3 / 40
蔵前地下の小料理屋には美麗な店主
第3話 体験バイトすることに?
しおりを挟む
二
ようやく頭が冴え始めたのは、『小料理屋・蔵前処』を出て少し、駒形さんと二人、近くにある公園のそばを歩いている途中だった。
夜風に吹かれて、街灯に照らされた桜を見ていると、否応なしに思考がはっきりしてくる。
私は、なんて不用意な発言をしてしまったのだろう。撤回してしまいたかったのだが、
「あの、私、本当にバイトしてもいいんでしょうか。その、一応正社員で働いていまして」
「いいですよ、夜だけで結構です」
「別の大学生とか、もっと働いてくれる人がいるんじゃないですか?」
「いたら求人を出してませんよ。それで十分助かります」
こうまで素直に頼られると、私が撒いた種ということもあって、今さら断ることはできなかった。
「汐見さんは、お仕事はどこでどういったことを?」
「えっと、専門学校、演劇科とかが有名な芸術系の学校で事務を……。って、え、私の名前どこで?」
「あぁすいません。汐見祥子さん、と鞄に付けてあるカードケースに。俺だからいいですけど、気をつけた方がいいですよ。今の時代ですから、どこでどう悪用されるか」
私ははっとして、飛び出していたカードケースを内側へしまう。
「まぁそこまで神経質にならなくても大丈夫ですよ。一部の変わり者以外は見てないですから。事務のお仕事ですか、なるほど。二年目、二十三歳といったところでしょうか」
「そうですけど……」
まさかまだなにか個人情報をばら撒きながら歩いているのだろうか、私は慌てて自分の身なりを振り見る。そこまでリテラシーが低かったっけ。
「その分だと正解のようですね。あ、これはただの勘ですよ。安心してください。俺は二十六なので、なんとなく近いのかと思っただけです」
気のし過ぎだったようだ。
駒形さんは悪戯っぽく笑むと、私の頭の高さに合わせて腰を折る。
正面から見ると、なお美しい顔構えだった。見てるとそれだけでまた顔が赤くなっていきそうで、私は目を宙に泳がせる。
「ちなみに今回はどうしてバイトに興味を持ってくれたんです?」
「えっと……」
理由をあげるとするなら、イケメン店主とおしゃれな料理。だがそんな邪がすぎる理由は、さすがに口にできたものではない。
「どんな理由でも教えてくれたら嬉しいです」
いっそここで「バイトをするつもりはなかった」と申告できればよかったのだが、身から出たサビと思えば、それもできないのが私だった。
それらしい言い訳を創作しようとするのだが、容易ではない。しばらく黙ってしまっていると、
「あぁ無理に答えなくていいですよ。すいません、俺の方ばかり聞いてしまって。気になることがあれば、なんなりとお聞きください。働き先のことですから、気になりますよね」
駒形さんの方から、こう話を振られる。
いつから小料理屋をやっているの、とか色々疑問はあったけれど、根本的なものはひとつだけだった。それはもう差し迫った、クリティカルなものである。
「あの、私たちはどこへなにをしに向かってるんでしょう?」
まずは目前の、それが一切わからなかった。
小料理屋でバイトとなれば、まず浮かぶのはキッチンやホールだが、今日はもう店じまいをしてしまっているし、こうして外にも出てきてしまった。
「そうですねぇ、当ててみてください」
「え、なんでも教えてくれるってさっき!」
「ははっ、すぐに教えますから。ちなみにもうヒントは結構出てますよ。もし当てられたら、うちの食事をフルコースでご馳走します」
驚きつつも、そう言われると当ててやりたくなる。間違っても、食い意地ではない。
分かっている情報は少なかった。だが逆に言うなら、絞れていないこともない。小料理屋に関わることで、調理でも接客でもないものなど、そう多くはない。
たしか彼は「変わった仕事」「今日は早じまい」と言っていた。そうわざわざ言うからには、関係があるのかもしれない。
「……どこかの夜市で仕入れ、とかでしょうか」
色々なことを総合して、私なりに考えた結果の答えだった。これなら一応は、どの条件にも説明がつく。
「いい線は言ってますけど、ちょっと真面目に考え過ぎですよ」
だが、残念ながらハズレだったらしい。答えはというと、
「正解は、いわゆる探偵稼業です」
私の予想の範疇を大きく超えたものだった。は? と疑問符が頭上に浮かび上がる。風船のごとく膨らんでいく。
「汐見さんは、今からなにをするか推理をしてくれましたよね。それがヒントだったんですよ」
なるほど、質問自体が。納得しかけて、私は首を横に振る。
「小料理屋の店主さんがなんで探偵を?」
問題は、そもそもの部分にある。
「きっかけは大したことじゃないですよ。お店のお客さんの相談を聞いているうちに、一度小さな謎を解いたことがあったんです。
そこから口コミで徐々に件数が増えて、今みたくまぁ頻度的には週に一件くらい、謎解きの依頼を受けるようになったんです。
無料でやってるんですよ」
「えっ、すごい話ですね」
「まぁプロの探偵じゃないですから。
お客さんに楽しくお店に来てもらうためには、悩みを解決するのも仕事の一環かと、割り切ってます」
「じゃあ私の仕事は──」
「えぇ、その探偵業の助手兼店員です。探偵の仕事は、男一人だと、どうにもやりにくいことがありまして。とにかくまずは今日一回、お願いできませんか?
