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第五話
第5話 8
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◆◇◆◇◆◇◆◇
ベル達が、地上で警備を潰している間にアイク達は予めベルの用意した穴を使い、地下を歩いていた。
因みに、コーダではなくベルが穴を用意したのは0段の練習の為らしい。
先頭に歩くのは、アイクとカナ。
後ろには、グレーズとアンナ。
「しっかし、アイク。
この匂いは、どーにかならないもんかね。
臭くてたまらんわ。」
「アイク殿。
自分は、こういう…窮屈な場所は苦手で。
もっと、開放的な場所を進みたいのですが…。」
グレーズとカナは、アイクに向かってそうぼやいた。
アイクはチラッと二人の装備をみて、ため息をつく。
だが、アイクやアイク殿となんども同じ言葉をリピートしているせいかプッツンときたらしく大きく怒鳴ってしまう。
「っせ!!
テメーらの装備を見てみろ!
今回は、あくまで隠密。
派手にできなくちゃいけない。
オメーらに出来ないじゃねーか。
グレーズの0段は喧しいし、カナに至っては武装や動き、攻撃の型の全てにおいて喧しいじゃねーか!! 」
「アイク様、落ち着いてください。」
アンナは、暴れるアイクを後ろから抱きつくように抑える。
抑えているのがアンナとわかると、アイクは再びため息をついておとなしくなった。
「ところで、アイク殿。
自分は、地図が読めなくなったようです。
自分達は今、何処にいるのでしょう?
…まさか、暗号化したのですか!?」
「逆さまだよ、バーカ。」
地図を逆さに眺めていたカナから地図をさらっと奪ったアイクは現在地を確認する。
獣の町とはいっても、人間が使っていたものをそのまま転用しただけのもの。
多少の改良は加えられてはいるが…下水道みたいに、ただの通路には手が加えられる事は少ない。
だから、道順程度なら昔の地図でも問題はないようだ。
「アイク殿。
今、自分達は何処に…。」
「今、確認してるから少しだけ待ってろよ。
そして、落ち着け。」
アイクはため息を再びついた後、子供のように腕にくっつくカナを無視しながら地図を再び見直す。
アンナの松明の光を頼りに、アイクは地図を眺める。
現在は、街のやや真ん中からへん。
その地下にいる。
「ここから…10分弱ってとこか。」
「そうだな…コーダからの連絡もないから上の方も無事なようだし、今のところは上出来だ。」
薄暗い所で文字が見えにくいグレーズは、目を細めて目的地への大凡の時間を言うと、アイクは、ホッとしたような表情で口を開く。
その様子を見てアンナは、クスクスと笑う。
キョトンとしている三人を優しい瞳で眺めた後にゆっくりと口を開いた。
「訓練の時では、あんな軍隊みたいな事をしていたのに現場では、そんな表情で心配してるのですね。」
「アイクは、素直じゃないの。
ガキ共みたいに、素直にいってくれると此方としても話はラクなんだかね。
コイツ、直ぐに照れて話を誤魔化すから。」
グレーズにもそう言われたアイクは、顔を真っ赤にして天井をみる。
出口を探している様子だったが、目線が泳いでいた為、嘘なのだろう。
グレーズは、それが分かっているようでフッと鼻でわらっていた。
「アイク殿、入り口はアレですか?」
カナの視線と指先は、高い高い天井のある場所に向いていた。
柱にそって続く梯子。
その梯子の先には入口と思われる扉があった。
ベル達が、地上で警備を潰している間にアイク達は予めベルの用意した穴を使い、地下を歩いていた。
因みに、コーダではなくベルが穴を用意したのは0段の練習の為らしい。
先頭に歩くのは、アイクとカナ。
後ろには、グレーズとアンナ。
「しっかし、アイク。
この匂いは、どーにかならないもんかね。
臭くてたまらんわ。」
「アイク殿。
自分は、こういう…窮屈な場所は苦手で。
もっと、開放的な場所を進みたいのですが…。」
グレーズとカナは、アイクに向かってそうぼやいた。
アイクはチラッと二人の装備をみて、ため息をつく。
だが、アイクやアイク殿となんども同じ言葉をリピートしているせいかプッツンときたらしく大きく怒鳴ってしまう。
「っせ!!
テメーらの装備を見てみろ!
今回は、あくまで隠密。
派手にできなくちゃいけない。
オメーらに出来ないじゃねーか。
グレーズの0段は喧しいし、カナに至っては武装や動き、攻撃の型の全てにおいて喧しいじゃねーか!! 」
「アイク様、落ち着いてください。」
アンナは、暴れるアイクを後ろから抱きつくように抑える。
抑えているのがアンナとわかると、アイクは再びため息をついておとなしくなった。
「ところで、アイク殿。
自分は、地図が読めなくなったようです。
自分達は今、何処にいるのでしょう?
…まさか、暗号化したのですか!?」
「逆さまだよ、バーカ。」
地図を逆さに眺めていたカナから地図をさらっと奪ったアイクは現在地を確認する。
獣の町とはいっても、人間が使っていたものをそのまま転用しただけのもの。
多少の改良は加えられてはいるが…下水道みたいに、ただの通路には手が加えられる事は少ない。
だから、道順程度なら昔の地図でも問題はないようだ。
「アイク殿。
今、自分達は何処に…。」
「今、確認してるから少しだけ待ってろよ。
そして、落ち着け。」
アイクはため息を再びついた後、子供のように腕にくっつくカナを無視しながら地図を再び見直す。
アンナの松明の光を頼りに、アイクは地図を眺める。
現在は、街のやや真ん中からへん。
その地下にいる。
「ここから…10分弱ってとこか。」
「そうだな…コーダからの連絡もないから上の方も無事なようだし、今のところは上出来だ。」
薄暗い所で文字が見えにくいグレーズは、目を細めて目的地への大凡の時間を言うと、アイクは、ホッとしたような表情で口を開く。
その様子を見てアンナは、クスクスと笑う。
キョトンとしている三人を優しい瞳で眺めた後にゆっくりと口を開いた。
「訓練の時では、あんな軍隊みたいな事をしていたのに現場では、そんな表情で心配してるのですね。」
「アイクは、素直じゃないの。
ガキ共みたいに、素直にいってくれると此方としても話はラクなんだかね。
コイツ、直ぐに照れて話を誤魔化すから。」
グレーズにもそう言われたアイクは、顔を真っ赤にして天井をみる。
出口を探している様子だったが、目線が泳いでいた為、嘘なのだろう。
グレーズは、それが分かっているようでフッと鼻でわらっていた。
「アイク殿、入り口はアレですか?」
カナの視線と指先は、高い高い天井のある場所に向いていた。
柱にそって続く梯子。
その梯子の先には入口と思われる扉があった。
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