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第一章、〘運命の歯車〙

ギア4、あいつの失態ふざけた失敗?

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「前回、ギアヒーロークイップはジャアクボクサーを倒すことに成功する。そして、成也(ナルヤ)はギアヒーローになると言ってしまう。ということは今回こそ、成也のギアヒーロー姿を見ることが出来るのか。ぜひお楽しみに。では今回は少し速めに始まります。決してネタ切れではないので。…はい。では今回も、始まり始まりー。」

成也の家
「…これが、契約書とトランスギアだ。」
穴闇(ナグラ)は文字がギッシリ書いてある一枚の紙と、謎のケースを成也に渡す。
「う~ん、まぁ契約書は分かるけど、トランスギアってなんぞや?」
「僕が変身する時に使ったこれです!」
真大(ナオタ)はクイップに変身する際に使ったベルトを持つ。
「へぇ、そういえば、さっき言ってたブラックとエヌって?」
「いわゆるコードネームだ。カルマギアにも色々あってな、物や変身者によっては本名がバレると危険な奴もある。俺はブラックで、こいつはエヌだ。」
「あー、契約書にあるコードネーム記入欄ってそういうことかぁ...というか何の為の契約書?」
「戦いから逃がさないためです。」
「oh...」
結構な言葉を受けた成也だった。
「まぁ、言ったことは守らんとな…コードネーム…何にしよう…乗り気じゃない、下の方、下、マイナス…マイナスだな!」
「適当過ぎません⁉」
「ブラックとエヌも大概やべぇよ?」
「ウッ…何も返せない…」「マジかよ。」
成也は契約書にサインし、コードネームを書いた。そして、拇印を押す。
「コードネームは良いとして、おめでとう。今日からギアヒーローだな。」
「まぁ...お、おめでとうございます!」
あぁ、もうあの日常に戻れないのかと思いつつも、歓迎される嬉しさが勝り、顔が少しにやける。その時、慌てた様子で二階からネストが降りてくる。
「皆様、緊急出動です。たった今、鳥形のジャアクギアが目撃されたとの情報が。おそらく相手のギアは、ジャアクサシバかと。」
「よし、いくか。」
「あ、おう!」
「行きますよ!」
「随分と…決断が早い親子ですね…」