特殊な仕事なので、その後続けるかどうかは汐見さんが決めていただいて結構です」
一回ということなら、今日が終わった時に、合わなかったとでも言ってお断りすればいい。
逃げ道を得て心が軽くなった私は、こくりと頷く。
一回くらいなら面白そう、なんて少し思ってもしまった。学校事務でのルーティンワークだけじゃ、刺激が足りない。
「ありがとうございます。お頼みついでにもう一ついいでしょうか。実は、堅苦しいのは嫌いなんです。敬語、やめてしまっても大丈夫でしょうか。これもひとまず今日だけです。今日だけは同僚なので」
「えっと、……はい」
「ありがとう。汐見さんもぜひ」
「でも駒形さん、年上なんじゃ」
「気にしないよ、それ以前に同僚だから。仮だけど」
私がされど、と渋っていると、駒形さんの足がつと止まる。閑静な住宅地に建つ、築年数の浅そうなマンションの前だった。
少なくとも、私の家に比べれば、かなり新しい。
「聞いていた家は、ここだね。依頼人は山川加奈さん、二十代後半、お店の常連さんなんだ」
いよいよ仕事が始まるらしい。
酒の成り行き、単発とはいえ、「探偵の仕事」とこれば普段の事務仕事にはない緊張感がある。私はごくり、と唾を飲む。
「あんまり固くならないでいいよ。もっと肩の力を抜いて。ね?」
私がはいと答えるのを待ってくれてから、駒形さんはエントランスのチャイムを鳴らした。カメラの奥へ欠けることのない笑顔を作る。
「ご存知かとは思いますが、私、『小料理屋・蔵前処』の駒形と申します。ご依頼の件でお伺いしました。こちらは助手の汐見です」
私なりに助手らしく、スーツ鞄を膝に当て背筋を伸ばしておいた。
脱力するよう言われたばかりなのに、肩はすっかりいかりあがっていた。
ようやく頭が冴え始めたのは、『小料理屋・蔵前処』を出て少し、駒形さんと二人、近くにある公園のそばを歩いている途中だった。
夜風に吹かれて、街灯に照らされた桜を見ていると、否応なしに思考がはっきりしてくる。
私は、なんて不用意な発言をしてしまったのだろう。撤回してしまいたかったのだが、
「あの、私、本当にバイトしてもいいんでしょうか。その、一応正社員で働いていまして」
「いいですよ、夜だけで結構です」
「別の大学生とか、もっと働いてくれる人がいるんじゃないですか?」
「いたら求人を出してませんよ。それで十分助かります」
こうまで素直に頼られると、私が撒いた種ということもあって、今さら断ることはできなかった。
「汐見さんは、お仕事はどこでどういったことを?」
「えっと、専門学校、演劇科とかが有名な芸術系の学校で事務を……。って、え、私の名前どこで?」
「あぁすいません。汐見祥子さん、と鞄に付けてあるカードケースに。俺だからいいですけど、気をつけた方がいいですよ。今の時代ですから、どこでどう悪用されるか」
私ははっとして、飛び出していたカードケースを内側へしまう。
「まぁそこまで神経質にならなくても大丈夫ですよ。一部の変わり者以外は見てないですから。事務のお仕事ですか、なるほど。二年目、二十三歳といったところでしょうか」
「そうですけど……」
まさかまだなにか個人情報をばら撒きながら歩いているのだろうか、私は慌てて自分の身なりを振り見る。そこまでリテラシーが低かったっけ。
「その分だと正解のようですね。あ、これはただの勘ですよ。安心してください。俺は二十六なので、なんとなく近いのかと思っただけです」
気のし過ぎだったようだ。
駒形さんは悪戯っぽく笑むと、私の頭の高さに合わせて腰を折る。
正面から見ると、なお美しい顔構えだった。見てるとそれだけでまた顔が赤くなっていきそうで、私は目を宙に泳がせる。
「ちなみに今回はどうしてバイトに興味を持ってくれたんです?」
「えっと……」
理由をあげるとするなら、イケメン店主とおしゃれな料理。だがそんな邪がすぎる理由は、さすがに口にできたものではない。
「どんな理由でも教えてくれたら嬉しいです」
いっそここで「バイトをするつもりはなかった」と申告できればよかったのだが、身から出たサビと思えば、それもできないのが私だった。
それらしい言い訳を創作しようとするのだが、容易ではない。しばらく黙ってしまっていると、
「あぁ無理に答えなくていいですよ。すいません、俺の方ばかり聞いてしまって。気になることがあれば、なんなりとお聞きください。働き先のことですから、気になりますよね」
駒形さんの方から、こう話を振られる。
いつから小料理屋をやっているの、とか色々疑問はあったけれど、根本的なものはひとつだけだった。それはもう差し迫った、クリティカルなものである。
