コバナシ

鷹美

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第4話 

第4話 6

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優秀な看護師が一瞬だけとはいえ表情を歪ませたのだ、よほど嫌われているのかあのオヤジは。

そんな事を考えながら看護師の後をついていく。
受付から先生の控える診察室は遠くなく1分もかからず診察室の扉までついた。

看護師がノックをして先に一人で入って事情の説明を室内でやりとりして出てくる。


「先生もこのあとは診察のご予定がないようなので対応ができるそうです。

どうぞ室内へお進みください。」



ガラガラと扉を引いた看護師は蓮達が診察室に進むように誘導する。

蓮はありがとうと短く礼をした後に診察室に入った。

診察室は土井の所とは違いアルコールの匂いに包まれた清潔感のある部屋だった。
器具の一つ一つがピカピカに磨かれ、壁や床にも汚れやゴミが落ちてない。




「ようこそいらっしゃいました、私はこの診療所の医師をさせて頂いている〝蛇杖(へびづえ)〟と申します。
どうぞ、お見知り置きを。」

「私は蓮、和国の守護者をしています。

急な来訪に対応していただき感謝します。」


蛇杖と蓮は、深い握手を交わした。

蛇杖は、黒髪の短髪に白いシャツと綺麗な白衣を着た好青年だった。

細身ではあるが筋肉のついた体つきをしており、身長と低すぎず高すぎず。
これで医者ときたら大層モテるだろう。

蓮は笑顔の下でそんな事を考えていた。


しかし、そんな事を知らずにトーロは流石だと言わんばかりの視線をおくり、東野でもだらしない感じだった蓮がちゃんとやっていると籐麻は少し動揺している。


「土井先生のお話だと、奇病について調べているとか…。」

「ぇえ、和国でもついに被害者が出たので対策をと情報収集しております。」



蓮の話を聞いてウーンと唸った後にコツコツとカルテのある本棚を漁る。

奇病と該当した人たちのカルテを見始めた。
そしてサラサラと紙に何かを描き始める。


「個人情報になるので誰が…とまでは教えられませんが…。
私が見て感じた奇病についてと、それに使った薬と材料をお教えします。

この紙を薬屋に渡せば、同じものを渡してくれるでしょう。」


なんだか、おつかいのようになってきたな。
そう考えながら蓮は蛇杖から手紙を受け取る。

そして、懐から金貨を2枚取り出して蛇杖に差し出した。
しかし、蛇杖はそれを断る。


「どうして断るのです?
少ないとはいえ、情報をコチラに渡したのだ見返りがないと其方も面白くないでしょう。」


「そうですね、これは…借りにしましょう。
領主のコネや借りは、この街では箔になりますから。」


一瞬の大きな利益よりこの先も続く小さ目の利益。
長い目を見れば後者の方がいい。

医者とはいえ客商売。
強かだな。

蓮はそう思いながら蛇杖と再び握手して診療所を出る。


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