平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
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2章
34話 悪事の事後処理
しおりを挟む「……こいつは、ぼろぼろになっちまったな」
技に耐えきれなかったようだ。
刀の刃が溢れて、ヒビが入ってしまっていた。
けれど、お飾りに近いナマクラにしてはよく持った方だ。
黙祷を捧げて、腰の鞘へとしまう。
代わりの刀は、新たに打ってもらえばいい。
さっき手に入れた『不燃の氷』を素材にすれば、かなり上質なものができるだろう。
「ヨシュア、すごい音したけど、大丈夫!? …………って、ピンピンしてるね?」
少し遅れて、ミリリがこちらへ走り寄ってくる。
魔法杖を構えていたが、すぐに降ろした。
わなわな、震え始める。
「ち、ちがうよ? ヨシュアの勝利を信じてなかった、ってわけじゃなくて! 万が一、ううん億が一、えっとその上はなんだっけ……」
「俺が言うのもなんだけどさ、せめて兆ぐらい覚えとけよ」
「むぅ。って、そこはどーでもいいのっ! とにかくね。もしかしたら、が私は怖くて……」
「分かってるよ。伝わってるから。心配してくれてありがとうな」
ミリリの機嫌が上昇に転じたのが、目に見えて分かった。
「えへへっ、ヨシュアこそ。守ってくれてありがとうねっ」
「なんか、ありがとうの応酬だな?」
「だね。でもさ、何回言ってもいい言葉だね」
……ミリリらしいフレーズだ。
ただ明るいだけではなく、彼女の芯の強さを感じる。
「よし、帰ろうか」
「うんっ。帰っても大忙しだよ? とりあえずまず、あの男の人突き出さなきゃ」
♢
帰り道は、男子と女子、それぞれ分かれて歩いた。
襲われたソフィア、ルリに配慮してのことだ。
サンタナは心底嫌そうな顔をしていたが、知ったことではあるまい。暴れるほどの魔力も残っていなかったようだ。
ライトシティに帰り着く。
俺たちは、すぐにギルドへと足を運んだ。
普段の犯罪ならば、街にいる警備隊の管轄だが、冒険者関連はギルドに一任されているためである。
事のあらましを、受付に立っていたサーニャにまずは伝えた。
「えっ、えっと、すぐ偉い人を呼んできます!」
少し慌てさせてしまった。
ペンやら紙やらがカウンターの奥で舞い飛ぶ。
さらには、それを踏んづけてすってんころりん。
まだ入って一月程度の新人さんである。
こういった事件の応対は初めてだったらしい。
「ホセ・サンタナ、貴殿の身柄を拘束させていただきます」
その少しあと、屈強そうな職員が数人現れる。
一生お世話になりたくないでお馴染みの、尋問官だ。
「……くそが。見てんじゃねぇよ」
サンタナは、両腕を拘束され、首を前へ突き出されながら、こう短く呟いた。
最後に、ぎろりと睨まれるがそれだけ。
重い鉄扉の奥へと、連れ去られていった。
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