「あの、私たちはどこへなにをしに向かってるんでしょう?」
まずは目前の、それが一切わからなかった。
小料理屋でバイトとなれば、まず浮かぶのはキッチンやホールだが、今日はもう店じまいをしてしまっているし、こうして外にも出てきてしまった。
「そうですねぇ、当ててみてください」
「え、なんでも教えてくれるってさっき!」
「ははっ、すぐに教えますから。ちなみにもうヒントは結構出てますよ。もし当てられたら、うちの食事をフルコースでご馳走します」
驚きつつも、そう言われると当ててやりたくなる。間違っても、食い意地ではない。
分かっている情報は少なかった。だが逆に言うなら、絞れていないこともない。小料理屋に関わることで、調理でも接客でもないものなど、そう多くはない。
たしか彼は「変わった仕事」「今日は早じまい」と言っていた。そうわざわざ言うからには、関係があるのかもしれない。
「……どこかの夜市で仕入れ、とかでしょうか」
色々なことを総合して、私なりに考えた結果の答えだった。これなら一応は、どの条件にも説明がつく。
「いい線は言ってますけど、ちょっと真面目に考え過ぎですよ」
だが、残念ながらハズレだったらしい。答えはというと、
「正解は、いわゆる探偵稼業です」
私の予想の範疇を大きく超えたものだった。は? と疑問符が頭上に浮かび上がる。風船のごとく膨らんでいく。
「汐見さんは、今からなにをするか推理をしてくれましたよね。それがヒントだったんですよ」
なるほど、質問自体が。納得しかけて、私は首を横に振る。
「小料理屋の店主さんがなんで探偵を?」
問題は、そもそもの部分にある。
「きっかけは大したことじゃないですよ。お店のお客さんの相談を聞いているうちに、一度小さな謎を解いたことがあったんです。
そこから口コミで徐々に件数が増えて、今みたくまぁ頻度的には週に一件くらい、謎解きの依頼を受けるようになったんです。
無料でやってるんですよ」
「えっ、すごい話ですね」
「まぁプロの探偵じゃないですから。
お客さんに楽しくお店に来てもらうためには、悩みを解決するのも仕事の一環かと、割り切ってます」
「じゃあ私の仕事は──」
「えぇ、その探偵業の助手兼店員です。探偵の仕事は、男一人だと、どうにもやりにくいことがありまして。とにかくまずは今日一回、お願いできませんか?
特殊な仕事なので、その後続けるかどうかは汐見さんが決めていただいて結構です」
一回ということなら、今日が終わった時に、合わなかったとでも言ってお断りすればいい。
逃げ道を得て心が軽くなった私は、こくりと頷く。
一回くらいなら面白そう、なんて少し思ってもしまった。学校事務でのルーティンワークだけじゃ、刺激が足りない。
「ありがとうございます。お頼みついでにもう一ついいでしょうか。実は、堅苦しいのは嫌いなんです。敬語、やめてしまっても大丈夫でしょうか。これもひとまず今日だけです。今日だけは同僚なので」
「えっと、……はい」
「ありがとう。汐見さんもぜひ」
「でも駒形さん、年上なんじゃ」
「気にしないよ、それ以前に同僚だから。仮だけど」
私がされど、と渋っていると、駒形さんの足がつと止まる。閑静な住宅地に建つ、築年数の浅そうなマンションの前だった。
少なくとも、私の家に比べれば、かなり新しい。
「聞いていた家は、ここだね。依頼人は山川加奈さん、二十代後半、お店の常連さんなんだ」
いよいよ仕事が始まるらしい。
酒の成り行き、単発とはいえ、「探偵の仕事」とこれば普段の事務仕事にはない緊張感がある。私はごくり、と唾を飲む。
「あんまり固くならないでいいよ。もっと肩の力を抜いて。ね?」
私がはいと答えるのを待ってくれてから、駒形さんはエントランスのチャイムを鳴らした。カメラの奥へ欠けることのない笑顔を作る。
「ご存知かとは思いますが、私、『小料理屋・蔵前処』の駒形と申します。ご依頼の件でお伺いしました。こちらは助手の汐見です」
私なりに助手らしく、スーツ鞄を膝に当て背筋を伸ばしておいた。
脱力するよう言われたばかりなのに、肩はすっかりいかりあがっていた。
0
お気に入りに追加
44
あなたにおすすめの小説
人生を共にしてほしい、そう言った最愛の人は不倫をしました。
松茸
恋愛
どうか僕と人生を共にしてほしい。
そう言われてのぼせ上った私は、侯爵令息の彼との結婚に踏み切る。
しかし結婚して一年、彼は私を愛さず、別の女性と不倫をした。
ガールズ!ナイトデューティー
高城蓉理
ライト文芸
【第三回アルファポリスライト文芸大賞奨励賞を頂きました。ありがとうございました】
■夜に働く女子たちの、焦れキュンお仕事ラブコメ!
