Nora First Edition

第八話

第8話 5

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ー数時間前ー



「時期早々だと思っていたが…こいつらを導入するとしよウ。

来イ！」



グラムがそう言うと、4人程のドーベルマンが現れた。
グラムの後ろにある施設をバイクでぶち破って。


「なるほど、彼らは君達側だったのか。
風が、人がいると言っていたから奴隷かと思っていたよ。

まさか、ドーベルマンだったとは…。」

「ドーベルマンを知っているなら、話は早イ。

コイツらは、億も造ったドーベルマンの中で5体だけしかいない、隊長格ダ。
最高傑作の方は、人間（モルモット）達の本拠地に雑兵と共に向かわせていル。


流石のアリエスも、コイツらはには太刀打ちできんだろウ。」



グラムは、話が終わると左指を鳴らす。


“体の4段”


4人のドーベルマンは、アリエスを中心にグルグルと回るように走っており、グラムが指を鳴らすとバイクから出た雷で肉体を強化する。

そして、それぞれ銃と剣をバイクの鞘から取り出してかまえた。


「ふむ。
ドーベルマンは、キーウェポンを媒介にホープは使わないのかね？」

「あんなもの、人間の唯の技術不足ダ。

素材はあれ以上の物は存在しないが、それでもアレに負けず劣らずの素材でドーベルマンの武器、アニマを作っていル。」


グラムは、それだけを言うと大きく後ろに飛ぶ。
ドーベルマンが出てきた建物の屋根に座り、アリエスを見下ろす。


そして、左手をアリエスに向かって振る。


「アリエスを殺セ。」


『任務了解。』


グラムの指揮に、4人のドーベルマンは同時に返事をする。

その様子をアリエスは、目を輝かせて見ていた。
アリエスの異様なまでの目の輝きに流石のグラムも困惑した表情を見せていたが…ドーベルマンとしての完成度の高さに感動したからだろうとあまり気には止めていないようだ。



特撮やアニメのようだ。
などと、感動しているのは夢にも思っていないだろう。



「エリナ、オズ。
銃で、相手を牽制。

ウィルは、私と共に剣で応戦！」

『了解！』



バイクの先頭を走るドーベルマンは、それぞれの隊員に命令を出した。
フルフェイスメットと同じ服のせいで、見分けがつきにくいが…




“ウィル”と呼ばれたドーベルマンは、一番体格良い。



“エリナ”と呼ばれたドーベルマンは女なのか他のドーベルマンに比べるとすらっとして胸もある。



“オズ”は、一番小柄でまるで子供のようだった。




「“イズナ”、がんばってねー。」

「人ごとのように言わないでおくれ。
君も頑張るんだよオズ。」



中肉中背のすらっとしているイズナはそう言うと、バイクから盛大に前に飛び上がり剣を振り下ろす。
下からはバイク、上からはイズナ。


横は、オズとエリナの牽制の為に動けず後ろに下がればバイクとイザナの餌食に。


左手を顎にあてて、ふむとボヤいたアリエスは大鎌をもった右手を大きく振る。



“炎這う大地”


実体のある炎を辺りに展開して、ウィルの動きを止めてバイクとイズナを弾き飛ばす。



「エリナ、オズ！
射撃を！」



“技の1段”


エリナとオズは、銃から大きな火の玉を放つ。
アリエスを挟みこむように。

アリエスが後ろに下がろうとしたら、後ろにはウィルがバイクから降りて剣を構えていたり


「食いやがれ！」


“技の4段”


ウィルは、刀身に雷を纏わせるとそのまま振り下ろして雷の刃を地面に走らせる。


アリエスは、軽く息を吸うと両手を上に勢い良く上げて頭の上でくむ。



“クロス・ゼロ”


アリエスの周囲に透明な膜に覆う。
透明な膜は、ウィル達の攻撃を完全に消滅させる。



「やれやれ、厄介な奴らを育てたものだ。」


アリエスは、額の汗を拭うと心底ぐったりとした表情に変わる。
美人なだけに、その表情もまた需要があるかもしれないが、ドーベルマンの男性陣は無反応だ。


「やれやれ、アキラがいないとこうも動かないか。」


イズナは、右腕を抑えながら“アキラ”の名前を言った。
それ程までに彼の戦闘能力が高いのだろう。


「そんなに、ここにいない最高傑作が強いのかね？」

「あぁ、この中でただ1人だけ0段とやらを使えるらしイ。

グレーなんたらとか言う人間〔モルモット〕からデータを取っタ。
血液のちょっとした移植でコピーできるなど、手軽なものダ。」


グラムは、退屈そうにアリエスをみている。
アイクから話は聞いてホープの原理はアリエス自身は分かっていたが、グラムがあっさりとそれを発見出来た事にアリエスは少し焦っていた。


最初に死んだコーダと、最後に死んだベル。
この二人は能力を共有していたから、データをとるのは容易いとは思っていたが、早すぎる。

…誰か協力者か、遺体から記憶を見る技術を持っているか…それとも他人の知識や記憶を盗み見る機械を作っており侵入の際に使われていたか…。


こういう漫画やアニメのドキドキの展開は大好物なのだが…こういう時に勘弁して欲しいものだ。
アリエスは、自然と苦笑いを浮かべる。