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第62話 栗子貫通
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(これまでのあらすじ……)
住民が上申書を出し、郡役所は回答書布告で納付強行をはかります。遡る事2年前、内務省東北7大事業を受けての関山計画でした。そして今、三島県令は栗子貫通まであとひと息のところまで迫りました。工事現場に寝泊まりして工事を見守る三島のもとに、高木課長も合流して貫通の一瞬を待ち受けます。
**********
三島通庸県令がまどろみから跳ね起きた、そんな時でした。
三島が聞き知った誰かの叫ぶ声が、隧道入口の方角から聞こえてきます。そして、その声は三島のいる人夫小屋へどんどん近づいてきまし。
「県令さ~ん!県令さ~ん!来たぁ~!来た来た~!」
それは「い組」の人足頭・伊勢貞吉の声でした。
「貞吉!どげんしたとじゃ!何が来やったが!」
期待に胸を膨らませた三島は、人夫小屋を飛び出して、両腕で貞吉の肩をしっかとつかみ、貞吉を迎えます。貞吉は慌てているのか、口をパクパクさせて声になりません。
三島に続き、工事管理事務所からも高木課長と中村技師が押っ取り刀で駆け込んできて、貞吉を取り囲みます。三島が貞吉を掴んでいた腕を放すと、代わって高木と中村が貞吉の肩を揺さぶって問いかけます。
「どうした!」「つながったか!」
高木と中村は息せき切って言葉をたたみかけますが、貞吉の方が目を白黒させてしまい、言葉がでません。急かされる程に、何を言って良いか益々分からなくなっていってしまったようです。
「と、棟梁が、……お前、行ってこいって、……県令さんさ、伝えでこいって……県令さんさ、お前、行げって」
「それは分かった、棟梁が県令閣下に何を伝えろと言ったのか」
もどかしそうに中村が言うと、改めて気付いたかのように貞吉が慌てます。
「あっ!あ!んだんだ!大変だ!県令さんさ、言わんなね!俺、言わんなねんだ!」
「だから何だ!」「早く言え!つながったのか!つながったんだな!」
期待に興奮する高木と中村の問いかけを裏切るように、貞吉がその言葉を打ち消します。
「んね!つながったんでね!」
一瞬、高木が意味を掴みようもなく唖然とします。中村は中村で、もはや激昂しそうに声を荒げます。
「なんだ!だったら何しに来た!つながってないのか!」
しかし、貞吉は気持ちがようやく落ち着いたのか、中村の激昂と反比例するかのように、棟梁の言葉を噛み締めつつ訥々と話します。
「んね、んだげんど、そごさ福島の衆も来ったんだ、ノミの音もする!あどひと打ぢしたら、つながっべがら、県令さんさ教ぇでこい、って棟梁が!」
そこでようやく高木と中村は愁眉を開き、安堵するとともに心からの喜びの笑顔をあらわにしたのでした。
「そうか!……そうか、そうか!」
「私の計算は間違っていなかった!良かった!」
二人は手を取り合って喜びあいます。その後ろで三島も満足そうに何度も頷いていました。
そして、三島は、喜ぶ二人を尻目に叫びます。
「よし、おいも行く」
「行くって……閣下、どこに?」
高木が振り返り、不思議そうに三島に聞き返しました。三島はさも楽しそうに答えます。
「そんなん、決まっちょろうが、隧道の中じゃ!福島ん衆に挨拶せんばいかん!棟梁が貞吉ば寄越したんは、おいに来いっちゅうことじゃっで。貞吉!案内せえ!」
「へえ!」
貞吉は芯から嬉しそうな声で返事をしました。
「か、閣下、ちょっ、ちょっとお待ちください!き、危険です、せめて、朝になってからでも」
喜びから一転、慌てる高木と中村は驚き動揺します。しかし、いたずら小僧のような笑みをたたえた三島に、引き留めの言葉なぞ、何の効力ももたらしません。
