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第五話
第5話 34
しおりを挟む“技の4段”
シオはベル達が無事に着地できるようにキーウエポンを銃形態にして、雷の光線を鎧に向かって放ちサポートした。
しかし、鎧は風をつかって光線を曲げてそれを防ぐ。
“技の1段”
エグザスも、炎の斬撃を鎧に向かって飛ばした。
だが、仮面の炎によって防がれる。
「サァ、終ワリダヨ。
今度コソ…ネ。」
鎧は身体中に風を纏ってそういう。
ベルは、一番をゆっくりと離すと槍を両手に握ると鎧を睨む。
「皆も守ってくれるから、そこを動かないでね。」
“体の8段”
ベルの身体中に雷が帯びる。
そして、目にも止まらない速度で鎧に近づき槍で凪ぎ払う。
凪ぎ払われた鎧は遠くにある、この都市の外壁まで飛ばされる。
「…この程度では死なんしよ。
止めはささないさ、だってオマエ…。」
「コノモヤシィイイ!!」
仮面は、炎を大剣に纏わせてベルに振り下ろす。
ベルは、それを簡単に弾き仮面の頭を掴み地面に叩きつける。
地面にヒビをいれ、辺りを血で汚して仮面は気絶した。
ベルは、この仮面も殺す気はないのだろう。
「力の差は、わかったろ?
だから人質なんて真似は止してくれ。
…俺と一緒に心中紛いな事はしたくないだろ?
本当にこの肉体強化はキツいから、俺もしたく無かったんだよ。」
ベルは、目の前にいる獣を睨み付けてそういう。
一番を盾にするように前にして、白毛の獣が立っていた。
「つくづくやっないな生き物だよ、人間って奴ハ。
今の身体能力のオマエは厄介ダ。
その術が辛いなら一旦解いてもらっても構わないぜ?」
「人質をとって、優位になるためには条件が足りないぞ獣。」
ベルはそういうと、予め銃形態にしていたコーダをみる。
“技の1段”
コーダは、火の弾を獣に向かって放つ。
「だから、どうしタ?」
獣の体に当たる前にコーダの火の弾は、不自然に爆発した。
いや、つぶれるように形が変わって爆発したようだ。
「何がおきた?」
「あぁ、圧縮して潰しタ。」
コーダの問いに獣はあっさりと答えた。
先程の現象を見る限り嘘ではなさそうだ。
獣はダルそうに首を回した後に再びベルを見る。
「俺のインフィニティーは特殊でサ。
“ファーストサンプル”って呼ばれるものらしイ。
詳しくは知らねーけどさ…俺はあらゆるものをあらゆるベクトルで引き寄せられル。
空気を一ヵ所に引き寄せて圧縮したり、俺自身に物を引き寄せたリ。
結構、便利だゼ。」
「ぁあ、それについては知っているさ。
…誰よりもな。」
ベルは、そういって槍を構えると獣は嬉しそうにニヤリと笑った。
そして、一番から少し離れた。
「なんだ、見た目よりもずっと博識な野郎なんだナ。」
ベルは、1番から離れた僅かな隙を逃さないように獣の目の前に移動して槍を突きだした。
だが、槍の先は獣に向かっていかないで獣の直ぐ横の地面に刺さってしまった。
「おら、お楽しみの時間だ。」
獣はそういうと空いている左手で殴った。
ベルのかけている体は、エグザスやカナと同様にほぼ最強の体。
どんな獣だろうが、至近距離じゃない限り当たることはない。
「…ッ!!
いいね、その顔!!」
獣はそういうと、一番を離して軽く吹き飛ぶベルを嬉しそうに追いかけた。
そして受け身をとるまえに、またベルの顔を殴り飛ばした。
「この肉体強化でも無理なのか。
せめて反射があればなぁ。」
「知っているのはブラフではないんだナ。
そうだ、ご存じの通り敵を引き寄せて殴るんダ。
片割れの反射がないと、避けようがないんだヨ。
それにオマエは俺の拳に、俺はオマエの顔ニ。
それぞれを引き合うようにやれば普通に殴るよりかは痛手だロ?」
ベルは、咄嗟に獣の手をキーウエポンで弾くと後に跳ぶ…が引き寄せられてしまい身動きがとれない状態になってしまった。
獣は拳を固めて待ち構えている。
「…っ!
何をしてるメガネ、さっさといけよ。」
コーダは、獣を後ろから抑さえ込む。
意識がそれたせいか、引力の効果もなくなりベルは無事に地面に着地できた。
ため息をついた獣は、ゆっくりとコーダの手を握る。
「おいおい、白けるような事はすんなよナ。」
獣はそういうと、コーダの手を握り潰した。
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