Nora First Edition

鷹美

文字の大きさ
上 下
240 / 253
第十五話

第15話 11

しおりを挟む
「これほどの力を持ってて、何故あの時の戦いで前線にいなかったの?」


「あの頃は覚醒してなかったからなぁ…。
漫画じゃねーんだ能力ってのは何時もこちらの都合には、合わせてくれないのさ。」



そう言うと、ゆっくりとティアから離れていく。



「じゃぁ、今の貴方は…何をしているのかしら?
その力で…。」



コツコツとまた、別の足音が聞こえた。
黒い狼を連れたピンク髪の美女だった。



「あぁ、お前か。」


「あら、私の事を覚えているの?」



クスクスと笑い立ち止まる美女を、不審者はため息をついて指を指す。
ティアは、置いていかれいるような感覚におちいっているが黙って話を聞く。



「お前さんみたいな美人忘れるわけねーだろう。
生きたインフィニティの一人、ナナだろ?

寧ろ、お前さんは俺の事が分かるのか?」


「勿論よ、先輩。」


ナナと呼ばれた女性は、隣にいる狼を優しく撫でた。
そして、不審者は更にため息をだした。


「バレバレですかぁ…。

んで、あんたもか。
懐かしの同窓会みたいなのをしたいのか?

仲良しこよしのお話をしようと言う感じでは無さそうだな。」



ほう、不審者はボヤいたが特に狼狽えている様子はない。


「仲良しこよしのお話は私だってしたいわね。
天気の良い日に草木の香る野原でティータイムとか素敵だわ。


んー今回は特に目的があったわけじゃないの。
たまたま、ワンちゃん達のアジトに潜伏してたら貴方達がいて後をついていったら…此処にニースがいたってこと。」


ナナはキーウエポンを起動させて、銃形態にするとニースに銃口を向ける。


“技の一段”


あまりにも突然の攻撃にティアは反応できなかったが、不審者は違った。
直ぐに火の玉のまえに立ちふさがって、右手で振り払う。



「あら、意外。
貴方が、コレを救おうとするなんて。

全ての元凶を知りながら止めることの出来なかった無能を?
なんとかできたのであれば…口だけの有権者達を黙らせて獣人の進撃にも備えられたし…何よりナツが謀反を起こす事もなかったわよね?」

「…ぁあ、知っているよ。

質問攻めにあっているが…答える気はさらさらない。
確かにこいつは…失敗があるが殺す程ではないだろう。」



不審者が、そう言うとナナは先程とは打って変わって殺意のある視線を不審者に向ける。

空いた左手には、バリバリと赤い雷が迸っていた。




「私の邪魔はどうしても辞めないのね。」

「人類が復興するしないは興味ないが、殺されるのを目の前で見てるだけのものあまりいい気分じゃないしな。」



「私達の邪魔をするなら…私達は敵よ!!」



“技の0段”


キーウエポンを両手で握ると赤い雷を放ちながら真っ黒の同じ形状をしたキーウエポンが左手に収まっていた。
両手のキーウエポンを乱暴にぶつけあわせると、殺意の込めた瞳で不審者を睨む。



「あまり野暮なことは、いいたくない。

同類のよしみだ。
今、俺の前からいなくなるなら…見逃してもいい。」


「ソれは、逃げて欲しいの間違えではないのか?」



不審者の後ろにいつの間にか、爪を振り下ろしたベレアスがいた。
不審者は直ぐに、手で受け止める。


そして、ベレアスの手を掴むと力任せにベレアスを吹き飛ばし脚を強く踏み抜く。



「俺に力を貸してくれ。」



すると、地底湖の天井のつららのような岩をベレアスに向かって伸ばした。
森羅万象を使いこなしているとは思っていなかったようで、ベレアスは呆気なく潰されてしまう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~

ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉ 攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。 私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。 美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~! 【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避 【2章】王国発展・vs.ヒロイン 【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。 ※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。 ※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差) イラストブログ https://tenseioujo.blogspot.com/ Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/ ※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。

転生したらスキル転生って・・・!?

ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。 〜あれ?ここは何処?〜 転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。

転生したら侯爵令嬢だった~メイベル・ラッシュはかたじけない~

おてんば松尾
恋愛
侯爵令嬢のメイベル・ラッシュは、跡継ぎとして幼少期から厳しい教育を受けて育てられた。 婚約者のレイン・ウィスパーは伯爵家の次男騎士科にいる同級生だ。見目麗しく、学業の成績も良いことから、メイベルの婚約者となる。 しかし、妹のサーシャとレインは互いに愛し合っているようだった。 二人が会っているところを何度もメイベルは見かけていた。 彼は婚約者として自分を大切にしてくれているが、それ以上に妹との仲が良い。 恋人同士のように振舞う彼らとの関係にメイベルは悩まされていた。 ある日、メイベルは窓から落ちる事故に遭い、自分の中の過去の記憶がよみがえった。 それは、この世界ではない別の世界に生きていた時の記憶だった。

聖女なので公爵子息と結婚しました。でも彼には好きな人がいるそうです。

MIRICO
恋愛
癒しの力を持つ聖女、エヴリーヌ。彼女は聖女の嫁ぎ制度により、公爵子息であるカリス・ヴォルテールに嫁ぐことになった。しかしカリスは、ブラシェーロ公爵子息に嫁ぐ聖女、アティを愛していたのだ。 カリスはエヴリーヌに二年後の離婚を願う。王の命令で結婚することになったが、愛する人がいるためエヴリーヌを幸せにできないからだ。  勝手に決められた結婚なのに、二年で離婚!?  アティを愛していても、他の公爵子息の妻となったアティと結婚するわけにもいかない。離婚した後は独身のまま、後継者も親戚の子に渡すことを辞さない。そんなカリスの切実な純情の前に、エヴリーヌは二年後の離婚を承諾した。 なんてやつ。そうは思ったけれど、カリスは心優しく、二年後の離婚が決まってもエヴリーヌを蔑ろにしない、誠実な男だった。 やめて、優しくしないで。私が好きになっちゃうから!! ブックマーク・いいね・ご感想等、ありがとうございます。誤字もお知らせくださりありがとうございます。修正します。ご感想お返事ネタバレになりそうなので控えさせていただきます。

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

当て馬悪役令息のツッコミ属性が強すぎて、物語の仕事を全くしないんですが?!

犬丸大福
ファンタジー
ユーディリア・エアトルは母親からの折檻を受け、そのまま意識を失った。 そして夢をみた。 日本で暮らし、平々凡々な日々の中、友人が命を捧げるんじゃないかと思うほどハマっている漫画の推しの顔。 その顔を見て目が覚めた。 なんと自分はこのまま行けば破滅まっしぐらな友人の最推し、当て馬悪役令息であるエミリオ・エアトルの双子の妹ユーディリア・エアトルである事に気がついたのだった。 数ある作品の中から、読んでいただきありがとうございます。 幼少期、最初はツラい状況が続きます。 作者都合のゆるふわご都合設定です。 1日1話更新目指してます。 エール、お気に入り登録、いいね、コメント、しおり、とても励みになります。 お楽しみ頂けたら幸いです。 *************** 2024年6月25日 お気に入り登録100人達成 ありがとうございます! 100人になるまで見捨てずに居て下さった99人の皆様にも感謝を!! 2024年9月9日  お気に入り登録200人達成 感謝感謝でございます! 200人になるまで見捨てずに居て下さった皆様にもこれからも見守っていただける物語を!!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...