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第五話
第5話 18
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◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「さぁ、成人式だぞ一番!
さっさとでロ!!」
一番は獣にそう言われると、外に出された。
成人式なんて名前だが、実際は酷い。
別の言葉でいうと、選別。
言うことを聞く女なら、そのまま苗床に。
聞かない女なら、薬付けにして苗床に。
薬品に耐えれる女じゃなかったら家畜にされる。
人間量産のための。
結局…地獄。
でも、ただじゃヤらせない。
絶対に…一匹は殺す。
一番は最後の足掻きだと消えかかっていた闘志をメラメラと燃やしながら獣の後をついていく。
「おい、いい目をしてるナ。
ヤりがいがありそうだァ。」
私を見る獣は、イヤらしい目付きで一番を見る。
品定めをするようにゆっくりと。
突然、大きな揺れがおきた。
侵入者発見、直ちに急行せよ。
正体は特殊な力をもった人間だ、武器の携帯を忘れるな。
そんなアナウンスが繰り返しなっている。
「私に欲情してる場合ではないんじゃないのか?」
「大丈夫ダ。
特殊な力を持った所で人間は、人間。
結局…我々、獣人には勝てないんだヨ。」
そう、自信満々で笑う獣がなんとも滑稽に見えた。
傲慢…それゆえに隙がありすぎたのだ。
「そうか、それは良かったな!」
一番は、隙だらけの獣の急所を思いっきり蹴り上げた。
人間より強靭とはいえ、そこだけはかわらないだろう。
予想通り、股間をおさえて丸くなった。
「き…さまァ…。」
「だから言っただろ、私に欲情してる場合じゃないって。」
蹴られた獣の悲痛な叫びが聞こえたのか、他の獣達が様子を見にきた。
「おい、何をしていル!?」
「私は苗床にならない。
特殊な力を持った同胞が来たんだ。
こんな所にもういられるか!」
一番は、獣達から背を向けて逃げた。
獣達が追っているのは振り向かなくても分かりきっていた事なので、前だけを集中して走る。
揺れは近い。
なら…同胞がいる筈だ。
無力な人間じゃない、頼るに値する人間が!
一番は、可能な限り揺れが高くなってから行動していた。
上手くいけば、同胞にあえるだろう。
「ほら、捕まえタ!!」
そんな甘い考えは通らず、同胞の姿を見る前に一番は捕まってしまった。
肩を捕まれ、そのまま地面に押し倒されたようだ。
衝撃で視界が霞み正確な情報が視界には入ってこない。
このまま人格を変化させされるような調教や薬物投与をされてしまうかもしれない。
だけど、自分の意思を貫いたんだ。
悔いは…ない!
「はーい、エンガチョ。」
気の抜けたような声が聞こえると思ったら一番を押さえていた肩の力が緩くなった。
状況を確認しようたとした一番だったが真っ赤な血が彼女の前身に降り注ぐ。
“心の0段”
視界がなくなった1番の体が持ち上がり馬のような物に乗せられた。
捕まるものがない為に自然と前にいた人に抱きつく体勢になる。
…こんな華奢な体だから、女…だろうか?
そんな1番の考えを他所に事態は進んでいく。
「死にたくないなら逃げなさいな。
…まぁ、逃がしはしないけどね。」
「黙れ、下等種族がァ!!」
獣の声が大きく響くなか、馬のような乗り物の速度が上がった。
思わず、私は馬に乗っている人に捕まる力を強めてしまった。
「そのまま、しっかりつかまってなさいな。
振り落とされないよーに!!」
それだけを私に告げると、乗っている馬のようなものの速度を上げた。
獣達が殺られていく姿は見えないが、多少の返り血の感覚と獣の悲鳴はわかった。
体の動きからして、右手にもつ槍のような武器を振り回して、前を駆け抜けているのだろう。
私とも余り変わらない体つきをしているのに難なく獣達を凪ぎ払っているのだ。
…私と…同じ体つき?
いや、それにしてはゴツゴツというか…硬い感じがする。
まさか…。
「男!?」
「デュハァ!」
私はしがみついていた人を突飛ばし、右手で目を擦り血を拭く。
目の前には残念な体勢で倒れる細身の男が倒れていた。
私は急いで馬?の首もとにしがみつき体の露出を出来るだけ少なくする。
「おい、モヤシ。
さっさと服を作れ、苗床の子がかわいそうだろ。」
「お前には、俺を労るって感情は存在しないのか?」
“モヤシ”との呼ばれた男はコートを脱ぎ私の肩にかけた。
そして、コート越しに私の体に杖を突きつける。
“心の0段”
コートと私が光に包まれると、モヤシのコートがワンピースのような形状になり私の身を包む。
「貴女は、一番様!?」
「あの時のシスター。
無事だったんだね。」
あの丸刈り男の後に黒髪の女とあのシスターが現れた。
信じるものは救われる。
私は、少しだけ信じそうになった。
「話は後だ。
引き続き、ジュリを探…。」
「ァああああああ!!!」
すると、凄まじい振動と共に男の叫び声が聞こえた。
普通では絶対に出せない強烈な叫び。
「もしかしたら、体の暴走なのかもしれない。
エグザスの所に向かうぞ。」
モヤシ達は、私を連れてエグザスとやらのの元にユニコーンに乗ってむかった。
「さぁ、成人式だぞ一番!