「隧道の中は、朝でん、昼でん、真っ暗じゃ!かまわん、かまわん!グズグズ言うちょると置いてくど!福島衆が待っとるで、県令が挨拶に行かんでどうする!貞吉!行くぞ!」
「へえ!」
貞吉はカンテラの蝋燭を新しいのに替え、喜び勇んで、三島の足元を照らしながら進んで行きます。貞吉に遅れて到着したもう一人の人夫も、進行方面を明るく照らしつつ、貞吉、そして、三島を先導します。
三島を思いとどまらせるなぞ土台が無理な話であるとすぐに思い直した高木と中村も、カンテラを持って三島の後を続いて行くのでした。
**********
山形県側隧道入口から歩いて258間、およそ464メートルも歩いたところで、三島たち一行は坑道の先端部分にようやくたどりつきました。普通なら5分もかからぬ距離ながら、道ならぬ道を、しかも暗闇の中ということで、30分近くかかったかもしれません。
「県令閣下、お待ちしたっけっす。閣下だば、必ず来っべど思たっけっす」
「い組」の棟梁が、現場に初めて三島県令を迎えます。棟梁ならずとも人夫たち皆が、三島県令がこの瞬間を待ち望んでいたことを知っています。
だからこそ、たとえ夜中であろうと県令にはその場に立ち会って見届けていただきたいと、皆が思っていました。また、きっと三島県令もそれを望んでいるはずだと、皆は信じて疑いもしませんでした。
「いやあ、なかなかよかとこじゃ。兵児ん時、かごんまの風穴で遊んだごつ、思い出すっとじゃ、懐かしかなぁ。……ん?……お、おお!聞こえる!聞こえっど!」
福島側からの岩を掘削するノミの鎚音が響いてきます。
(カンカン……ガンガン……カンカン……)
すると、棟梁が今こそ時は至れりとばかりに、人夫たちに檄を飛ばします。
「よし、おめだ!開通の一番槍つけだ奴さだば酒一升だ!県令閣下の目の前でおめだの働きっぷりば見せでやれ!……んだば、かがれ!」
「おう!」
とたんに人夫たちはそれぞれの持ち場でカンテラの明かりを壁面に向け、勢いよくノミを奮い始めます。
「よっしゃ、見でろ!」「酒は俺がもらった!」「馬鹿こぐな、俺だ!」
(カンカンカン!)(ガンガンガン!)(ガッガッガッ!)(ガズガズ、ガガガッ!)
人夫たちは三島県令や高木課長といった面々の見守るなか、一世一代の晴れ舞台のように暗闇の坑道の中でノミを振るい鎚音を響かせます。深夜にも関わらず、三島県令も頼もしげにその姿を見守り、高木課長や中村技師も今か今かと緊張しながら作業を見つめていました。
……そんな時、……作業を再開して間もなくの頃でした。
(ガラガラッ!)(ドドッ!)(ザザザッ!)
突然、複数の壁面で、やにわに大きく土砂が崩れ落ちました。土砂や岩盤が崩れる大きな音がしたかと思うと、壁の向こう側からのカンテラの光芒とこちら側からのカンテラの光芒が交錯します。
福島県側からの坑道と山形県側からの坑道が、山中で繋がった瞬間でした。
(…………)
しばらく……の、沈黙の後でした……。
「ばんざ~~い!」「万歳!」「万歳!」「万歳!」
壁の向こう側とこちら側の双方から、暗闇とカンテラの光芒が煌めく中、歓喜の万歳斉唱が誰言うともなく沸き起こりました。
「天皇陛下!万歳!」「三島県令!万歳!」「栗子隧道!万歳!」
三島県令を始め、人夫全員の万感の思いを乗せた「万歳」の大合唱がいつまでも鳴りやまずに坑道の中に轟き渡ったのでした。
男達は皆、かくあることを予想はしながらも、唐突な開通の達成に、歓喜の涙にむせびながらいつまでも大声で隧道開通を祝ったのでした。
その時の模様を、高木課長の日記には以下のように記されています。
『則ち坑夫伊勢貞吉なる者、栗子山の峠を踰こえ来たり報ずるなり、時に十九日午前一時なり。秀明(高木課長)等急に行て検す。隧底間隔の所に一の鏨を穿つ数ヶ所の中に一の鏨鋩の東西より相ひ交わるを見る、衆皆な悦喜、貫けた貫けたと相呼ぶの声一時騒然たり。令公(三島県令)に於いても前の貞吉の一声を聞き則ち実地に臨まる。随行の属官も亦随て行く。其の鏨鋩の相い交わるを一見し秀明等と與に且喜び且賀す。』
