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第2話

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ニシヤマが連れてきたのは、すこし筋肉質の男だった。
頭にタオルをまいて、黒いジャンバーとジーパンを履いた優しそうな顔をしている。


「あ、ミナトさんじゃないですかお久しぶりです。
そちらの女性はお友達?」

「こちらこそ、お久しぶりですカワノさん。
ぇえ、友人のオオダです。」


カワノとオオダの紹介が済んでやっと引っ越しが始まった。
ニシヤマがオオダに説明している間、こそこそとミナトにカワノが近づいてくる。


「オオダさんに彼氏っています?」

「いないですけど…まさか…!」


小声で声をかけられた為にミナトも思わず、小声で返した。
ミナトの答えを聞いて嬉しそうな表情を浮かべて小さくガッツポーズをしている。

そのまさかのようだ。


「チャンスが僕にもあると。」


「…まぁ、本人が良ければ私からは何も言うことはないですけど…一言言えるのは、奴は時と場合によっては狂暴ですよ。」


猫かぶりより少し狂暴な位が自分に合っているとウキウキしながら、ニシヤマの所に向かって行く。
やれやれと、ミナトもニシヤマの所に向かった。

先ずは大型のものだと、ミナト達はマッサージチェアを囲んでいる。
いきなりこれかぁ…などと考えたが、疲れた時に運ぶよりマシかなどとミナトは考えた。

ニシヤマの掛け声で一斉にマッサージチェアを持ち上げる4人。


「ミナト君とオオダ君は大丈夫?」

「はい、大丈夫です。」


ダメだったらどうするんだよと内心文句をいいながら、ミナトは歩を進める。
少しずつ休憩を挟みながらなんとかハイエースに詰め込めた一行。


オオダの前でかっこつける為に張り切っていたカワノだが…オオダはケロッとした表情をしており、それどころか疲労でプルプルしているミナトの腕をツンツンしていた。


いや…まだ、始まったばかりだ。
カワノはチャンスを伺いながら、ハイエースに荷物を積んでいった。



「…で、この状態は何事?」


荷物を積んだら次は運ぶだけ。
運転席にはニシヤマ、助手席にはオオダが腰をかけていてミナトはと言うと後ろに収納されたマッサージチェアに腰をかけている。

バックミラー越しでニシヤマは、笑いを堪えたような表情でミナトを見ていた。


「いやーいいじゃない、ミナト君。
座り心地なら最高だよそこの席。」

「電気が流れていたら最高だったな。」


そんな冗談で盛り上がる車内。
細身で身長が高いわけでもないから、大体こういう役はミナトに回ってくる。

かなり昔も定員オーバーの軽自動車の中で1人だけトランクの中だったな。
布を被せられて、お前はマネキンだといわれた。
当時の彼女の心境はマネキンって言うより完全に配送されている遺体のような気持ちの方が正しいだろう。


しかし座り心地とマッサージチェアの安定感はばっちりで、不服だが座ってて悪くはない。
もしもの時に備えて携帯のマップを開いていると、赤信号でまっている時に別の車で後を追うカワノからメールがきた。


【そっちは盛り上がっていますか?】


この内容をみて呆れたミナト、あんなに攻めの姿勢でいるのに何故ここでヘタれる?


【目的地に着いたらオオダに聞いてください、話のネタになりますよ。】


やれやれとメールを返信すると目的地に到着したようだ。
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