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一章 おいおい、サキュバスが襲来したんだが!?
第4話 サキュバスからの死の宣告!?
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目を疑った。が、ソファは体重分きっちり撓んでいた。それに頭も実際、鈍い痛みが走っている。
「えっと、ごめん。あの……君はその」
「甘利結愛ですよ、ご主人様」
「はぁ、なるほど」
いやいや、とはいえそんな訳がない。
ファンタジーを簡単に信じるほど、もう子どもではないのだ。
ならばこれは、いわゆる明晰夢的なものだろう。
そう、聡明な僕は、結論を出した。どこから夢だったかは分からないが、きっと疲れていたのだ。
「どうされました?」
彼女を見る。
実に完璧なプロポーションをしていた。出るところは出て、締まるところは締まっている。その上、ほどよく湿めっぽくて、限りなく艶かしい。その身体は、男の願望を粘土で固めて、人型にしたかのようだった。
「あのー、本当にどうかしました? 見つめられると、その、疼いちゃいます♡」
夢の中ならば、なにをしても罪には問われないはず。幸い、相手は淫魔。発言からして、免罪符も与えられている。
僕は、わなわなとその白肌へ手を伸ばす。高二。十六にして、初体験だ。そーっと触れて、
「また告白できなかったよ、僕。どうすりゃいいかなぁ、男らしくないよなぁ」
泣きついた。
情けない、十六歳。だけど、夢なので大丈夫、十六歳。思っていたら、顎を二本指で掬われて、ずいと寄せられる。
「仕方ないご主人様ですね。私ならなんでもして差し上げますよ」
顔をその豊満な胸に埋められた。
「ごゆっくり癒されていってください」
未知の柔らかさだった、新感覚タピオカ。あまりの心地よさに我を失い、頭から煙を出して昇天しかけたところで、はっとした。
熱があって、感触がある。奇妙なことにはっきりと。
驚いて、反射的に彼女を突き飛ばす。
「あら、ご乱暴ですね。そういうプレイも嫌いじゃないですけど。まずは段階を踏んで一歩ずつ、ですよ。急いじゃいけません」
彼女はすぐに腕を僕の身体に巻き付ける。耳元までその潤んだ唇を寄せて、
「ほーら、私と気持ちよくなってください。なにも考えなくていいんですから」
保っていた理性が弾けそうだった。
甘い言葉と匂いにくらりとして、もう夢だろうが現実だろうがいいや。そう、関係ない。もし夢なら、僕は一人暮らしなので、堂々と洗濯をすればいいだけだ。現実なら、うんまぁ小難しいことはあとで考えよう。そう快楽に転びかけて、
「って、なれるか!!」
凌ぎきった。澄鈴の顔を頭に浮かべて。
「なんなんだよ、誰!? あ、いや甘利さんだよね、そうじゃなくて。なに、どういうこと? コスプレ? いやそれにしては出来すぎか。じゃあなに、なんなの!!」
「だから本物ですよ」
「そんなわけがないだろ、誰だか知んないけど、そういう悪戯はもっと無垢な少年にやってあげてよ。ジャンプとか読んでるさぁ。というか、まじでどういうこと。いつなにがどこでどうなって、こうなったの!!」
クッションを間に挟み距離を取ってから、盾でも作るように、疑問をわくがままに立て並べる。すっかり取り乱してしまった。
「落ち着いてください、ご主人様。よければもう一度うずめましょうか? 収まりますよ。あ、逆に興奮しちゃうかも? ちなみに私は既に発情してます!」
「そ、そういうのはいいから! どういうことですか。あなたはなんでここに?」
これではいけない。
咳払いをして、呼吸を整えた。
ややもすればピンク色の方向へペースを持っていかれてしまう。ひとまず、気を確かに持って聞く必要がありそうだった。
「まぁ簡単にいうと、私はご主人様が二階に置いてるタブレットからここへ出てきました。つい夕方ごろです。それで部屋にいたんですけど」
「じゃあさっきの光は」
「あぁそうですね、私がきた時、光ってたかもしれません。私、降臨! の粋な演出ですかね」
「……えっと、信じろって方が難しいと思う」
