Nora First Edition

鷹美

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第十二話

第12話 10

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ー研究所 SAIDー


アキラ達を退けたアイク達は、研究所を歩き回ったが…獣も人間も見当たらない状態だった。

完全な無人。



「エグザス。
ここの警備は、かなりキツイのか?」

「あぁ。
だが、研究対象である俺がいるし研究員としてアイクも確か登録されていたから問題ないだろう。」


エグザスとアイクを先頭に、研究所に入っていく。
すると、大音量の警告が流された。


関係者以外は、立ち入りを固く禁ずる。
この警告が守れないのであれば、強制退去を行った時の命の保証はできない。


この警告が何度か流れた。
エグザスとアイクが焦りの表情を見せ始めた頃にノラ全員が研究所に入り、警報が止まった。




規定以上の関係者のDNAを認証。

研究員 アイク。

EG_ZAS。

Sa_1。


以上の立ち入りを許可します。
それ以外の方も登録をするので、以上の三名様の側で待機していてください。

登録及び警報の解除まで暫くお待ちください。



「何が起こったんだ?」

「…ハゲ、お前の本名はなんだ?」



固まる全員を他所にエグザスは、ハゲを見据える。
威圧するわけでも、警戒している様子もない。

ただ、知りたい。
その気持ちだけだろう。


ハゲもそれは、知ってはいるが…どうしても口を開けない。



「…別にいいじゃないの。

ハゲ、いや…“サイ”。」



登録が終了するかしないかの間に、一つの声が聞こえた。

その声は、自分を含めた最後の一人になるまで待っていたのだろう。
その声が到着してそう話すと同時に登録が終了した。



「ブルーマっ!」


ハゲいや、“サイ”はブルーマを睨むように見ていた。
そんなサイをブルーマはクックックと笑う。



「別にエグザスやカナだっているのに一人でウジウジし過ぎなんだよ。

寧ろ、自慢するところだぞ?
獣人化のファーストサンプルの“Sa_1”。」


サイは、そう言われるとブルーマにキーウェポンを振り下ろした。
ブルーマもベルのキーウェポンでサイの攻撃を防ぐ。


“体の8段”



サイは、自分が使える最大の肉体強化をかけて更に力を加える。



「ベルの体を勝手に使っているお前に…何が分かる!

家族を失い、孤児院に拾われたと思ったら実験動物っ!
そうなった俺の…何が分かる!」

「悪いな。
分かんねーよ。

俺はノラじゃないし、体は人間だが人格は獣人。
何より、お前達の知るベルではないしな。」



ブルーマは、軽々とサイを弾き飛ばした。
サイも上手く受け身をとって地面に着々する。




「どうだ?
最後にベルと模擬戦した時みたいに獣人化したら?
反射と引力で体術の精度を底上げしているから、今のままじゃ話にならねーぞ。」

「…上等だ、お前の望み通りにやってやるよ。」


サイは、キーウェポンを地面に思い切り刺す。
キーウェポンを中心に赤と金色の雷を放ちながら魔法陣が描かれていった。



“体の0段”


魔法陣が完成すると、魔法陣の光はドーム状に展開していきサイを包み込む。

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