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第十三話
第13話 2
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「よう、ナツ。
元気かぁ。」
「また君か。
昨日と変わらず、元気だよ僕は。」
ある研究室での毎日の出来事。
ナツの研究室に、幼馴染のベルが現れるのだ。
当時のベルはやや長めの黒髪に白のワイシャツと白衣の面白みのない服を着ていた。
ナツは、茶髪の髪をベースとした癖っ毛だが右耳の上のほうに白髪のあるベルと同じ歳のタレ目の青年だ。
ナツの服装は、オレンジの模様をした白のパーカーと中にオレンジ色のシャツを着ていてその上から白衣を羽織っている。
研究所内では、楽だからと言う理由で常にスリッパを履いていた。
椅子に座り、研究資料の整理をデスクでしていると弁当をぶら下げたベルが部屋に入ってきた。
「ベル…君は確かアイク博士の助手の一人なんだろ?
こんな所で油を売ってる暇はないだ。
君は無能の部類なんだから、もっと働かなきゃ。」
「おっふ。
無能は否定しねーが、あんましカンケーねーのよ。
いい仕事には、休息と食事が大事なのよ。
だーいーじ。」
いつも休んでばかりじゃないか。
ナツが右頬に手をついて呆れたような表情を浮かべた。
無能と呼ばれても、気にする様子も無く側にあった椅子に座り弁当を広げ始める。
何を言っても無駄。
自分で決めた事は基本的に変えないのがベル。
最初は突き放していたが、今ではこんな感じ。
ようは、ナツが折れたのだ。
「んで、結界を作った偉大な科学者様は盾に続く最強の矛の研究は行っているのかね?」
「…なんで君が偉そうに聞くんだ。
僕の研究は、進もうが進まないが自分のやりたいペースでやる。
数多の理論の構成だけで言うのであれば、順調といえるけど。
アイク博士の研究に比べたら進んでないようなものだよ。」
ナツもデスクの資料をまとめて、弁当を広げた。
弁当を広げるのを確認するとベルは部屋にあるコーヒーを勝手に入れ始める。
いつもの事だ。
ナツも、そう割り切りながらベルの入れるコーヒーを口にする。
「ナツは、助手がいないんだよね?
だから、研究が進まないんだよ。
いや…顔は知らないけど、一人だけいるんだっけ?」
「…他人なぞ信用できないし、何より何処の馬のホネとも分からない奴に研究資料を触らせたくない。
彼は、使い勝手がいいからちょっとしたボディーガードみたいなものだと思っている。
…君こそ、キーウェポン…だっけ?
あれを使えるようになったのかい?」
その言葉を発した瞬間にナツは後悔した。
誰が見てもわかる位、ベルの表情がドンヨリしていた。
めんどくさい…。
なんて心の中だけで留める事はしないナツは、心底ため息をついてそう言った。
「君…あからさまに、どんよりするのやめてくんない。
めんどくさい。」
「うがー!
ナツには、労りの心がないのか!
普通、大丈夫?
話…聞こうか?
とか色々とかける言葉があるだろう!
愛犬、可愛がっているだろうが!!
出来るはずだ、諦めんなよ!!」
ベルはナツの声真似を挟んで熱くそう語り始めた。
一方でナツは、パソコンを起動させてトップ画面にした愛犬の眺める。
そしてベルにとても大きなため息をついた。
「申し訳ないけど、暑苦し過ぎるんで聞く耳になれないね。
なりたくない。
僕に何か意見を求める時は、適度な温度感と好奇心をくすぐるような適度な刺激を添えてくれるかな?」
元気かぁ。」
「また君か。
昨日と変わらず、元気だよ僕は。」
ある研究室での毎日の出来事。
ナツの研究室に、幼馴染のベルが現れるのだ。
当時のベルはやや長めの黒髪に白のワイシャツと白衣の面白みのない服を着ていた。
ナツは、茶髪の髪をベースとした癖っ毛だが右耳の上のほうに白髪のあるベルと同じ歳のタレ目の青年だ。
ナツの服装は、オレンジの模様をした白のパーカーと中にオレンジ色のシャツを着ていてその上から白衣を羽織っている。
研究所内では、楽だからと言う理由で常にスリッパを履いていた。
椅子に座り、研究資料の整理をデスクでしていると弁当をぶら下げたベルが部屋に入ってきた。
「ベル…君は確かアイク博士の助手の一人なんだろ?
こんな所で油を売ってる暇はないだ。
君は無能の部類なんだから、もっと働かなきゃ。」
「おっふ。
無能は否定しねーが、あんましカンケーねーのよ。
いい仕事には、休息と食事が大事なのよ。
だーいーじ。」
いつも休んでばかりじゃないか。
ナツが右頬に手をついて呆れたような表情を浮かべた。
無能と呼ばれても、気にする様子も無く側にあった椅子に座り弁当を広げ始める。
何を言っても無駄。
自分で決めた事は基本的に変えないのがベル。
最初は突き放していたが、今ではこんな感じ。
ようは、ナツが折れたのだ。
「んで、結界を作った偉大な科学者様は盾に続く最強の矛の研究は行っているのかね?」
「…なんで君が偉そうに聞くんだ。
僕の研究は、進もうが進まないが自分のやりたいペースでやる。
数多の理論の構成だけで言うのであれば、順調といえるけど。
アイク博士の研究に比べたら進んでないようなものだよ。」
ナツもデスクの資料をまとめて、弁当を広げた。
弁当を広げるのを確認するとベルは部屋にあるコーヒーを勝手に入れ始める。
いつもの事だ。
ナツも、そう割り切りながらベルの入れるコーヒーを口にする。
「ナツは、助手がいないんだよね?
だから、研究が進まないんだよ。
いや…顔は知らないけど、一人だけいるんだっけ?」
「…他人なぞ信用できないし、何より何処の馬のホネとも分からない奴に研究資料を触らせたくない。
彼は、使い勝手がいいからちょっとしたボディーガードみたいなものだと思っている。
…君こそ、キーウェポン…だっけ?
あれを使えるようになったのかい?」
その言葉を発した瞬間にナツは後悔した。
誰が見てもわかる位、ベルの表情がドンヨリしていた。
めんどくさい…。
なんて心の中だけで留める事はしないナツは、心底ため息をついてそう言った。
「君…あからさまに、どんよりするのやめてくんない。
めんどくさい。」
「うがー!
ナツには、労りの心がないのか!
普通、大丈夫?
話…聞こうか?
とか色々とかける言葉があるだろう!
愛犬、可愛がっているだろうが!!
出来るはずだ、諦めんなよ!!」
ベルはナツの声真似を挟んで熱くそう語り始めた。
一方でナツは、パソコンを起動させてトップ画面にした愛犬の眺める。
そしてベルにとても大きなため息をついた。
「申し訳ないけど、暑苦し過ぎるんで聞く耳になれないね。
なりたくない。
僕に何か意見を求める時は、適度な温度感と好奇心をくすぐるような適度な刺激を添えてくれるかな?」
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