「はい、重々承知の上ですよ。でも本当なんです、これが。その証拠にさっきゲームを開いたとき、私いなかったでしょう?」
言われてみれば。
「けど、そんなのただのバグで」
「それが違うんです。こうやって出てきちゃいました。他になにか証明というと、そうですね。お見せしましょうか」
「えっと、うん」
「では手始めに魔法で氷の精霊さんでも召喚しますね」
彼女は口元で小さくなにかを唱える。
次に吐いた息は、なんとハート型の氷になったではないか。冷気をたゆたわせつつ、それはふわふわと浮遊する。
「ちょっ、やめ」
僕のシャツの中にすべり入ってきた。肌を突っついては、離れる。実にこそばゆく、情けない声を上げてしまう。
「どうです、召還魔法です。分かりました? ふふっ、可愛い」
「分かった、分かったから、とりあえずやめて!」
本当は意味不明だけれど。
保身のために口走る。おふっとか、そこは、とか言いながら。人が人なら、新たな趣味に目覚めていたかもしれないが、あいにく僕にその才能はないらしかった。
「えぇしょうがないですね。まぁ私のお話、聞いてくれるっていうなら、考えますよ」
「そ、そうじゃなかったら?」
「これ、下に持っていってもいいんですよ。どことは言いませんが、じーっくりまさぐって、なにをとは言いませんがしっぽり搾り取っても」
「鬼!! 無理、まって、ストップ! 分かったから!!!!」
僕が半ば悲鳴じみて叫んだ声に彼女は満足げに頷く。妖艶さをたたえた微笑を浮かべつつ、彼女はその氷塊を回収してくれた。
「今はこれくらいしかできませんけど、ゲーム内で特技レベルアップのアイテムを購入してくれれば、もっと使える魔法が増えますよ♡」
もう認めざるを得なさそうだった。ここに彼女は存在している。理性的な僕があり得ないを必死に訴えているが、事実そうらしいのだから仕方ない。
「で、その、お話ってなにでしょう」
「あぁ、はい。えっと、言いにくいのですが、一言でいうと、死にます」
「……は? というと」
「言葉のままです。死ぬんです」
そんな突飛な。そもそも死とか軽々しく口にされていいものなんだろうか、このご時世。PTAがすぐに飛んでくるのでは。
「別所光男さん。あと二週間で告白を成功させられなかったら、死にますよ」
「えっと、し、死ぬ?」
「はい、首ちょっきんの、心臓ぐにゃんの、脳汁ぶしゃあで、死にます♡」
「えっと、ごめん。あの……君はその」
「甘利結愛ですよ、ご主人様」
「はぁ、なるほど」
いやいや、とはいえそんな訳がない。
ファンタジーを簡単に信じるほど、もう子どもではないのだ。
ならばこれは、いわゆる明晰夢的なものだろう。
そう、聡明な僕は、結論を出した。どこから夢だったかは分からないが、きっと疲れていたのだ。
「どうされました?」
彼女を見る。
実に完璧なプロポーションをしていた。出るところは出て、締まるところは締まっている。その上、ほどよく湿めっぽくて、限りなく艶かしい。その身体は、男の願望を粘土で固めて、人型にしたかのようだった。
「あのー、本当にどうかしました? 見つめられると、その、疼いちゃいます♡」
夢の中ならば、なにをしても罪には問われないはず。幸い、相手は淫魔。発言からして、免罪符も与えられている。
僕は、わなわなとその白肌へ手を伸ばす。高二。十六にして、初体験だ。そーっと触れて、
「また告白できなかったよ、僕。どうすりゃいいかなぁ、男らしくないよなぁ」
泣きついた。
情けない、十六歳。だけど、夢なので大丈夫、十六歳。思っていたら、顎を二本指で掬われて、ずいと寄せられる。
「仕方ないご主人様ですね。私ならなんでもして差し上げますよ」
顔をその豊満な胸に埋められた。
「ごゆっくり癒されていってください」
未知の柔らかさだった、新感覚タピオカ。あまりの心地よさに我を失い、頭から煙を出して昇天しかけたところで、はっとした。
熱があって、感触がある。奇妙なことにはっきりと。
驚いて、反射的に彼女を突き飛ばす。
「あら、ご乱暴ですね。そういうプレイも嫌いじゃないですけど。まずは段階を踏んで一歩ずつ、ですよ。急いじゃいけません」
彼女はすぐに腕を僕の身体に巻き付ける。耳元までその潤んだ唇を寄せて、
