Nora First Edition

鷹美

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第十四話

第14話 28

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転移した場所は、シオのすぐ側だった。


「ジュリ姉ぇ!」

シオは、直ぐにジュリの側まで移動する。
そして、ニースはゆっくりと床にアリエスを寝かせた。


「丸投げにする形になるが、アリエス君の看護を頼む。

私は引き続き、前線に立つ。」



ニースは、そう言うとノッシノッシと外に向かって雄々しく向かっていく。
大概の物語の王は、頭は良いが病弱で最深部で王座に座って指揮を執る者が多いが…ニースはどちらかと言ったら、物語で言う国1番の兵士の方がしっくりきそうだ。


ジュリは、心中でそう思いながら苦笑いを浮かべる。



「そういえば、転移で襲撃とかはされないの?」


「あー。
それは、王様の他にベルがいるから大丈夫。

生意気にもベルも傲慢の適合者の一人らしくてさー忌々しくも6つの全ての能力も行使できるんだってー。
転移もお手の物だから、直ぐに補足できるんだってー。」


シオは、何処か納得がいかないような表情で頬を膨らませている。
幼馴染の長所が増えたのを素直に喜べないのか…。


この2人のやり取りを見ると、さっきまでのハラハラが嘘のように無くなっていた。



「シオ…。
前線で頑張ってる俺にかける言葉がこれか。」


流石に疲労が溜まっていたベルは、カナとエグザスが戦闘に参加すると入れ替わるように砦の内部で休憩をする為に戻ってきていた。



「慣れない事は、無理やりするもんでもないな。

疲れたー。」


両肩にキーウエポンをかけて、ゆっくりとジュリたちの所に向かった。
ジュリは、一瞬だけ眉を歪ませた後に軽く自分の両頬を叩く。

ベルに話しかけようとした瞬間に砦の天上を破壊しながら何かが降ってきた。


ベルは、キーウエポンを起動させて二人の盾になるように立つ。


落ちてきた者の正体は、埃まみれになった白いスーツと白いコートを見に纏った灰色の毛をした獣だった。





体を震わせて、痛みを堪えている様をみると誰かに襲撃されたのだろか。




「さっきホープを習得したペーペーが調子に乗らないの。
ほら、一緒に片付けるよ。」


ジュリは、盾になるように立つベルをズラすように軽く押しながら移動してキーウエポンを起動させる。


「あ、私もいくよジュリ姉ぇ。」


「ありがとうシーちゃん、
シーちゃんは、後ろでサポートをお願い。」


そんなやりとりをしてると獣はスクッと立ち上がっり、辺りを見回して辺りをキョロキョロとすると状況を判断したようで左手の平に右拳の下をポンと叩く。


「ここは…なるほど、敵の拠点の一つですカ。」



「随分と余裕じゃないの、ワンワン!」



“技の1段”

“技の1段 ローエン”




ベルは、炎の刃を飛ばした後にキーウエポンに炎を纏わせて槍にして獣に向かっていく。



獣は、左手の袖から軍用ナイフを出すとそれで炎の刃を切り裂いた後に向かってくるベルをそのナイフで受け止めた。


「おや、君は…ぁあ大きくなりましたネ。
あれ…そしたら…さっきのは人違いですカ。」

「何をブツブツと言ってんだよ。
俺の知り合いに毛むくじゃらはいねーっつーの。」


ベルは直ぐにバックステップを踏んで距離をあけて身構える。


獣はそんなのを気にした様子もなく左手を腰の後ろに右手を胸に当てて軽く会釈をした。


「まぁ、幼い頃の話だし怪我もされていて記憶が混濁していても無理はないでしょウ。

私の名は〝キラー〟、その昔貴方と戦った獣人の一人でございまス。

あの日、大怪我をおって力を失ったとお聞きしましたが…回復されて今この場にいる事を心から祝福いたしまス。」
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