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第四話
第4話 2
しおりを挟むベルは、獣達が地上に気をとられている隙にビルの屋上から内部に浸入していた。
自身の0段を駆使してグングンと先に進んでいく。
「それにしても、広すぎだろ。
ワンワンも少し頑張りすぎでしょ。」
ベルは脳内の地図にそって、部屋を突き進んでいく。
目的の場所に向かう際に、あの部屋を通過しなければいけない。
アイクたちが最後にはいった石の並ぶ部屋に。
「しっかし…この部屋を通過するって事は、丁寧に自己紹介したフェムトってやつと遭遇するってことか?」
「そういうことになるナ。」
ベルが部屋の扉の前でパソっと呟くと後ろから銀毛の獣“フェムト”が声をかけた。
そして、そのままフェムトは手に持つハルバートを横にスイングする。
ベルは扉に体当たりして部屋に入るようにして攻撃を避けた後にキーウエポンを杖形態にかえた。
「貴様が我等で噂されている召喚師カ?
」
「え、俺ってそんな大層な肩書で呼ばれてるの?」
ベルはそう言いながら、地面に杖先を当てる。
“心の0段”
ベルの周りに、三体のユニコーンが現れた。
「ぁア。
いつもいつも、その動く無機物に手を焼いていル!!」
「…襲え!」
忌々しそうに苛立ち混じりにフェムトはそういうとハルバートを構えて、ベルの元に向かって走る。
ベルも、右手の人差し指をフェムトに向けてユニコーンを走らせた。
だが、ユニコーンを3体でもダイルは苦戦をせずに戦っている。
一体を吹き飛ばし、ユニコーンの角をうまくよけ、隙があればハルバートで攻撃の繰り返し。
一撃でユニコーンを倒せるほどの攻撃力ではないが倒されるのは時間の問題だろう。
「どうしタ!!
こんなものなのか、貴様ハ!!」
「焦らない焦らない。
ひと休みふた休み。」
いい感じのアドレナリンがでて闘争心剥き出しのフェムトに対して、引き締まっていない笑みを浮かべたベルはキーウエポンをバトンのようにクルクルと体の前で回転させた。
“心の0段 麒麟
じんの0だん きりん”
回転させたキーウエポンの先を地面に叩きつけて1体のユニコーンを召喚する。
だが、先程のユニコーン達とは雰囲気が圧倒的に違う。
ベルを中心にバリバリと赤い雷と普通よく見る白っぽい雷が発生し渦を巻く。
部屋の雰囲気も相まってかなり禍々しかった。
渦がなくなって出現したソレは、普段使っているユニコーンより一回り大きく、体を守るためか体毛もたあり体からは絶えず雷がバリバリと音を立てていた。
「やれ。」
ベルは、雷を帯びたユニコーン“麒麟”に指示を出すと麒麟は、フェムトを踏み潰す勢いで跳び跳ねた。
紙一重で攻撃を避けたフェムトだが、麒麟はそのまま帯びている雷を地面に向かって放射する。
地面をつたって伸びる雷を浴びて怯むフェムトの腹部にすかさず
角で殴り飛ばした。
「ぐぁぁああア!!」
麒麟は、角に雷を球体になるように集めると外につながるであろう壁にぶつける。
ベルは直ぐに、吹き飛ばされたフェムトに近づくとキーウエポンの先をフェムトに当てた。
「すまんね、時間はかけれないんだ。
特にお前さんみたいにタフな奴の相手ははな。」
“心の0段”
ベルは、周囲の壁や床を使ってフェムトの体を包む球体を作った。
そして、そのままサッカーボールのように麒麟で開けた穴を目がけて蹴り飛ばす。
ナイスシュート。
フェムトはそのまま綺麗に穴から落ちていった。
フェムトの顔は丸出しにしているために大きく悲鳴が響き渡る。
どうせフェムトのことだからアイクの時同様に仲間に連絡はいってるはずだからあの声で警備の方も引きつけてほしいものだ。
「さて、行くか、」
ヤスは全てのゴーレムを消して歩き出す。
「っと、コイツも一応調べておくか。」
ヤスは、思い出したかのように足を止めて踵を返し部屋に並べられている緑色の石の中身を確認する。
「…コイツは…死んでるのか?」
琥珀の中にある虫のような丸くなった状態で獣が入っていた。
恐らく、生前の姿のままで。
「ここはようは墓場みたいなものか。」
奥にはひときわ大きい石があるが、こういうのは村長とかそこそこ地位の高い獣がはいっているのだろうか。
ベルはそう考察しながら、部屋に出て目的の部屋“コンピュータールーム”に向かう。
あの部屋からコンピュータールームまで距離はなく直ぐにたどり着いた。
ベルは、たどり着くなりキーウエポんなからUSBを取り出して差し込む。
画面を見ながら、側にあるキーボードを打ち込んでいく。
「…っ!
まじか、こんな技術を作ったのかよ獣達は!?
…これは、ノラだけの問題じゃないな。
危険なんて関係ない、ダメ元で生きてる可能性のある他の奴らに連絡しなくちゃな。」
「何処ニ…連絡スルツモリナノカナ?」
必要なデータを落とせたのか、USBを外して部屋から出ようとしたが声が聞こえた。
足を止めて、声が聞こえる方向を見ると一体の鎧をいる。
中世の鎧を全身に纏い、素顔も兜のせいで分からない。
「わぁお。
そんな鎧なんて、博物館でしか見たことがなかったよ。」
「アッハッハ。
人ノ質問ニ対シテノ返答ハ、スルベキモノダヨ少年。
サテ…モウ一度聞車のケド何処ニ、連絡スルツモリダッタノカナ?」
鎧は、右手に光を集めて大型の槍を作った。
その光は、熱によるものか雷によるものかは不明だが…ただ者では無さそうだ。
しかも、出現させた槍にも雷のような物を纏わせている。
ベルは、杖形態のキーウエポンを引きずりながら下がる。
「そんなの聞くことでもないでしょ。
こんなの相場は、仲間って…答えるんだから!!」
“心の0段”
ベルは、そういうと後ろに向かって部屋を出た後にホープで部屋を塞ぐ。
そして、そのままキーウエポンを剣形態に代える。
“体の4段”
肉体強化をかけて、そのまま次の目的地に向かって走り出す。
苗床のいる部屋に。
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