その後、広げられた穴をくぐり、福島県側に一歩を記した三島県令は、福島県側の人夫たちと手を握り喜びをあらわにするとともに、彼らの苦労を労ったのでした。福島県側の人夫たちは、その人物が山形県令三島通庸、その人であることを知り、腰を抜かさんばかりに驚いたのは言うまでもありません。
貫通したトンネルは、山形県側の西口から入ると258間約464メートル、福島県側の東口から入ると222間約400メートルのところで相交わっており、全長は480間約864メートルのトンネルでした。山形県と福島県を結ぶ夢の馬車路線が、ここに現実となって開通することとなったのでした。
三島にとっては最大の事業が大きく前進した瞬間でした。残る事業は、栗子以上の総工費が見込まれる、宮城県との交通の要、関山隧道建設事業です。栗子に続く、この関山の事業で、三島県令の山形県での土木事業は完結します。
いよいよ、三島のこの圧倒的パワーが、峰一郎たち、東村山郡住人へと向けられることとなるのです。
**********
(史実解説)
栗子隧道についての工事開始までの道のりや工事開始後の様子、そして坑道の開通についての記録は、高木課長の日記、および、中村技師からの聞き取り記録などが現在に伝わり残っています。まあ、筆者の独断で、開通のエピソードにおいては、イマジネーションを膨らませて、少々話しを盛らさせていただきましたことを御了承くださいませ。
**********
(おわりに)
遂に栗子は貫通を果たします。歓喜の万雷の「万歳斉唱」で男たちは栗子の貫通を祝うのでした。
住民が上申書を出し、郡役所は回答書布告で納付強行をはかります。遡る事2年前、内務省東北7大事業を受けての関山計画でした。そして今、三島県令は栗子貫通まであとひと息のところまで迫りました。工事現場に寝泊まりして工事を見守る三島のもとに、高木課長も合流して貫通の一瞬を待ち受けます。
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三島通庸県令がまどろみから跳ね起きた、そんな時でした。
三島が聞き知った誰かの叫ぶ声が、隧道入口の方角から聞こえてきます。そして、その声は三島のいる人夫小屋へどんどん近づいてきまし。
「県令さ~ん!県令さ~ん!来たぁ~!来た来た~!」
それは「い組」の人足頭・伊勢貞吉の声でした。
「貞吉!どげんしたとじゃ!何が来やったが!」
期待に胸を膨らませた三島は、人夫小屋を飛び出して、両腕で貞吉の肩をしっかとつかみ、貞吉を迎えます。貞吉は慌てているのか、口をパクパクさせて声になりません。
三島に続き、工事管理事務所からも高木課長と中村技師が押っ取り刀で駆け込んできて、貞吉を取り囲みます。三島が貞吉を掴んでいた腕を放すと、代わって高木と中村が貞吉の肩を揺さぶって問いかけます。
「どうした!」「つながったか!」
高木と中村は息せき切って言葉をたたみかけますが、貞吉の方が目を白黒させてしまい、言葉がでません。急かされる程に、何を言って良いか益々分からなくなっていってしまったようです。
「と、棟梁が、……お前、行ってこいって、……県令さんさ、伝えでこいって……県令さんさ、お前、行げって」
「それは分かった、棟梁が県令閣下に何を伝えろと言ったのか」
もどかしそうに中村が言うと、改めて気付いたかのように貞吉が慌てます。
「あっ!あ!んだんだ!大変だ!県令さんさ、言わんなね!俺、言わんなねんだ!」
「だから何だ!」「早く言え!つながったのか!つながったんだな!」
期待に興奮する高木と中村の問いかけを裏切るように、貞吉がその言葉を打ち消します。
