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2章

26話 感動の再会!

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「……うちもルリも、なにも知らなかったの。ヨシュアが勝手に出て行った、って急に言われた」
「あいつ……。リーダーだから、嫌な役割を買って出たんだ、とか言ってたけど……。
 俺を追い出すために謀った、ってわけか」
「うん。たぶん。昔からサンタナは勝手だから、それくらいやりかねない」

呆れた野郎だ。俺がついつい吐き出した息が、ミリリのそれと重なる。

彼女もすっかりご立腹だった。跳ねるように、起立する。

「そんな奴のパーティー、とっとと抜けちゃおうっ! 私たちも協力するから!」
「……ミリリさん、ありがとう」
「お礼を言われるようなことじゃないよっ。これが任務だしね♪
 ……あ、そうだ。なんでわざわざ私経由で依頼したのか、ヨシュアにちゃんと伝えておいた方がいいんじゃないかな?」

ミリリの投げかけに、ソフィアは一瞬、腰の下で拳を握る。

(……もしかして、ミリリは俺とソフィアを会わせる為に、ここに残らせたのか?)

そんなことに考え巡らせていると、ソフィアは意を決したようにこちらを見上げた。

頬にはまだ泣き跡が残り、パープルの髪が張り付いていた。

「……うちは、ヨシュアくんがすごい強いことを知ってるじゃない? 昔から何度も何度も、助けてもらったもの。
 でも、なんにも知らないサンタナは、あなたを平凡だって決めつけてた」
「それが、どうかしたのか?」
「うちが弱いから、実力を合わせてくれてたのに。
 そのせいで平凡だなんて言われて、追放されたんだって思ったら申し訳なくて。怒ってないかな、って怖くて。
 それで、今の今まで直接会いに行けなかったんだ」

せっかく打ち止めかと思ったのに、長く伸びた睫毛には、また水滴がにじむ。

「……今回ここに来れたのはね。クエスト中、ヨシュアくんが助けてくれたんだ、ってよく分かったから」
「分かるもんなんだな」
「うん。今日のクエスト中、ずっと感じてた。幸せだったな」

ソフィアらしい、端的な言葉だった。
俺は、うっかりもらい泣きしそうになって息を吸い、空を見上げる。

『彗星の一団』で過ごした時間は、全て無駄になったと思っていた。

苦楽を共にした思い出は全てモノクロに塗り替えられ、俺の元に残されたのは、『平均』を繕っただけの虚しい記憶。

それが今になって、俺の中で色を取り戻していくようだった。

「……ソフィア。絶対、次のクエスト、成功させてやる」
「…………うん。うちも、頑張る」
「私も俄然やる気になってきたよっ! とっとと脱出、脱出!」

ミリリも含め、三人の士気が上がっていた。
そのまま、再びベンチについて、次のクエストに関する打ち合わせを開始する。

「にしても、またドラゴン討伐か……」

今度は、アイシングドラゴン。寒冷な場所を好み、移動を繰り返すため、出現場所が特定されていない、氷属性の一角龍だ。

「いつもなら、植物採取系の方が多いのに。どうしたんだろうな、ローズさん」
「たしかに。……珍しいといえば、珍しいかもしれない」

ローズさんは、ただ伯爵家の当主というだけでない。

研究熱心で、魔草などからのポーション作りなども手掛けている。
そのため、自然と採取クエストの依頼が多くなる。

一つならまだしも、二つ以上とこれば、そうない話だ。

…………まさか、が俺の中によぎった。
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