さっさとでロ!!」
一番は獣にそう言われると、外に出された。
成人式なんて名前だが、実際は酷い。
別の言葉でいうと、選別。
言うことを聞く女なら、そのまま苗床に。
聞かない女なら、薬付けにして苗床に。
薬品に耐えれる女じゃなかったら家畜にされる。
人間量産のための。
結局…地獄。
でも、ただじゃヤらせない。
絶対に…一匹は殺す。
一番は最後の足掻きだと消えかかっていた闘志をメラメラと燃やしながら獣の後をついていく。
「おい、いい目をしてるナ。
ヤりがいがありそうだァ。」
私を見る獣は、イヤらしい目付きで一番を見る。
品定めをするようにゆっくりと。
突然、大きな揺れがおきた。
侵入者発見、直ちに急行せよ。
正体は特殊な力をもった人間だ、武器の携帯を忘れるな。
そんなアナウンスが繰り返しなっている。
「私に欲情してる場合ではないんじゃないのか?」
「大丈夫ダ。
特殊な力を持った所で人間は、人間。
結局…我々、獣人には勝てないんだヨ。」
そう、自信満々で笑う獣がなんとも滑稽に見えた。
傲慢…それゆえに隙がありすぎたのだ。
「そうか、それは良かったな!」
一番は、隙だらけの獣の急所を思いっきり蹴り上げた。
人間より強靭とはいえ、そこだけはかわらないだろう。
予想通り、股間をおさえて丸くなった。
「き…さまァ…。」
「だから言っただろ、私に欲情してる場合じゃないって。」
蹴られた獣の悲痛な叫びが聞こえたのか、他の獣達が様子を見にきた。
「おい、何をしていル!?」
「私は苗床にならない。
特殊な力を持った同胞が来たんだ。
こんな所にもういられるか!」
一番は、獣達から背を向けて逃げた。
獣達が追っているのは振り向かなくても分かりきっていた事なので、前だけを集中して走る。
揺れは近い。
なら…同胞がいる筈だ。
無力な人間じゃない、頼るに値する人間が!
一番は、可能な限り揺れが高くなってから行動していた。
上手くいけば、同胞にあえるだろう。
「ほら、捕まえタ!!」
そんな甘い考えは通らず、同胞の姿を見る前に一番は捕まってしまった。
肩を捕まれ、そのまま地面に押し倒されたようだ。
衝撃で視界が霞み正確な情報が視界には入ってこない。
このまま人格を変化させされるような調教や薬物投与をされてしまうかもしれない。
だけど、自分の意思を貫いたんだ。
悔いは…ない!
「はーい、エンガチョ。」
気の抜けたような声が聞こえると思ったら一番を押さえていた肩の力が緩くなった。
状況を確認しようたとした一番だったが真っ赤な血が彼女の前身に降り注ぐ。
“心の0段”
視界がなくなった1番の体が持ち上がり馬のような物に乗せられた。
捕まるものがない為に自然と前にいた人に抱きつく体勢になる。
…こんな華奢な体だから、女…だろうか?
そんな1番の考えを他所に事態は進んでいく。
「死にたくないなら逃げなさいな。
…まぁ、逃がしはしないけどね。」
「黙れ、下等種族がァ!!」
獣の声が大きく響くなか、馬のような乗り物の速度が上がった。
思わず、私は馬に乗っている人に捕まる力を強めてしまった。
「そのまま、しっかりつかまってなさいな。
振り落とされないよーに!!」
それだけを私に告げると、乗っている馬のようなものの速度を上げた。
獣達が殺られていく姿は見えないが、多少の返り血の感覚と獣の悲鳴はわかった。
体の動きからして、右手にもつ槍のような武器を振り回して、前を駆け抜けているのだろう。
私とも余り変わらない体つきをしているのに難なく獣達を凪ぎ払っているのだ。
…私と…同じ体つき?
いや、それにしてはゴツゴツというか…硬い感じがする。
まさか…。
「男!?」
「デュハァ!」
私はしがみついていた人を突飛ばし、右手で目を擦り血を拭く。
目の前には残念な体勢で倒れる細身の男が倒れていた。
私は急いで馬?の首もとにしがみつき体の露出を出来るだけ少なくする。
「おい、モヤシ。
さっさと服を作れ、苗床の子がかわいそうだろ。」
「お前には、俺を労るって感情は存在しないのか?」
“モヤシ”との呼ばれた男はコートを脱ぎ私の肩にかけた。
そして、コート越しに私の体に杖を突きつける。
“心の0段”
コートと私が光に包まれると、モヤシのコートがワンピースのような形状になり私の身を包む。
「貴女は、一番様!?」
「あの時のシスター。
無事だったんだね。」
あの丸刈り男の後に黒髪の女とあのシスターが現れた。
信じるものは救われる。
私は、少しだけ信じそうになった。
「話は後だ。
引き続き、ジュリを探…。」
「ァああああああ!!!」
すると、凄まじい振動と共に男の叫び声が聞こえた。
普通では絶対に出せない強烈な叫び。
「もしかしたら、体の暴走なのかもしれない。
エグザスの所に向かうぞ。」
モヤシ達は、私を連れてエグザスとやらのの元にユニコーンに乗ってむかった。
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