「んね!つながったんでね!」
一瞬、高木が意味を掴みようもなく唖然とします。中村は中村で、もはや激昂しそうに声を荒げます。
「なんだ!だったら何しに来た!つながってないのか!」
しかし、貞吉は気持ちがようやく落ち着いたのか、中村の激昂と反比例するかのように、棟梁の言葉を噛み締めつつ訥々と話します。
「んね、んだげんど、そごさ福島の衆も来ったんだ、ノミの音もする!あどひと打ぢしたら、つながっべがら、県令さんさ教ぇでこい、って棟梁が!」
そこでようやく高木と中村は愁眉を開き、安堵するとともに心からの喜びの笑顔をあらわにしたのでした。
「そうか!……そうか、そうか!」
「私の計算は間違っていなかった!良かった!」
二人は手を取り合って喜びあいます。その後ろで三島も満足そうに何度も頷いていました。
そして、三島は、喜ぶ二人を尻目に叫びます。
「よし、おいも行く」
「行くって……閣下、どこに?」
高木が振り返り、不思議そうに三島に聞き返しました。三島はさも楽しそうに答えます。
「そんなん、決まっちょろうが、隧道の中じゃ!福島ん衆に挨拶せんばいかん!棟梁が貞吉ば寄越したんは、おいに来いっちゅうことじゃっで。貞吉!案内せえ!」
「へえ!」
貞吉は芯から嬉しそうな声で返事をしました。
「か、閣下、ちょっ、ちょっとお待ちください!き、危険です、せめて、朝になってからでも」
喜びから一転、慌てる高木と中村は驚き動揺します。しかし、いたずら小僧のような笑みをたたえた三島に、引き留めの言葉なぞ、何の効力ももたらしません。
「隧道の中は、朝でん、昼でん、真っ暗じゃ!かまわん、かまわん!グズグズ言うちょると置いてくど!福島衆が待っとるで、県令が挨拶に行かんでどうする!貞吉!行くぞ!」
「へえ!」
貞吉はカンテラの蝋燭を新しいのに替え、喜び勇んで、三島の足元を照らしながら進んで行きます。貞吉に遅れて到着したもう一人の人夫も、進行方面を明るく照らしつつ、貞吉、そして、三島を先導します。
三島を思いとどまらせるなぞ土台が無理な話であるとすぐに思い直した高木と中村も、カンテラを持って三島の後を続いて行くのでした。
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山形県側隧道入口から歩いて258間、およそ464メートルも歩いたところで、三島たち一行は坑道の先端部分にようやくたどりつきました。普通なら5分もかからぬ距離ながら、道ならぬ道を、しかも暗闇の中ということで、30分近くかかったかもしれません。
「県令閣下、お待ちしたっけっす。閣下だば、必ず来っべど思たっけっす」
「い組」の棟梁が、現場に初めて三島県令を迎えます。棟梁ならずとも人夫たち皆が、三島県令がこの瞬間を待ち望んでいたことを知っています。
だからこそ、たとえ夜中であろうと県令にはその場に立ち会って見届けていただきたいと、皆が思っていました。また、きっと三島県令もそれを望んでいるはずだと、皆は信じて疑いもしませんでした。
「いやあ、なかなかよかとこじゃ。兵児ん時、かごんまの風穴で遊んだごつ、思い出すっとじゃ、懐かしかなぁ。……ん?……お、おお!聞こえる!聞こえっど!」
福島側からの岩を掘削するノミの鎚音が響いてきます。
(カンカン……ガンガン……カンカン……)
すると、棟梁が今こそ時は至れりとばかりに、人夫たちに檄を飛ばします。
「よし、おめだ!開通の一番槍つけだ奴さだば酒一升だ!県令閣下の目の前でおめだの働きっぷりば見せでやれ!……んだば、かがれ!」
「おう!」
とたんに人夫たちはそれぞれの持ち場でカンテラの明かりを壁面に向け、勢いよくノミを奮い始めます。
「よっしゃ、見でろ!」「酒は俺がもらった!」「馬鹿こぐな、俺だ!」
(カンカンカン!)(ガンガンガン!)(ガッガッガッ!)(ガズガズ、ガガガッ!)
