153 / 253
第十二話
第12話 15
しおりを挟む「マだまダ!」
“体”
カナがかけた体は今までとは、違うものだった。
赤い雷を撒き散らし、そして体に纏っていた。
カナの姿がブレる。
アイクは、直ぐにキーウェポンを展開しカナに突き刺すように飛ばしていく。
だが、カナの走る際に起こる風で全て弾かれた。
森羅万象の力なのだろう。
本物のカナのような、操りそこないも手綱が取れず体にかかる負担もなく常に最大の力を出せているみたいだ。
「皆、相手にするな!
にげるぞ!」
アイクがそう言うと銃形態にしたキーウェポンの銃口をカナに向けて展開した。
「…頼むから効いてくれよ。」
“技の2段”
アイクは藁にも縋る思いで展開させたキーウエポンから冷気を放つ。
今迄の大技とは違うが、大量の冷気の塊がカナを襲う。
普通の人間なら、凍死をこえて仮死状態になる程の瞬間冷凍。
「未だ、バイクで駆け抜けるぞ!」
無事に凍りついたのを確認すると直ぐにバイクを起動さて脱出した。
ナナの起爆した爆弾の影響もあったのか偽物のカナの追尾はない。
「なんなんだ、アレは!?」
「インフィニティだよ。
ある意味では、無人で動くインフィニティの中で最強だと思う。
全く、厄介な者を遺したものだよアイツも。」
何処か怒った様子のB.Kの質問にアイクは項垂れるように答える。
全員が頭を傾げる様子を感じたアイクは、頭をポリポリと掻くと口を開いた。
「インフィニティのファーストサンプルを造った“ナツ”って奴があの人形を作った。」
ナツと言う名前は全員が聞き覚えがある名前だった。
人類最大の犯罪者。
歴史を遡ると、獣人の進入を決定的にした事件があった。
獣人の進入を防ぐ防壁みたいなものがあったのだが、それをナツが破壊。
研究所の助手を一人だけ連れて犯行を行い、公開処刑された人間である。
「懐かしがるような素振りを見せているってことは、やはり昔は親しかったのでしょうか?」
アンナは、割と落ちたトーンでそう言う。
「あぁ。
コーダのライバルで、ベルとの幼馴染。
石碑にも書いてあるから知ってると思うが…ノラの初期メンバーの一員だ。」
懐かしむ様にそう話すアイクだったが面識のない今いる面々は、何と言っていいか分からないのか少し静かになる。
流石な空気を打ち破ったのはサイだった。
「…俺は、少ししかナツの事が分からない。
良かったら教えてくれないか?」
サイの言葉を聞いて少し思い出す様な素振りを見せた後にアイクは、ゆっくりと口を開いた。
「…極度の捻くれ者で…人間嫌い。
だけど、根は優しいやつだった。
嫌々な雰囲気を出しても、ベルやコーダを拒絶しなかったし…勉強に困ったジュリやシオの勉強だって見ていた。
唯一の家族だった愛犬には、かなりの愛情を注いでいたよ。」
「そんな方がどうして?」
アンナがそういうと、アイクは大きくため息をついた。
「今頃になって痛感するよ。
アイツもナナが言ってた人間に絶望した奴の1人だった。
俺達…いや、俺がもっと表立って行動できていれば…もっと王に進言していれば。
そんなタラレバを今になって思うよ。」
アイクはそう言いながら、あの日の出来事について話を始めた。
人類が負け始めた決定的な日の事を。
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
婚約者に嫌われているようなので離れてみたら、なぜか抗議されました
花々
恋愛
メリアム侯爵家の令嬢クラリッサは、婚約者である公爵家のライアンから蔑まれている。
クラリッサは「お前の目は醜い」というライアンの言葉を鵜呑みにし、いつも前髪で顔を隠しながら過ごしていた。
そんなある日、クラリッサは王家主催のパーティーに参加する。
いつも通りクラリッサをほったらかしてほかの参加者と談笑しているライアンから離れて廊下に出たところ、見知らぬ青年がうずくまっているのを見つける。クラリッサが心配して介抱すると、青年からいたく感謝される。
数日後、クラリッサの元になぜか王家からの使者がやってきて……。
✴︎感想誠にありがとうございます❗️
✴︎(承認不要の方)ご指摘ありがとうございます。第一王子のミスでした💦
✴︎ヒロインの実家は侯爵家です。誤字失礼しました😵
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
明智さんちの旦那さんたちR
明智 颯茄
恋愛
あの小高い丘の上に建つ大きなお屋敷には、一風変わった夫婦が住んでいる。それは、妻一人に夫十人のいわゆる逆ハーレム婚だ。
奥さんは何かと大変かと思いきやそうではないらしい。旦那さんたちは全員神がかりな美しさを持つイケメンで、奥さんはニヤケ放題らしい。
ほのぼのとしながらも、複数婚が巻き起こすおかしな日常が満載。
*BL描写あり
毎週月曜日と隔週の日曜日お休みします。
積みかけアラフォーOL、公爵令嬢に転生したのでやりたいことをやって好きに生きる!
ぽらいと
ファンタジー
アラフォー、バツ2派遣OLが公爵令嬢に転生したので、やりたいことを好きなようにやって過ごす、というほのぼの系の話。
悪役等は一切出てこない、優しい世界のお話です。
俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる