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第五話
第5話 35
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「引力による握力の増強ダ。
けっこう効くだロ?
もっと出力を上げるとどうなる思ウ?」
獣は更に手に力を入れる。
コーダもただで殺られる気は無く、かけなしの集中力を使ってゴーレムを作る。
“心の0段 ハデス”
コーダが誇る最強のゴーレムの1つ。
炎をまとった骸骨のような風貌をしたゴーレム。
軽量型の鎧と大きな剣を握りコーダの向かいに出現する。
『ォオオオオオ!!』
ハデスは、コーダから獣を引き剥がすと雄叫びをあげた。
(普段より安定してる、なんで?)
コーダは、一瞬だけそう思考したが直ぐに意識を獣に戻す。
「メガネ、その子をはやく!!」
コーダにそう言われたベルは、直ぐに一番の元に向かう。
“体の5段”
そして、すぐに肉体強化の出力をさげる。
単純に肉体がこれ以上持たないからだ。
「よし、いくよ。
頼むからセクハラとか言わないでくれよ。」
ベルは、そういうと一番を抱えて走り出す。
すると、ベルの背中に何かがぶつかる。
鉄臭い臭いと、生ぬるい水分、そしてコーダの悲鳴。
「ぁあああ!!」
「引力の力のベクトルを別々に向けるとこんなこともできるんだゼ?
何がなんでも無策過ぎるだろお前。」
ベルの背中にぶつかったは、獣に千切られたコーダの左腕だった。
コーダの集中力が無くなったせいか、ハデスは消えてしまう。
そして、獣は冷めた様子でそう言うと横たわるコーダを容赦なく蹴り飛ばした。
「てめぇええ!!!」
「待て!」
ベルが咄嗟にコーダの元に向かおうとしたら、一番に止められる。
決して強くないその力にベルは、動きを止められたのだ。
「頭に血を上らせたまま、闇雲に行っても殺されるだけだ。
私には…すがれる事のできる人間はお前しかいないから離れてほしくないと思っている。
だけど、それ以上に分かってて悪戯に四肢を破壊される姿を私は…見たくない。」
両手でベルの腕の裾を握って、下を向きながらそういった。
涙を流している訳ではなさそうだが、肩を小刻みに震えさせている。
「待たせたナ。
今度こソ…」
「メガネェエエ!!」
獣の話を遮るようにコーダは、大きな声でベルを呼び、伏せた状態でベルを睨みつけているような鋭い光りを灯した瞳でみる。
辺りに大きく響き渡るその声はビクッと獣の肩を震わせた。
脂汗を、大量に流している所を見るとコーダは相当辛いのだろう。
「今、お前がすべきことはなんだ?
間違えるんじゃないよ。」
「あぁ…分かってるよ。」
“心の0段 朱雀”
ベルは、ベルの作ってくれた僅かな時間でキーウエポンで地面を叩きゴーレムを作る。
普段は鍵穴型の魔法陣が出現するのだが、 今は違った。
ベルと一番を中心に魔法陣の他に赤い雷をバタバタと鳴らした炎の円が回りに出現する。
そして一番を抱えたベルの足元に炎をまとった鳥“朱雀”が出現した。
「なんた…アレ?」
流石の獣もポカンとした様子でベルのゴーレムを見た。
そんなものも構わず、ベル達を乗せた朱雀は勢い良く真上に跳んだ。
コーダをおいて。
「コーダ、メガネメガネとバカにされ続けたけどお前と過ごした日々は悪く無かったよ。」
ベルは、それだけを告げると朱雀に飛ぶように命令を出した。
朱雀は、エネルギーを溜めるようにまずは尻尾に輪を作り始める。
その様子を見て我に帰った獣は勢いよく右手をベルに翳した。
「ッ!
させるかヨ!!」
獣がそう言うと同時に朱雀の尾には大中小の三つの輪ができておりそれを解放して飛び始めた。
その瞬間に獣の周囲の地面がめくり上がった。
おそらく、朱雀の動きを止めるために獣の周囲の地面にむかってベルの乗る朱雀を引き寄せたのだろう。
綱引きを思わせるような構図となり、力が拮抗しているのか空気が震えているだった。
「ふぅ…セーフ。
…おら、仲良く綱引きと行こうじゃないノ。」
「…っち!」
“体の8段”
ベルは、再び最高の肉体強化をすると振り返りおもいっきり槍にしているキーウエポンを投げる。
獣は直ぐに左手も前に出す。
かなりの負荷が獣にかかっていて両手がプルプルと震えていたが、ベルの投げたキーウェポンもプルプルと震え進行速度が遅くなっている。
「舐めんなよぉおらぁァ!!」
獣は、そういいながら左手を下に降り下ろす。
ベルの槍はなんとか、そらして落とす事に成功し獣の頬をすり抜けて後ろにささる。
そして、キーウエポンを離して支配力が弱くなったせいか、引力に負けた朱雀の片翼がはがれて落ち始めた。
その様子に思わず獣の表情が緩む。
勝利を確信した獣は思わず声を上げ笑った。
「ハハハハハ!!
お前は随分と俺を楽しませてくれたヨ。
礼だ、楽に死なせてやル。」
獣はそういいながら、落下したベル達に向かって両手をかざす。
けっこう効くだロ?