人夫たちは三島県令や高木課長といった面々の見守るなか、一世一代の晴れ舞台のように暗闇の坑道の中でノミを振るい鎚音を響かせます。深夜にも関わらず、三島県令も頼もしげにその姿を見守り、高木課長や中村技師も今か今かと緊張しながら作業を見つめていました。
……そんな時、……作業を再開して間もなくの頃でした。
(ガラガラッ!)(ドドッ!)(ザザザッ!)
突然、複数の壁面で、やにわに大きく土砂が崩れ落ちました。土砂や岩盤が崩れる大きな音がしたかと思うと、壁の向こう側からのカンテラの光芒とこちら側からのカンテラの光芒が交錯します。
福島県側からの坑道と山形県側からの坑道が、山中で繋がった瞬間でした。
(…………)
しばらく……の、沈黙の後でした……。
「ばんざ~~い!」「万歳!」「万歳!」「万歳!」
壁の向こう側とこちら側の双方から、暗闇とカンテラの光芒が煌めく中、歓喜の万歳斉唱が誰言うともなく沸き起こりました。
「天皇陛下!万歳!」「三島県令!万歳!」「栗子隧道!万歳!」
三島県令を始め、人夫全員の万感の思いを乗せた「万歳」の大合唱がいつまでも鳴りやまずに坑道の中に轟き渡ったのでした。
男達は皆、かくあることを予想はしながらも、唐突な開通の達成に、歓喜の涙にむせびながらいつまでも大声で隧道開通を祝ったのでした。
その時の模様を、高木課長の日記には以下のように記されています。
『則ち坑夫伊勢貞吉なる者、栗子山の峠を踰こえ来たり報ずるなり、時に十九日午前一時なり。秀明(高木課長)等急に行て検す。隧底間隔の所に一の鏨を穿つ数ヶ所の中に一の鏨鋩の東西より相ひ交わるを見る、衆皆な悦喜、貫けた貫けたと相呼ぶの声一時騒然たり。令公(三島県令)に於いても前の貞吉の一声を聞き則ち実地に臨まる。随行の属官も亦随て行く。其の鏨鋩の相い交わるを一見し秀明等と與に且喜び且賀す。』
その後、広げられた穴をくぐり、福島県側に一歩を記した三島県令は、福島県側の人夫たちと手を握り喜びをあらわにするとともに、彼らの苦労を労ったのでした。福島県側の人夫たちは、その人物が山形県令三島通庸、その人であることを知り、腰を抜かさんばかりに驚いたのは言うまでもありません。
貫通したトンネルは、山形県側の西口から入ると258間約464メートル、福島県側の東口から入ると222間約400メートルのところで相交わっており、全長は480間約864メートルのトンネルでした。山形県と福島県を結ぶ夢の馬車路線が、ここに現実となって開通することとなったのでした。
三島にとっては最大の事業が大きく前進した瞬間でした。残る事業は、栗子以上の総工費が見込まれる、宮城県との交通の要、関山隧道建設事業です。栗子に続く、この関山の事業で、三島県令の山形県での土木事業は完結します。
いよいよ、三島のこの圧倒的パワーが、峰一郎たち、東村山郡住人へと向けられることとなるのです。
**********
(史実解説)
栗子隧道についての工事開始までの道のりや工事開始後の様子、そして坑道の開通についての記録は、高木課長の日記、および、中村技師からの聞き取り記録などが現在に伝わり残っています。まあ、筆者の独断で、開通のエピソードにおいては、イマジネーションを膨らませて、少々話しを盛らさせていただきましたことを御了承くださいませ。
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(おわりに)
遂に栗子は貫通を果たします。歓喜の万雷の「万歳斉唱」で男たちは栗子の貫通を祝うのでした。
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