Nora First Edition

鷹美

文字の大きさ
上 下
109 / 253
第八話

第8話 10

しおりを挟む
「シリーズ風水だったカ…。
ベルが遺した奴を俺がもう一度掘り起こしタ。


効果はー…言ったほうガ?」

「いや、気にしなくてもいい。
研究者とは未知との物と戦うのが仕事だからね!」


アリエスは、そう言うと転移をする。
ブルーマも座標が演算できるようで直ぐに場所を移動した。


そもそも、転移とはダーツに似ている。

目標を定めて、それに合わせた力で投げる、転移も同じ。
座標を定めて、それに合わせた力を行使する。

あと、共通点は他にもあって転移も移動してしまったら辿り着くまでその座標にしか動く事が出来ない。



「なるほど、転移についての心得えを理解しているようだ。
だが、まだ爪が甘いよ。」



向かってくる白虎を青色の雷の纏う右手で薙ぎ払うと手に触れた所がなくなった。
白虎は、真っ二つになると灰になって消えていく。



「なるほど、そういうことかイ。」


ブルーマは、のんびりとそう言っている間にアリエスはブルーマの前に向かう為に連続で転移する。


こんな回数の転移ができるのは至難の技だろう。
座標もコロコロと変わるから、先読みもし難い。



「ほら、終わりだ!!」

「あー、ベルの時にも言われてたが…それは死亡フラグって奴ダ。」



右手をブルーマに向けて振り下ろしたが、見えない壁のような物遮られそして弾かれた。
いや…跳ね返された。



「なっ!」

「良かったナ。
それが、放出型なら死んでたゾ。」


ブルーマは、ガラ空きになったアリエスの脇腹を槍で殴り飛ばす。
アリエスはゴロゴロと転がりブルーマから離れていく。



「やっと、本調子カ。

やれやれ、長いもんだネ。
あー、一応言っておくが…俺はまだホープによる肉体強化をしてないからナ?」



怠そうに首を回しながらブルーマはそう言った。


相性が悪すぎる。
グラムみたいにほぼ同じと言って良いなら、対処の仕様があるのだが…コッチの情報は筒抜け。
それに対して彼方の情報は、コッチにはスカスカ。


無機物の無尽蔵かつ無敵に近い生物の召喚。

ホープ。

インフィニティ。

獣人化。


多少なりの森羅万象も使えるから、代価による撤退もありえない。

カナみたいなのを相手にしているようなものだ。





「一つだけ聞きたい。
おまえは、体をどこまで使える?」



アリエスは、横たわったままブルーマにそう言った。
ブルーマは、考えているのか顎に手を当ててウーンと唸った後に首をかしげてアリエスに向かって言葉を話す。



「断定はできないが、その気になれば10段はイケると思ウ。

無試験だか、8段は楽勝。」


あっさりとそれを答えたのは、アリエスの心を折る為だろう。


「どーするじーさん、殺すノ?

それとも、実験に使うノ?
もしかしてのまさの苗床?」


「いや、苗床にはできないナ。
森羅万象の全てがつかえるから、狂い桜も水の力で無効化されそうだしナ。

狂い桜のせいで、身体能力が上がった人間も確認されていル。
無闇に使えないから、無力化して実験に使うとしよウ。」


ブルーマの横には、グラムがいた。

他の皆は?
っと聞くと、アリエスの研究室の調査の為に残したらしい。



ブルーマは、グラムの結論を聞くとゆっくりとアリエスの元に向かっていく。
アリエスは、足を震わせながらゆっくりと立ち上がった。



「すまないね、私は…まだ倒れる訳にはいかないのだよ。

実験にも使われる訳にもいかないし…戦力が少しでも必要な中、自害などできないからね。」

「わォ。
泣かせる話になりそうじゃないノ。

でも、諦めなヨ。
現実はいつだって、皆が思っているのよりずっーと残酷なんだヨ。」



ブルーマは、そういうとアリエスの前まで転移する。
そして、アリエスの腹を思い切り殴って足元を槍で叩く。


“心の0段”



アリエスは、地面に包まれて言った。
その形状は、棺桶のようだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界王女に転生したけど、貧乏生活から脱出できるのか

片上尚
ファンタジー
海の事故で命を落とした山田陽子は、女神ロミア様に頼まれて魔法がある世界のとある国、ファルメディアの第三王女アリスティアに転生! 悠々自適の贅沢王女生活やイケメン王子との結婚、もしくは現代知識で無双チートを夢見て目覚めてみると、待っていたのは3食草粥生活でした… アリスティアは現代知識を使って自国を豊かにできるのか? 痩せっぽっちの王女様奮闘記。

善人ぶった姉に奪われ続けてきましたが、逃げた先で溺愛されて私のスキルで領地は豊作です

しろこねこ
ファンタジー
「あなたのためを思って」という一見優しい伯爵家の姉ジュリナに虐げられている妹セリナ。醜いセリナの言うことを家族は誰も聞いてくれない。そんな中、唯一差別しない家庭教師に貴族子女にははしたないとされる魔法を教わるが、親切ぶってセリナを孤立させる姉。植物魔法に目覚めたセリナはペット?のヴィリオをともに家を出て南の辺境を目指す。

俺の娘、チョロインじゃん!

