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第二話
第二話 21
しおりを挟む先ずは男湯のお話。
特に、男湯と女湯で内装に違いはない。
檜で作られた湯船と柵や小さな桶達。
腰にタオルを巻いた面々は、浴室に入っていった。
籐麻は初めて来る場所なだけあって興味津々の様子で辺りをキョロキョロする。
「籐麻や、あんまりはしゃぐでないぞ。
滑って怪我をするからな。
それに素晴らしい作りではあるが、銭湯とさほど変わらんから、いつものように入ればよい。
見るなら、体を洗って湯船に浸かってからの。
新しい物を眺めながら入る風呂は、風流じゃよう…。」
そんな事を籐麻に話す蓮。
分かったと大人しく指示に従った籐麻を見て、久しぶりに父親みたいな事をするなぁ…等と考えている蓮だったが…女湯の方向から声が聞こえた。
「うっわ、すっごーい!
大きくて綺麗でいい匂いする場所だね。
湯船もなんか…川みたいで泳げそうだよ!」
「あーもー、少しは静かにしなさいよね!
私よりお姉さんなんでしょ!」
声が聞こえるのは、恐らくスーと楓。
女湯と男湯と分かれているとはいえ壁はあまり厚くない。
大声を出せば、少しは聞こえるのだろうが…これはひどい。
チラッと蓮は優を見るが、聞こえないフリをしている。
体を洗い終えて、湯舟に浸かり側においた酒を飲んでいた。
「おーお、女湯の方は賑やかではないか。
拙者達も負けてられないな。」
こちらにもうるさい奴はいたな。
剛は浴室でも常時運行のようで、生まれたままの姿で豪快に笑っている。
せっかく広い湯舟に入るのだ、ゆっくり浸かりたいものだ。
やれやれと、体を流し終え湯舟に浸かる蓮。
視線を移すと背中を洗いあっている剛と藤麻と空がいた。
うるさいが面倒見がよい剛は当たり前のように空達の輪に入っていく。
そんな剛を羨ましそうに眺める護。
剛の子供の距離の詰め方はいつも感心する、酒を飲むたびに必ずそう話している。
湯舟につかる、護と優と蓮は剛達の平和な光景を肴に酒を口にし始めた。
「そういえば、剛様は女湯を覗いたりしないのですか?」
藤麻の邪気の無い一言に、剛は思わず吹き出す。
剛は、ゴホゴホと咳を軽くした後に藤麻と向き合う。
空は話の内容が分かっておらずキョトンとした表情をしている。
「藤麻よ…なぜそう思ったのだ?」
「まだ、色んな所を転々としていた頃に傾奇者たちは皆やっていたから…あれは何かの儀式なのかとおもって…。」
なるほど…盛りのついたサル共のせいか…。
女性には悪いが…一種の度胸試しのようなものだと考えると儀式といえば儀式。
うーんと腕を組んで剛は頭を悩まされた。
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