8 / 151
プロローグ
プロローグ8
しおりを挟む蓮が屋敷の上にある見張り台まで移動して着地すると一斉に弓兵が蓮にむかって弓を引き矢先を向けた。
蓮は、真上から落ちるようにして着地した為に下を見ていた弓兵達の反応がやや遅めではあったが…それを差し引いても素早い対応だった。
蓮も慌てて両手を上げて降伏したような格好をして、声を出そうとした奥の方から東の声が聞こえる。
「まて、敵ではない。
先程話した蓮殿だ、朱雀という…空中歩行のような技を使ってここまできたのだろう。
同じようなに上から攻めてくる敵、外壁を登る敵に備え班を分けろ。
矢と灯りは絶やさぬよう注意しながら、作戦にあたれ。
すまなかった、蓮殿。」
東がそういうと、蓮に矢を向けていた弓兵は一斉に構えを解くと東の指示に従って移動する。
弓兵に指示を出し終わると、東は蓮の元に向かい謝罪をした。
「気にしないでくだされ。
それよりも、お話することが…。」
蓮は、気にしないでとニカッと笑ながら言った後に真剣な表情で今までの経緯を話す。
非常口がばれていたこと。
そこからの賊とは思えない手際の侵入者。
そして、合流した仲間たち。
東は辺りの警戒を怠らずに、蓮の話を聞いた。
そして話が終わり、辺りを見回し終わると考えがまとまったのか顔を蓮に向ける。
「…護殿が向かわれているのはわかった。
兵にここまで案内をさせよう。
蓮殿に東野全域の遊撃を頼めるのであれば、あの方角にある少し大きめの小屋に向かって貰いたい。
小屋の外に大介と…歌舞伎者と女剣士がいる。
3人とも小屋を背にしているから、恐らく民を守るために賊と睨み合っているのだろう。
助太刀を頼めるか?」
東はそういいながら、遠くにある小屋を指さす。
恐らく東の肉体特性が視力はのだろう…蓮には小屋を見つけられたのがやっとで人なんて見えない。
しかし、東には見えているようで人の特徴を言える辺り信頼がおけるものだろう。
「お任せくだされ。」
蓮はそれだけを言うと、直ぐに跳躍して東の指さす方向を朱雀を使い真っ直ぐ進む。
歌舞伎者と女剣士。
間違いなく、蓮の仲間だろう。
二人とも手練で心配はないと思うが…そんな事を考えながら蓮は移動を早める。
東が指さした小屋が近づき人影が見えてくると、聴き慣れた声が聞こえる。
「賊どもぉおお、腕に覚えあるならば…」
話の途中だが、蓮は聞くのをやめた。
そんなので一騎討ちとかを申し受けるのならば、初めからこんな事はしないだろう。
馬鹿でかい斬馬刀を構えている金髪の歌舞伎者は仲間である〝剛〟で間違い無いだろう。
自分で染めた金髪長い髪を全部後ろで束ねて縛り、赤と金のド派手な色の軽装の鎧を見に纏っている。
剛の横に小太刀を両手で握った女剣士がいた。
彼女が〝椿〟で黒髪のポニーテールに肩と胸を守るサポータをつけていて隣にいる剛とは対照的に一般的な格好をしていた。
歳は16歳で、この旅に同行した蓮の娘だ。
剛と一緒であれば無事だと信じてはいたが、無事な姿が見えると蓮は安堵する。
そして2人の視線の先には、自分たちを襲撃した賊が数名。
銃を持っているのもいる賊もおり、民に被害が及ばないように動かないのだろう。
敵は目の前の2人に集中している。
ならば…!
蓮は、袖からトンファーを取り出して降下しながら加速して銃をもつ賊を真っ先に蹴散らした。
隕石が落ちてきたような大きな衝撃と音、土煙は敵の注意を晒すのには十分過ぎるものだった。
蓮はそのまま、他にも銃をもつ賊を優先してトンファーで殴っていく。
勿論、剛と椿もその隙を逃すことはなく他の賊達を蹴散らしていった。
武装がやっかいなだけで、数はいなかった為に文字通り一瞬で賊達を倒した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
旦那様、愛人を作ってもいいですか?
ひろか
恋愛
私には前世の記憶があります。ニホンでの四六年という。
「君の役目は魔力を多く持つ子供を産むこと。その後で君も自由にすればいい」
これ、旦那様から、初夜での言葉です。
んん?美筋肉イケオジな愛人を持っても良いと?
’18/10/21…おまけ小話追加
《勘違い》で婚約破棄された令嬢は失意のうちに自殺しました。
友坂 悠
ファンタジー
「婚約を考え直そう」
貴族院の卒業パーティーの会場で、婚約者フリードよりそう告げられたエルザ。
「それは、婚約を破棄されるとそういうことなのでしょうか?」
耳を疑いそう聞き返すも、
「君も、その方が良いのだろう?」
苦虫を噛み潰すように、そう吐き出すフリードに。
全てに絶望し、失意のうちに自死を選ぶエルザ。
絶景と評判の観光地でありながら、自殺の名所としても知られる断崖絶壁から飛び降りた彼女。
だったのですが。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる