Nora First Edition

鷹美

文字の大きさ
上 下
253 / 253
第十六話

第十六話 4

しおりを挟む
初陣は、それから一週間後。
研究所にサンプルとして贈呈された、欠陥気味のキーウエポンを握り戦場に立ったわ。


前にもお話ししたけど…出力は弱めなものの一本でも、雑兵相手ならお釣りはきたわ。
他にも人はいたしね。

セカンド…いや、ベレアス率いる小隊。
森羅万象使いの兵士達。
私と一緒に別の世界から来た男の子〝ロイ〟。

そして、一際目立ったのはインフィニティの申し子と称されたベル。
手元にあるインフィニティを使い捨てるようにして獣と戦い一人で小隊並みの働きを見せていたわ。


使い慣れていないインフィニティも使い捨れるなんて熟練の兵士でも厳しいのだけど、彼のもつ見極める瞳がそれを可能にしてたわ。


ふふ、誰も分からないでしょうね。
ボロボロになった幼い男の子が、武器を片手に死んだような目で淡々と生き物を屠る様を。



皆が、私に帰れるといいねと話しかける中…彼だけが何も言わなかった。
彼の目にはきっと、この後の結末が見えていたんでしょうね。




事が大きく発展したのは、ベルが大怪我を負って力を失ってしまってからかしら?






「やはり君は、実に素晴らしいですよベル!

今回は特に良いものでしたヨ。
あと数年…成長が進み成熟した肉体と精神だったのなら今、地に伏していたのは私の方でしたでしょウ。」



街の防衛戦の一つに駆り出されたベルと私。
簡単な任務だと思いきや、規格外の獣がいたの。



名前は、キラー。
血まみれになって片膝をついて満身創痍なはずなのに、嬉しさで体が震えていた。

キラーの視界には、手持ちのインフィニティが全て砕かれうつ伏せに倒れたベルがいたわ。



「…殺せ。」


ベルは、諦めたように消えそうな声でそう言った。



「私は、女子供は殺さなイ。
私の信念を覆さないでくれてありがとうございますベル。
君が強者で本当によかっタ。

完治したら是非とも、私と刃を交えてくださイ。
それでは、お大事ニ。」



キラーは、姿勢を正した後にペコリとベルに会釈すると背を向けてその場を後にした。

追撃をしようとしたけど、満身創痍のベルに裾を掴まれて私は止められたが…止められなかった他の人たちはあっさりと返り討ちにあってたわ。


キラーは、大分不満そうな顔で周囲を見回したあとに一気に駆け抜けて戦線を離脱。
後にベルが言ってたけど、戦闘狂の彼は戦闘後の余韻にもう少し浸りたかったらしい。


ベルは、少し特殊な体質でおもったよりあっさりと怪我は完治したけど…今回の怪我が大きすぎだ為に治癒の代償として見極める目の能力を失った。

その後、転々と施設を施設を巡りアナタ達を会った…ってベルの話じゃなくて私の話だったわね。

しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理! ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※ ファンタジー小説大賞結果発表!!! \9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/ (嬉しかったので自慢します) 書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン) 変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします! (誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願 ※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。      * * * やってきました、異世界。 学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。 いえ、今でも懐かしく読んでます。 好きですよ?異世界転移&転生モノ。 だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね? 『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。 実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。 でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。 モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ? 帰る方法を探して四苦八苦? はてさて帰る事ができるかな… アラフォー女のドタバタ劇…?かな…? *********************** 基本、ノリと勢いで書いてます。 どこかで見たような展開かも知れません。 暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

追放された回復術師は、なんでも『回復』できて万能でした

新緑あらた
ファンタジー
死闘の末、強敵の討伐クエストを達成した回復術師ヨシュアを待っていたのは、称賛の言葉ではなく、解雇通告だった。 「ヨシュア……てめえはクビだ」 ポーションを湯水のように使える最高位冒険者になった彼らは、今まで散々ポーションの代用品としてヨシュアを利用してきたのに、回復術師は不要だと考えて切り捨てることにしたのだ。 「ポーションの下位互換」とまで罵られて気落ちしていたヨシュアだったが、ブラックな労働をしいるあのパーティーから解放されて喜んでいる自分に気づく。 危機から救った辺境の地方領主の娘との出会いをきっかけに、彼の世界はどんどん広がっていく……。 一方、Sランク冒険者パーティーはクエストの未達成でどんどんランクを落としていく。 彼らは知らなかったのだ、ヨシュアが彼らの傷だけでなく、状態異常や武器の破損など、なんでも『回復』していたことを……。

捨てられた第四王女は母国には戻らない

風見ゆうみ
恋愛
フラル王国には一人の王子と四人の王女がいた。第四王女は王家にとって災厄か幸運のどちらかだと古くから伝えられていた。 災厄とみなされた第四王女のミーリルは、七歳の時に国境近くの森の中で置き去りにされてしまう。 何とか隣国にたどり着き、警備兵によって保護されたミーリルは、彼女の境遇を気の毒に思ったジャルヌ辺境伯家に、ミリルとして迎え入れられる。 そんな中、ミーリルを捨てた王家には不幸なことばかり起こるようになる。ミーリルが幸運をもたらす娘だったと気づいた王家は、秘密裏にミーリルを捜し始めるが見つけることはできなかった。 それから八年後、フラル王国の第三王女がジャルヌ辺境伯家の嫡男のリディアスに、ミーリルの婚約者である公爵令息が第三王女に恋をする。 リディアスに大事にされているミーリルを憎く思った第三王女は、実の妹とは知らずにミーリルに接触しようとするのだが……。

はっきり言ってカケラも興味はございません

みおな
恋愛
 私の婚約者様は、王女殿下の騎士をしている。  病弱でお美しい王女殿下に常に付き従い、婚約者としての交流も、マトモにしたことがない。  まぁ、好きになさればよろしいわ。 私には関係ないことですから。

[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!

どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入! 舐めた奴らに、真実が牙を剥く! 何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ? しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない? 訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、 なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト! そして…わかってくる、この異世界の異常性。 出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。 主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。 相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。 ハーレム要素は、不明とします。 復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。 追記  2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。 8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。 2024/02/23 アルファポリスオンリーを解除しました。

魔王を倒したので砂漠でも緑化しようかと思う【完】

流水斎
ファンタジー
 死後、神様に頼まれて転生したが特にチートな加護も無く、魔王を倒すのに十年掛かった。 英雄の一人ではあったので第二の人生を愉しもうかと思ったが、『狡兎死して走狗煮らる』とも言う。 そこで地方で内政に励む事にして、トロフィー代わりに砂漠の緑化を目標に定めた男の物語である。

生まれ変わっても無能は無能 ~ハードモード~

大味貞世氏
ファンタジー
これは良く在る異世界転移。 これは良く在るクラス丸ごと転移。 夏休み直前の終業日に起きた事件。 ただこれは普通では無かった。 普通の高校生たちが繰り広げる異世界探訪。 チートもハーレムも幼女も関係無し。 何も持たずに放り出された彼らが辿る、有り触れた物語。

処理中です...