とある住宅街
「ウゥゥ…ガァッ!」
そこには、ジャアクサシバがいた。サシバとは、タカ目タカ科サシバ属に分類される鳥である。ジャアクサシバは飛び回り、住宅街を破壊しようとしていた。
「あれだ!マイナス!」
「あぁ!多分これを腰に巻くんだよな!」
マイナスはケースからトランスギアを取りだし、腰に巻き付ける。
「変身の仕方は教えますね!では、ギアを!」
「…ケースにギアないんだけど。」
「…へ?」
あり得ない言葉を口にした彼の言葉に、2人はフリーズする。豆鉄砲に打たれたかのような顔でエヌはケースを見てみると、ケースの中にはギアがあったと思われる二つの窪みがあることに気が付く。
「だが、俺は知らんぞ...?」
「…ブラック、あのケースって誰から貰った?」
「イチゲンからだが…あ。」
ジャアクサシバの飛び回る音以外、何も聞こえなくなる。そう。[イチゲン]という言葉によって、その場の空気が固まったのだ。
「「「あいつ…」」」
三人は怒りを現にし、声を揃える。実際、ブラックはケースを確認しなかった。だがそれは、ギアを使って・・・・・・変身するベルトが収納しているケースにおいて、そのギアがケースに備わっていないなんてことはありえないというか意味がわからない。その一部始終を見ていたネストは「呆れた」と言わんばかりの表情で顔に手を当てる。
「あーもうッ!!ネストさん!パソコンバッテリーは?!」
「はい…帰りは大丈夫ですが、またここに戻るほどのバッテリーは…」
瞬間移動する際、ネストのパソコンバッテリーは相当削れてしまう為、またここに来るのには時間がかかるらしい。
「仕方ない、俺がこいつと戦っている。ネストとエヌはイチゲンからギアを貰ってこい。」
「え?何で僕も?僕も応戦できま…」
「あいつをぶん殴ってこい。」
「了解。」
ブラックは、両サイドに持ち手がある黒いトランスギアを取り出す。
「行け。」
「はい!」
「二人も無事でいてね!」
ネストとエヌは瞬間移動をして家に帰る。マイナスはトランスギアを着けたままでそこに居座る
「えと、俺はどうすれば?」
「俺を信じてそこにいろ。父親には指一本触れさせん。」
「おぉ!頼もしい!」
ブラックは王者のようにゆっくり歩く。そして、優しくトランスギアを腰に巻く。
「ウァァ?ナンダオ前ハァァ?」
「ブラック。又の名を、ギアヒーローダヌア・・・・・・・・・だ。」
[ダヌア!]
ブラックは、黒いギアを起動させ、黒いトランスギアの右側にある持ち手のくぼみにセットする。
[待機。]
その時、まるで絶望感を表したような音楽が鳴り響き、ブラックの周りに突如、紅い雷と黒い霧が漂う。
「変身。」
そしてブラックは、両サイドの持ち手を内側に押し込む。
[TRANS FROM.]
[変身ノ刻。]
すると、雷と霧はブラックを完全に包み込み、DNAのような螺旋状の光が現れブラックに巻き付く。
[闇ノ破滅、敵ヲ殲滅、望ム絶滅、闇ニ堕チタ者ヘノ宿命、審判ノ刻...]
[GEAR HERO DANUA...THE HENSHIN.]
ギアヒーローダヌア、その姿はまるで悪の化身。赤黒い悪役じみたボディ、クイップにはケモ耳やたてがみがあったのに対し、ダヌアには禍々しい棘と刃状の籠手が身に付けられる。
「え...はぁ⁉かっこよすぎるだろ!なにその姿!音声とかやべぇ!推します!俺、ダヌア推します!」
マイナスは極限まで興奮するほど目を輝かせキャッキャしていた。その理由は単純。マイナスは厨二じみた物が好きなのである。
「グゥゥ...?ナンダオ前...俺ノ邪魔ヲスル気カ....!」
ジャアクサシバは戦闘体勢へ移行する。
「あぁ。このギアヒーローダヌアが、貴様の邪魔をすると誓おう。...戦友の為の、生贄となれ....!」
ダヌアはジャアクサシバに突っ込む。ジャアクサシバは唸りながら空を飛び、羽を弓のように放つ。
「小癪な奴だ。」
ダヌアは放たれた羽を華麗な動きで避ける。その動きには少しの無駄もなく、余裕の風格だった。
「ウザイ...!」
「こちらの台詞だ。雑魚の貴様が無駄なことをしようと、それは無謀だ。そう、蟻が龍を狩るくらいな!」
[ハイタカ!]
ダヌアはハイタカギアを起動する。そして、両サイドの持ち手を内側に押し込む。
[変貌ノ刻。]
ダヌアは、ハイタカギアを左側のくぼみに当てる。
[其ノ壱。]
そして、左側の持ち手にあるスイッチを押す。
[ダーク・ネクサス・アビリティ。[ハイタカ]遺伝子魔改造!]
するとその瞬間、DNAの形をした光がダヌアを包み、大きな翼が現れる。
「うわぁぁぁ!翼生えたぁぁぁ!」
「俺の能力は、ギアの生物のDNAを扱える能力だ。ただし、5つまでだがな。...さて、行くぞ。」
ダヌアは空を飛び、ジャアクサシバを追う。
「ウゥゥ…!サッサトクタバレ!!」
羽を矢のごとく飛ばし迎撃しようとする、しかし、ダヌアはその飛ばされた無数の羽の間をすり抜ける。まるでぬい針に糸を通すように。
「貴様をこのまま殺すのは容易いが、悪いがお前は殺せない。あいつにやらせたいことがあるのでな?」
ジャアクサシバの攻撃を避けつつ、息を切らさずに余裕の風格で無駄口を続ける。
「だが、その分俺も楽しみたいのだ。少し、お前の耐久性を試させてもらう。覚悟はいいな?」
「ウゥ…⁉」
ダヌアは再度、両サイドの持ち手を押し込む。
[変貌ノ刻。]
[コガネグモ!][キョクトウサソリ!]
[其ノ弐。][其ノ参。]
「改めて説明しよう…俺の力は形態変化。今、その本領をお見せしよう。」
[ダーク・ネクサス・アビリティ。[コガネグモ][キョクトウサソリ]遺伝子魔改造!]
ダヌアは翼の他にも、蜘蛛の脚、サソリの尻尾を生やす。
「ナ…ナンダオ前ノ姿⁉気持チ悪イゾオ前⁉」
「悪口結構そして笑止。貴様の意見は求めていない。」
そう言ってダヌアは、蜘蛛の脚から糸を吐く。それは翼が命のジャアクサシバにとって最悪の攻撃だった。翼は糸に絡まり、身動きが取れなくなる。
「何⁉」
「動きが止まれば何も出来ないようだな?…ハァッ!」
ダヌアは体を縦に一周させ、そのままの勢いでサソリの尻尾でジャアクサシバを地に向かって叩き落とす。
「ガッ...⁉」
「フン、口ほどにもない。貴様程度、前座にもならん。」
ジャアクサシバは落とされた際の衝撃で糸をほどくことは出来たが、ダヌアに完全に見下ろされていることに気付く。その事実は彼の逆鱗に触れてしまい、本能を完全解放する。
「殺ス...殺ス殺ス殺ス殺ス殺ス!」
[ジャアク!サシバノヴァ!]
「コロスァァァーッ!!!!」
「…フンッ、そこまで追い込まれているなら、俺と良い名勝負はできないな。一切楽しめそうな期待は抱けないが…まぁ良いだろう。」
ダヌアは洗礼された戦いの構えを取り、静かに呟く。
「…来い。」
「ガアアアアア!」
その頃マイナスは...
「ダヌア…マジかっけぇ……」
目を離さずしっかり観戦していた。その姿は完全に遊園地ヒーローショーにきた子供だった。その時、青白い光と共にネストとエヌが現れる。
「マイナス様!こちらがギアです!」
ネストはヒーローショーを見に来た大きなお友達に2つのギアを手渡し、やっとかと一息つく。
「おぉ!緑色のギアだ!しかも二枚!ありがと!で、イチゲンは?」
エヌはスンッとした顔で報告する。
「はい。「入れんの忘れたわァwww」とヘラヘラしていたので一発殴りました。」
「よくやった我が息子。」
「仰せのままに。」
「ホントに親子ですね…」
そしてマイナスは、今度こそ戦う決意をする。あのていたらくな生活には戻れないことを理解して。
「さぁて行くか!これが俺の!ギアだ!」
[エヴォライト!][エヴォレフト!]

次回ギア5、俺は遅れてやってくる

おまけ
「今回のおまけは特別だ。俺達の力の豆知識を言ってやろう。俺の力はギアに書かれた生物のDNAを扱える。しかし、それが弱点でもある。地面を潜るからモグラを使おうにも、目が悪くなる。そう、デメリットも考えなくてはいけない。だがその分、誰よりもギアの潜在能力を扱える。それが俺のギアヒーロー、ダヌアだ。」
「そして僕!僕の力はご存じの通りギアに書かれた生物をモチーフにした武器を扱える!...でも実は、クイップはギアと適合してないんだよね...あ、僕達で言う適合・・って言うのは、セットしたギアによって変わるスペックの倍率のことです!ダヌアは誰よりも適合率が高いです!そして僕は0%...でもその分スペックが高いから!それが僕の力!ギアヒーロークイップの力です!」
「よし、あらかた説明は終わりだ。貴様ら、これからもよろしくな。」
「僕達の活躍、見てってね!ギアヒーローズ!また見てってね!バイバイ!」
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