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第十六話
第十六話 3
しおりを挟む私は、ホッカイドウと呼ばれる所に住んでいたわ。
ここと違ってあまり刺激的ではなかったけど、危険な物や生物もいない平和な日々を過ごしていたわ。
友人と美味しいものを食べたり、温泉入ったり…毎日が充実していた…。
ミーちゃん、オーちゃん、アキ、ツッチー。
ふふ、ドーベルマンプロトの中にアキの名前があった時は再会を期待して心が震えたわ。
そんな事ありえないのに。
きっかけや兆しなんてなかった。
また明日。
そんな他愛のない言葉を口にして直ぐに見覚えのない空間にいたわ。
機械仕掛けの薄暗い部屋に、棺桶のような人が入れそうな縦長の桶。
その棺桶の中から起き上がったのが、次の瞬間の私の記憶。
服は、意識がある時のままで持ち物は携帯と財布以外に特になし。
普段から特に持ち物なんて無かったし、その時は買い物に行くわけでもなかったしね。
「おや…意識があるのかい?
気分はどう?」
私の様子に気が付いたのか、一人の科学者が声をかけてきた。
金髪の糸目の中肉中背の男で、人当たり良さそうな笑みを浮かべていたわ。
「僕の名前は、イズナ。
しがない科学者さ。
混乱しているのは重々承知だ、まずは簡単に説明説明させて貰うからこれでも飲みながら聞いてくれ。
ぁあ…麦茶は飲めるかな?」
飲み物を持ってきている途中だったようで、両手に紙コップをそれぞれ握りコツコツ近づいて右手にある紙コップを私に差し出してきた。
物腰はかなり穏やかで、ニコニコした様子だったけど少し離れた場所に座ると真剣な顔をして説明を始めたわ。
なかり長々としたお話しだったから要約すると…。
獣人という未知の怪物に人間が襲撃されていて危機的状況にある。
現状を打破する為に様々な試みを行っており、別の次元から色んなものを集める機械を使いその機械から出てきた素材で装備を製作して獣人に立ち向かっていた。
素材に関しては、危険物がきても困ると人間サイズ以上の物や生物は来ないように設定していて…誤作動が起きたのか生物である私がここに連れてこられたらしい。
この機械で呼ばれた以上、何もできない事はない。
私を元の世界に帰るための手段を探している間は、どうか力を貸して欲しい。
なんだか一方的なお話しだったけど、帰る手段も生活する手段もないから従うしかなかった。
偶然にも私の世界からもう一人、男子が来ていたけど…異世界転生だとか…チートだとかボソボソと言っていたから気が動転していると思って話しかけなかったわ。
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