もっと出力を上げるとどうなる思ウ?」
獣は更に手に力を入れる。
コーダもただで殺られる気は無く、かけなしの集中力を使ってゴーレムを作る。
“心の0段 ハデス”
コーダが誇る最強のゴーレムの1つ。
炎をまとった骸骨のような風貌をしたゴーレム。
軽量型の鎧と大きな剣を握りコーダの向かいに出現する。
『ォオオオオオ!!』
ハデスは、コーダから獣を引き剥がすと雄叫びをあげた。
(普段より安定してる、なんで?)
コーダは、一瞬だけそう思考したが直ぐに意識を獣に戻す。
「メガネ、その子をはやく!!」
コーダにそう言われたベルは、直ぐに一番の元に向かう。
“体の5段”
そして、すぐに肉体強化の出力をさげる。
単純に肉体がこれ以上持たないからだ。
「よし、いくよ。
頼むからセクハラとか言わないでくれよ。」
ベルは、そういうと一番を抱えて走り出す。
すると、ベルの背中に何かがぶつかる。
鉄臭い臭いと、生ぬるい水分、そしてコーダの悲鳴。
「ぁあああ!!」
「引力の力のベクトルを別々に向けるとこんなこともできるんだゼ?
何がなんでも無策過ぎるだろお前。」
ベルの背中にぶつかったは、獣に千切られたコーダの左腕だった。
コーダの集中力が無くなったせいか、ハデスは消えてしまう。
そして、獣は冷めた様子でそう言うと横たわるコーダを容赦なく蹴り飛ばした。
「てめぇええ!!!」
「待て!」
ベルが咄嗟にコーダの元に向かおうとしたら、一番に止められる。
決して強くないその力にベルは、動きを止められたのだ。
「頭に血を上らせたまま、闇雲に行っても殺されるだけだ。
私には…すがれる事のできる人間はお前しかいないから離れてほしくないと思っている。
だけど、それ以上に分かってて悪戯に四肢を破壊される姿を私は…見たくない。」
両手でベルの腕の裾を握って、下を向きながらそういった。
涙を流している訳ではなさそうだが、肩を小刻みに震えさせている。
「待たせたナ。
今度こソ…」
「メガネェエエ!!」
獣の話を遮るようにコーダは、大きな声でベルを呼び、伏せた状態でベルを睨みつけているような鋭い光りを灯した瞳でみる。
辺りに大きく響き渡るその声はビクッと獣の肩を震わせた。
脂汗を、大量に流している所を見るとコーダは相当辛いのだろう。
「今、お前がすべきことはなんだ?
間違えるんじゃないよ。」
「あぁ…分かってるよ。」
“心の0段 朱雀”
ベルは、ベルの作ってくれた僅かな時間でキーウエポンで地面を叩きゴーレムを作る。
普段は鍵穴型の魔法陣が出現するのだが、 今は違った。
ベルと一番を中心に魔法陣の他に赤い雷をバタバタと鳴らした炎の円が回りに出現する。
そして一番を抱えたベルの足元に炎をまとった鳥“朱雀”が出現した。
「なんた…アレ?」
流石の獣もポカンとした様子でベルのゴーレムを見た。
そんなものも構わず、ベル達を乗せた朱雀は勢い良く真上に跳んだ。
コーダをおいて。
「コーダ、メガネメガネとバカにされ続けたけどお前と過ごした日々は悪く無かったよ。」
ベルは、それだけを告げると朱雀に飛ぶように命令を出した。
朱雀は、エネルギーを溜めるようにまずは尻尾に輪を作り始める。
その様子を見て我に帰った獣は勢いよく右手をベルに翳した。
「ッ!
させるかヨ!!」
獣がそう言うと同時に朱雀の尾には大中小の三つの輪ができておりそれを解放して飛び始めた。
その瞬間に獣の周囲の地面がめくり上がった。
おそらく、朱雀の動きを止めるために獣の周囲の地面にむかってベルの乗る朱雀を引き寄せたのだろう。
綱引きを思わせるような構図となり、力が拮抗しているのか空気が震えているだった。
「ふぅ…セーフ。
…おら、仲良く綱引きと行こうじゃないノ。」
「…っち!」
“体の8段”
ベルは、再び最高の肉体強化をすると振り返りおもいっきり槍にしているキーウエポンを投げる。
獣は直ぐに左手も前に出す。
かなりの負荷が獣にかかっていて両手がプルプルと震えていたが、ベルの投げたキーウェポンもプルプルと震え進行速度が遅くなっている。
「舐めんなよぉおらぁァ!!」
獣は、そういいながら左手を下に降り下ろす。
ベルの槍はなんとか、そらして落とす事に成功し獣の頬をすり抜けて後ろにささる。
そして、キーウエポンを離して支配力が弱くなったせいか、引力に負けた朱雀の片翼がはがれて落ち始めた。
その様子に思わず獣の表情が緩む。
勝利を確信した獣は思わず声を上げ笑った。
「ハハハハハ!!
お前は随分と俺を楽しませてくれたヨ。
礼だ、楽に死なせてやル。」
獣はそういいながら、落下したベル達に向かって両手をかざす。
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