平凡すぎる、と追放された俺。実は大量スキル獲得可のチート能力『無限変化』の使い手でした。俺が抜けてパーティが瓦解したから今更戻れ?お断りです
たかたちひろ【令嬢節約ごはん23日発売】
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2章
26話 感動の再会!
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「……うちもルリも、なにも知らなかったの。ヨシュアが勝手に出て行った、って急に言われた」
「あいつ……。リーダーだから、嫌な役割を買って出たんだ、とか言ってたけど……。
俺を追い出すために謀った、ってわけか」
「うん。たぶん。昔からサンタナは勝手だから、それくらいやりかねない」
呆れた野郎だ。俺がついつい吐き出した息が、ミリリのそれと重なる。
彼女もすっかりご立腹だった。跳ねるように、起立する。
「そんな奴のパーティー、とっとと抜けちゃおうっ! 私たちも協力するから!」
「……ミリリさん、ありがとう」
「お礼を言われるようなことじゃないよっ。これが任務だしね♪
……あ、そうだ。なんでわざわざ私経由で依頼したのか、ヨシュアにちゃんと伝えておいた方がいいんじゃないかな?」
ミリリの投げかけに、ソフィアは一瞬、腰の下で拳を握る。
(……もしかして、ミリリは俺とソフィアを会わせる為に、ここに残らせたのか?)
そんなことに考え巡らせていると、ソフィアは意を決したようにこちらを見上げた。
頬にはまだ泣き跡が残り、パープルの髪が張り付いていた。
「……うちは、ヨシュアくんがすごい強いことを知ってるじゃない? 昔から何度も何度も、助けてもらったもの。
でも、なんにも知らないサンタナは、あなたを平凡だって決めつけてた」
「それが、どうかしたのか?」
「うちが弱いから、実力を合わせてくれてたのに。
そのせいで平凡だなんて言われて、追放されたんだって思ったら申し訳なくて。怒ってないかな、って怖くて。
それで、今の今まで直接会いに行けなかったんだ」
せっかく打ち止めかと思ったのに、長く伸びた睫毛には、また水滴がにじむ。
「……今回ここに来れたのはね。クエスト中、ヨシュアくんが助けてくれたんだ、ってよく分かったから」
「分かるもんなんだな」
「うん。今日のクエスト中、ずっと感じてた。幸せだったな」
ソフィアらしい、端的な言葉だった。
俺は、うっかりもらい泣きしそうになって息を吸い、空を見上げる。
『彗星の一団』で過ごした時間は、全て無駄になったと思っていた。
苦楽を共にした思い出は全てモノクロに塗り替えられ、俺の元に残されたのは、『平均』を繕っただけの虚しい記憶。
それが今になって、俺の中で色を取り戻していくようだった。
「……ソフィア。絶対、次のクエスト、成功させてやる」
「…………うん。うちも、頑張る」
「私も俄然やる気になってきたよっ! とっとと脱出、脱出!」
ミリリも含め、三人の士気が上がっていた。
そのまま、再びベンチについて、次のクエストに関する打ち合わせを開始する。
「にしても、またドラゴン討伐か……」
今度は、アイシングドラゴン。寒冷な場所を好み、移動を繰り返すため、出現場所が特定されていない、氷属性の一角龍だ。
「いつもなら、植物採取系の方が多いのに。どうしたんだろうな、ローズさん」
「たしかに。……珍しいといえば、珍しいかもしれない」
ローズさんは、ただ伯爵家の当主というだけでない。
研究熱心で、魔草などからのポーション作りなども手掛けている。
そのため、自然と採取クエストの依頼が多くなる。
一つならまだしも、二つ以上とこれば、そうない話だ。
…………まさか、が俺の中によぎった。
「あいつ……。リーダーだから、嫌な役割を買って出たんだ、とか言ってたけど……。
俺を追い出すために謀った、ってわけか」
「うん。たぶん。昔からサンタナは勝手だから、それくらいやりかねない」
呆れた野郎だ。俺がついつい吐き出した息が、ミリリのそれと重なる。
彼女もすっかりご立腹だった。跳ねるように、起立する。
「そんな奴のパーティー、とっとと抜けちゃおうっ! 私たちも協力するから!」
「……ミリリさん、ありがとう」
「お礼を言われるようなことじゃないよっ。これが任務だしね♪
……あ、そうだ。なんでわざわざ私経由で依頼したのか、ヨシュアにちゃんと伝えておいた方がいいんじゃないかな?」
ミリリの投げかけに、ソフィアは一瞬、腰の下で拳を握る。
(……もしかして、ミリリは俺とソフィアを会わせる為に、ここに残らせたのか?)
そんなことに考え巡らせていると、ソフィアは意を決したようにこちらを見上げた。
頬にはまだ泣き跡が残り、パープルの髪が張り付いていた。
「……うちは、ヨシュアくんがすごい強いことを知ってるじゃない? 昔から何度も何度も、助けてもらったもの。
でも、なんにも知らないサンタナは、あなたを平凡だって決めつけてた」
「それが、どうかしたのか?」
「うちが弱いから、実力を合わせてくれてたのに。
そのせいで平凡だなんて言われて、追放されたんだって思ったら申し訳なくて。怒ってないかな、って怖くて。
それで、今の今まで直接会いに行けなかったんだ」
せっかく打ち止めかと思ったのに、長く伸びた睫毛には、また水滴がにじむ。
「……今回ここに来れたのはね。クエスト中、ヨシュアくんが助けてくれたんだ、ってよく分かったから」
「分かるもんなんだな」
「うん。今日のクエスト中、ずっと感じてた。幸せだったな」
ソフィアらしい、端的な言葉だった。
俺は、うっかりもらい泣きしそうになって息を吸い、空を見上げる。
『彗星の一団』で過ごした時間は、全て無駄になったと思っていた。
苦楽を共にした思い出は全てモノクロに塗り替えられ、俺の元に残されたのは、『平均』を繕っただけの虚しい記憶。
それが今になって、俺の中で色を取り戻していくようだった。
「……ソフィア。絶対、次のクエスト、成功させてやる」
「…………うん。うちも、頑張る」
「私も俄然やる気になってきたよっ! とっとと脱出、脱出!」
ミリリも含め、三人の士気が上がっていた。
そのまま、再びベンチについて、次のクエストに関する打ち合わせを開始する。
「にしても、またドラゴン討伐か……」
今度は、アイシングドラゴン。寒冷な場所を好み、移動を繰り返すため、出現場所が特定されていない、氷属性の一角龍だ。
「いつもなら、植物採取系の方が多いのに。どうしたんだろうな、ローズさん」
「たしかに。……珍しいといえば、珍しいかもしれない」
ローズさんは、ただ伯爵家の当主というだけでない。
研究熱心で、魔草などからのポーション作りなども手掛けている。
そのため、自然と採取クエストの依頼が多くなる。
一つならまだしも、二つ以上とこれば、そうない話だ。
…………まさか、が俺の中によぎった。
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