夜行性アラサー仲良し女子四人組が毎日眠い目を擦りながら、恋に仕事に大奮闘するお話です。
■第二部(旧 延長戦っっ)以降は大人向けの会話が増えますので、ご注意下さい。
●神寺 朱美(28)
ペンネームは、神宮寺アケミ。
隔週少女誌キャンディ専属の漫画家で、画力は折り紙つき。夜型生活。
現在執筆中の漫画のタイトルは【恋するリセエンヌ】
水面下でアニメ制作話が進んでいる人気作品を執筆。いつも担当編集者吉岡に叱られながら、苦手なネームを考えている。
●山辺 息吹(28)
某都市水道局 漏水修繕管理課に勤務する技術職公務員。国立大卒のリケジョ。
幹線道路で漏水が起きる度に、夜間工事に立ち会うため夜勤が多い。
●御堂 茜 (27)
関東放送のアナウンサー。
紆余曲折あり現在は同じ建物内の関東放送ラジオ部の深夜レギュラーに出向中。
某有名大学の元ミスキャン。才女。
●遠藤 桜 (30)
某有名チェーン ファミレスの副店長。
ニックネームは、桜ねぇ(さくねぇ)。
若い頃は房総方面でレディースの総長的役割を果たしていたが、あることをきっかけに脱退。
その後上京。ファミレスチェーンのアルバイトから副店長に上り詰めた努力家。
※一部を小説家になろうにも投稿してます
※illustration 鈴木真澄先生@ma_suzuki_mnyt
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
報酬はその笑顔で
鏡野ゆう
ライト文芸
彼女がその人と初めて会ったのは夏休みのバイト先でのことだった。
自分に正直で真っ直ぐな女子大生さんと、にこにこスマイルのパイロットさんとのお話。
『貴方は翼を失くさない』で榎本さんの部下として登場した飛行教導群のパイロット、但馬一尉のお話です。
※小説家になろう、カクヨムでも公開中※
蝶々結びの片紐
桜樹璃音
ライト文芸
抱きしめたい。触りたい。口づけたい。
俺だって、俺だって、俺だって……。
なぁ、どうしたらお前のことを、
忘れられる――?
新選組、藤堂平助の片恋の行方は。
▷ただ儚く君を想うシリーズ Short Story
Since 2022.03.24~2022.07.22
捨てられた王妃は情熱王子に攫われて
きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。
貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?
猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。
疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り――
ざまあ系の物語です。
トイレのミネルヴァは何も知らない
加瀬優妃
ライト文芸
「ストーカーされてるんだよね。犯人探しに協力してくれない?」
ミネルヴァの正体を黙っててもらう代わりに、新川透のストーカーを見つける手伝いをすることになった莉子。
高校を辞め、掃除婦として光野予備校で働く天涯孤独の少女、仁神谷莉子には「トイレのミネルヴァ」というもう1つの顔があった。
そんな莉子の前に現れたのは、光野予備校の人気数学講師、新川透。
「……協力はいいけど、新川透がよくわかんない。フェロモンがハンパない上に行動が予測できない。誰か私に彼のトリセツをください……」
「そういうのは知らない方が楽しめるよ?」
「お前が言うな!!」
※本編は4時間目で完結しました。
※「放課後」は後日談です。短編連作。
※表紙は「こんぺいとう**メーカー」で作成いたしました。
寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。
にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。
父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。
恋に浮かれて、剣を捨た。
コールと結婚をして初夜を迎えた。
リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。
ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。
結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。
混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。
もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと……
お読みいただき、ありがとうございます。
エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。
それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる