよ!」
エヴォのすぐ横の地面が盛り上がる。そこから出てきたのは…
「…待たせたな。あとは…任せろ…ッ!」
[クロカタゾウムシ!トウブモグラ!ウスバカゲロウ-アリジゴク!][遺伝子、魔改造!]
黒光りした強固の装甲、発達した爪、頭に付いた強靭なハサミ。そしていつもと違うのは、複眼が完全に黒塗りで、ダヌア自身も目が見えていないようだった。
「…匂い…近くなっている……そこかッ!!」
「…?!」
少し尖った鼻をピクピク動かし、瞬時にジャアクパラポネラの居場所を的確に当てる。地面から脱したジャアクパラポネラはとてつもない速さで近づいていたが、その際の攻撃を難なく防ぐ。
「ンー…?なぁクイップ、もしかしてアイツ、目ェ見えてない?」「…らしいですね。おそらく、トウブモグラの欠点である、[目が見えない]という特性を取り込んだのでしょう。ダヌアの能力は、沢山の能力を取り込めてかつそれらを誰よりも適合させることが出来るというものですが、逆にそれは、欠点を取り込む場合があるということですから。」「はへぇ…難しい…」
近接攻撃は無理だと悟ったジャアクパラポネラは、ダヌアに向かって弾丸を数発放つ。しかしダヌアの装甲は、世界で最も硬いとされる、クロカタゾウムシの装甲。弾丸は全て弾かれてしまう。
「残念だったな。そんな貴様に、更なる絶望をやろう。アリジゴクは、毒が効かない・・・・・・。つまり、貴様はもう詰みだ。」
[必殺ノ刻]
ダヌアは土に再度潜り、ジャアクパラポネラの真下でベルトの両サイドを内側に押し込む。
「…行くぞ。」
[ドープノンパレイルアタック。[クロカタゾウムシ・トウブモグラ・ウスバカゲロウ-アリジゴク]ダーク・ネス・アメイン!]
ジャアクパラポネラはダヌアの手によってまた地に埋まり、今度は腕も全て飲み込まれる。
「はァァァァッ!!!」
アリジゴクのハサミでジャアクパラポネラは捕まり、ダヌアと共に地面へ潜り込まされ、地中で大爆発が起きた。
「うぅあああぁ?!震度5弱くらいの地震ッ!!めっちゃドキッとしたッ!!」
そして地面からは、眠ったハルナとそれを抱える、いつもの姿のダヌアが現れた。
「…やりましたね!父さん!」「お、おぉ…ダヌア、強すぎん?」「…まだ安心するのは早い。アレを見ろ。」
ダヌアはゆっくりハルナを降ろし、ある方向を指さす。
「…げぇッ!?ジャアクロイド?!めっちゃいるじゃんッ!」
指さした方向には、総勢1万程のジャアクロイドらが、こちらに進軍してきていた。
「…あ!2人とも!こういう時にこそ、アレ・・、やりません?」「え?アレ?」「なんだ、提案者が忘れたのか?」
エヴォは「あ!」と何かを思い出し、相槌をする。
「…よーし!皆!行くぜ!!」
「はい!」「あぁ…!」
「ギアヒーロー、エヴォ!!」「ギアヒーロー、クイップ!!」「ギアヒーロー…ダヌア…!!」
3人は各々ポーズを決め、そして息を合わせて声を張る。

「「「我ら、ギアヒーローズッ!!!」」」

次回ギア18、負けない三つの意志!

おまけ
「ぬぅあーにがぁ…?スゥーッ白ぉき王ぅ者どぅだァァ?!まだワシが作った…変身音の方がイケイケのイッケーじゃろぉーがぁ!!!」
「…イチゲンさん、ところで、その変身音とは…?」
「ん?これぇ。」
「…[ホワイトニング、白ヘアーはまるで生まれ変わった歯のよう]…へ、へぇー、なかなか独特で素晴らしいセンスですねぇ…ハハハ…(だ…ダサい!!ダサすぎる……!!!最悪です……た、助けてください……ナルヤさん…ッ!!)」
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