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二章 属性魔法学との対峙
47話 生徒と元生徒とダンジョンへ乗り出す。
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それから、さらに数日。
俺たちは研究調査の一環として、王都のそばにある『惑いの森林』中級ダンジョンに繰り出していた。
一緒にやってきたのは、リーナだけではない。
「わ、久しぶりだなぁ、ここにくるの。学校の実習ぶり!」
研究室に所属してくれた唯一の生徒・ルチアも、調査に参加していた。
俺とリーナがひそかに実地調査に関する打ち合わせを行っていたのが、聞かれていたのだ。
自分も参加したい! とまったく引かなかったので、連れてくることになった。
「ルチアーノくん、あまり遠くに行くなよ。この森は深いからね」
「はーい。ま、アデル先生とリーちゃんがいれば安全だって信じてる」
彼女は、ずいぶんと機嫌がいいらしかった。
軽快な足取りで、俺たちの少し先を歩いていく。
そうして森の険しい道を切り抜け、辿り着いたのは、崖地のすぐ真下。上級ランク相当の植物魔物・アーマヅラの目撃情報があった地点だ。
そこには、なにやら話し込む先客が二人いた。
俺たちは木陰に身を隠して、会話を伺う。
「ここが、植物魔物・アーマヅラの現れたとされる場所ですか。しかし、なんの変哲もない場所としか思えませんね。いた痕跡が一つもない」
「うーん、そうだなぁ。実際怪我を負わされた者もいたというが……、ほかの植物魔物の出現を勘違いしたんじゃないか? このレベルのダンジョンにアーマヅラが現れるなんて不可解だ」
「まぁ、たぶんガセでしょう。一応、もう少しあたりを調べてから帰りましょうか」
彼らが身にまとっている黒い羽織の襟には、王立第一魔法学校のバッジがついていた。
それを見て、リーナが口を開く。
「どうやら魔法学校の教授と講師も調査に来ていたようですね。とくに魔物研究に注力をしている者です」
「……なるほど。そういえば、この謎はかなり話題になっているんだったね」
彼らはそれからしばらく辺りの土を掘り返したり、崖の適当な箇所を削ったりと調査していた。
が、結局なにもないと判断したのか、その場を離れる。
それを確認してから俺たちも、その地点に立ってみた。
たしかに一見すると、なんの変哲もない場所のように思えるが……それで決めつけるのはよく
俺たちは研究調査の一環として、王都のそばにある『惑いの森林』中級ダンジョンに繰り出していた。
一緒にやってきたのは、リーナだけではない。
「わ、久しぶりだなぁ、ここにくるの。学校の実習ぶり!」
研究室に所属してくれた唯一の生徒・ルチアも、調査に参加していた。
俺とリーナがひそかに実地調査に関する打ち合わせを行っていたのが、聞かれていたのだ。
自分も参加したい! とまったく引かなかったので、連れてくることになった。
「ルチアーノくん、あまり遠くに行くなよ。この森は深いからね」
「はーい。ま、アデル先生とリーちゃんがいれば安全だって信じてる」
彼女は、ずいぶんと機嫌がいいらしかった。
軽快な足取りで、俺たちの少し先を歩いていく。
そうして森の険しい道を切り抜け、辿り着いたのは、崖地のすぐ真下。上級ランク相当の植物魔物・アーマヅラの目撃情報があった地点だ。
そこには、なにやら話し込む先客が二人いた。
俺たちは木陰に身を隠して、会話を伺う。
「ここが、植物魔物・アーマヅラの現れたとされる場所ですか。しかし、なんの変哲もない場所としか思えませんね。いた痕跡が一つもない」
「うーん、そうだなぁ。実際怪我を負わされた者もいたというが……、ほかの植物魔物の出現を勘違いしたんじゃないか? このレベルのダンジョンにアーマヅラが現れるなんて不可解だ」
「まぁ、たぶんガセでしょう。一応、もう少しあたりを調べてから帰りましょうか」
彼らが身にまとっている黒い羽織の襟には、王立第一魔法学校のバッジがついていた。
それを見て、リーナが口を開く。
「どうやら魔法学校の教授と講師も調査に来ていたようですね。とくに魔物研究に注力をしている者です」
「……なるほど。そういえば、この謎はかなり話題になっているんだったね」
彼らはそれからしばらく辺りの土を掘り返したり、崖の適当な箇所を削ったりと調査していた。
が、結局なにもないと判断したのか、その場を離れる。
それを確認してから俺たちも、その地点に立ってみた。
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