「ほーら、私と気持ちよくなってください。なにも考えなくていいんですから」
保っていた理性が弾けそうだった。
甘い言葉と匂いにくらりとして、もう夢だろうが現実だろうがいいや。そう、関係ない。もし夢なら、僕は一人暮らしなので、堂々と洗濯をすればいいだけだ。現実なら、うんまぁ小難しいことはあとで考えよう。そう快楽に転びかけて、
「って、なれるか!!」
凌ぎきった。澄鈴の顔を頭に浮かべて。
「なんなんだよ、誰!? あ、いや甘利さんだよね、そうじゃなくて。なに、どういうこと? コスプレ? いやそれにしては出来すぎか。じゃあなに、なんなの!!」
「だから本物ですよ」
「そんなわけがないだろ、誰だか知んないけど、そういう悪戯はもっと無垢な少年にやってあげてよ。ジャンプとか読んでるさぁ。というか、まじでどういうこと。いつなにがどこでどうなって、こうなったの!!」
クッションを間に挟み距離を取ってから、盾でも作るように、疑問をわくがままに立て並べる。すっかり取り乱してしまった。
「落ち着いてください、ご主人様。よければもう一度うずめましょうか? 収まりますよ。あ、逆に興奮しちゃうかも? ちなみに私は既に発情してます!」
「そ、そういうのはいいから! どういうことですか。あなたはなんでここに?」
これではいけない。
咳払いをして、呼吸を整えた。
ややもすればピンク色の方向へペースを持っていかれてしまう。ひとまず、気を確かに持って聞く必要がありそうだった。
「まぁ簡単にいうと、私はご主人様が二階に置いてるタブレットからここへ出てきました。つい夕方ごろです。それで部屋にいたんですけど」
「じゃあさっきの光は」
「あぁそうですね、私がきた時、光ってたかもしれません。私、降臨! の粋な演出ですかね」
「……えっと、信じろって方が難しいと思う」
「はい、重々承知の上ですよ。でも本当なんです、これが。その証拠にさっきゲームを開いたとき、私いなかったでしょう?」
言われてみれば。
「けど、そんなのただのバグで」
「それが違うんです。こうやって出てきちゃいました。他になにか証明というと、そうですね。お見せしましょうか」
「えっと、うん」
「では手始めに魔法で氷の精霊さんでも召喚しますね」
彼女は口元で小さくなにかを唱える。
次に吐いた息は、なんとハート型の氷になったではないか。冷気をたゆたわせつつ、それはふわふわと浮遊する。
「ちょっ、やめ」
僕のシャツの中にすべり入ってきた。肌を突っついては、離れる。実にこそばゆく、情けない声を上げてしまう。
「どうです、召還魔法です。分かりました? ふふっ、可愛い」
「分かった、分かったから、とりあえずやめて!」
本当は意味不明だけれど。
保身のために口走る。おふっとか、そこは、とか言いながら。人が人なら、新たな趣味に目覚めていたかもしれないが、あいにく僕にその才能はないらしかった。
「えぇしょうがないですね。まぁ私のお話、聞いてくれるっていうなら、考えますよ」
「そ、そうじゃなかったら?」
「これ、下に持っていってもいいんですよ。どことは言いませんが、じーっくりまさぐって、なにをとは言いませんがしっぽり搾り取っても」
「鬼!! 無理、まって、ストップ! 分かったから!!!!」
僕が半ば悲鳴じみて叫んだ声に彼女は満足げに頷く。妖艶さをたたえた微笑を浮かべつつ、彼女はその氷塊を回収してくれた。
「今はこれくらいしかできませんけど、ゲーム内で特技レベルアップのアイテムを購入してくれれば、もっと使える魔法が増えますよ♡」
もう認めざるを得なさそうだった。ここに彼女は存在している。理性的な僕があり得ないを必死に訴えているが、事実そうらしいのだから仕方ない。
「で、その、お話ってなにでしょう」
「あぁ、はい。えっと、言いにくいのですが、一言でいうと、死にます」
「……は? というと」
「言葉のままです。死ぬんです」
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「別所光男さん。あと二週間で告白を成功させられなかったら、死にますよ」
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