ちゃんこ
ファンタジー
俺、そこそこイケてる男爵(32) 可愛い俺の娘はヒロイン……あれ? 乙女ゲーム? 悪役令嬢? ざまぁ? 何、この情報……? 男爵令嬢が王太子と婚約なんて、あり得なくね?  アホな俺の娘が高位貴族令息たちと仲良しこよしなんて、あり得なくね? ざまぁされること必至じゃね? でも、学園入学は来年だ。まだ間に合う。そうだ、隣国に移住しよう……問題ないな、うん! 「おのれぇぇ! 公爵令嬢たる我が娘を断罪するとは! 許さぬぞーっ!」 余裕ぶっこいてたら、おヒゲが素敵な公爵(41)が突進してきた! え? え? 公爵もゲーム情報キャッチしたの? ぎゃぁぁぁ! 【ヒロインの父親】vs.【悪役令嬢の父親】の戦いが始まる?

贖罪のセツナ~このままだと地獄行きなので、異世界で善行積みます~

鐘雪アスマ
ファンタジー
海道刹那はごく普通の女子高生。 だったのだが、どういうわけか異世界に来てしまい、 そこでヒョウム国の皇帝にカルマを移されてしまう。 そして死後、このままでは他人の犯した罪で地獄に落ちるため、 一度生き返り、カルマを消すために善行を積むよう地獄の神アビスに提案される。 そこで生き返ったはいいものの、どういうわけか最強魔力とチートスキルを手に入れてしまい、 災厄級の存在となってしまう。 この小説はフィクションであり、実在の人物または団体とは関係ありません。 著作権は作者である私にあります。 恋愛要素はありません。 笑いあり涙ありのファンタジーです。 毎週日曜日が更新日です。

【完結】竜騎士の私は竜の番になりました!

胡蝶花れん
ファンタジー
ここは、アルス・アーツ大陸。  主に5大国家から成り立つ大陸である。  この世界は、人間、亜人(獣に変身することができる。)、エルフ、ドワーフ、魔獣、魔女、魔人、竜などの、いろんな種族がおり、また魔法が当たり前のように使える世界でもあった。  この物語の舞台はその5大国家の内の一つ、竜騎士発祥の地となるフェリス王国から始まる、王国初の女竜騎士の物語となる。 かくして、竜に番(つがい)認定されてしまった『氷の人形』と呼ばれる初の女竜騎士と竜の恋模様はこれいかに?! 竜の番の意味とは?恋愛要素含むファンタジーモノです。 ※毎日更新(平日)しています!(年末年始はお休みです!) ※1話当たり、1200~2000文字前後です。

知らない異世界を生き抜く方法

明日葉
ファンタジー
異世界転生、とか、異世界召喚、とか。そんなジャンルの小説や漫画は好きで読んでいたけれど。よく元ネタになるようなゲームはやったことがない。 なんの情報もない異世界で、当然自分の立ち位置もわからなければ立ち回りもわからない。 そんな状況で生き抜く方法は?

転生したので好きに生きよう!

ゆっけ
ファンタジー
前世では妹によって全てを奪われ続けていた少女。そんな少女はある日、事故にあい亡くなってしまう。 不思議な場所で目覚める少女は女神と出会う。その女神は全く人の話を聞かないで少女を地上へと送る。 奪われ続けた少女が異世界で周囲から愛される話。…にしようと思います。 ※見切り発車感が凄い。 ※マイペースに更新する予定なのでいつ次話が更新するか作者も不明。

魔力無しだと追放されたので、今後一切かかわりたくありません。魔力回復薬が欲しい?知りませんけど

富士とまと
ファンタジー
一緒に異世界に召喚された従妹は魔力が高く、私は魔力がゼロだそうだ。 「私は聖女になるかも、姉さんバイバイ」とイケメンを侍らせた従妹に手を振られ、私は王都を追放された。 魔力はないけれど、霊感は日本にいたころから強かったんだよね。そのおかげで「英霊」だとか「精霊」だとかに盲愛されています。 ――いや、あの、精霊の指輪とかいらないんですけど、は、外れない?! ――ってか、イケメン幽霊が号泣って、私が悪いの? 私を追放した王都の人たちが困っている?従妹が大変な目にあってる?魔力ゼロを低級民と馬鹿にしてきた人たちが助けを求めているようですが……。 今更、魔力ゼロの人間にしか作れない特級魔力回復薬が欲しいとか言われてもね、こちらはあなたたちから何も欲しいわけじゃないのですけど。 重複投稿ですが、改稿してます

処理中です...