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第3話
第3話 20
しおりを挟む「こんな大騒ぎして誰か来るかもしれないと君は考えなかったのかい?」
狩り人が降って来た上の方を眺めると、建物屋根の上に立った優の姿があった。
八尺瓊を右手に握り狩り人のリーダーを見下ろしている。
頼みの綱だった仲間もダメだったショックのせいなのか、狩り人のリーダーはその場で気絶してしまった。
あっけない。
ため息をついた優はそのままコルノの横を目掛けて飛び降りる。
「君がスーの仲間かな?
仲間と娘を助けてくれてありがとう。」
「こちらこそ、我が主をここまで保護せていただいてなんとお礼をいえば…。」
コルノと優はそういうと握手を交わした。
楓が、コルノの口にした”主”という言葉を聞き逃すわけもなくスーを疑いの目でジーっとみる。
男は、スーをひょいと片手で抱えるように抱っこした。
呆れたような表情をうかべる。
「嬢ちゃん、何も話してなかったのか。」
「私が正体を明かさないように言ったんだ。
ただでさえ視力に頼れないから、可能な限り向けられる悪意は少なくしたいからね。
ここで立ち話するような話でもないし、私が泊る部屋に来てくれないかな?
お茶かお酒でももてなしたい。」
コルノにそう促されて、一行は宿に向かう。
コルノがとった宿の部屋は大きく優達が全員入っても問題なかった。
部屋の窓からは、港町を一望でき眺めは最高だ。
スーを見つけやすいように一番景色が見えるこの部屋をとったようで、結果論だがよかったとコルノは話す。
全員に飲み物が行きわたると、コルノは話を始めた。
「まずは自己紹介をしよう。
私はコルノ、そこの赤髪は”トーロ”で樹海を管理する一族であるスー様のか家臣だ。
我が主をここまで保護していただいてありがとう。」
コルノはそういうと、優達に向かって深々を頭を下げた。
コルノの横にいるトーロもスーの頭に手をやってスーとコルノと一緒に頭を下げている。
樹海の管理?
始めて聞く話だったが、コルノはすぐに補足した。
磁場の関係で自殺の名所と言われているが、主にその自殺者の保護や樹海に住む凶暴な動物の駆除を生業としているらしい。
自殺者ではないが、国を追われてさ迷っていたコルノやトーロが保護された人間の1人だそうだ。
「やっていることはわかった。
でも…そんな立派な事をしているんだ、もっと世間に名が知れ渡ってもいいと思うんだけど。」
優の質問に言葉を探すように悩むコルノ。
すると、スーは立ち上がり目隠しを外して瞼を開いて金色の瞳を優達に晒した。
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