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彼と彼女の前世
-2-彼女の前世
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そしてそんな物語に憧れること、私、12歳。
婚約者ができました!!
って、いっても、まあ政略なんだけど。
でも物語の2人も元は政略だったわけだし。
これから仲良くなれればいいよね。
◇
13歳
ま、まぁ、まだ会って一年しか経ってないし。
14歳
まだ会って2年だし?これからだよね。私たちまだこんな歳だし。
15歳
えっと...ちょっと相性が悪いだけ、もうちょっと時間をかければ仲良くなれるよね!
そして2年の時が過ぎ...
17歳になった。
もうすでに16歳の頃には悟り始めていた。
——この人とは仲良くなれない。
と。
それが友情であったとしても、無理なんだと私は悟っていた。
そして17歳になり、あきらめがついた。
はず、なんだけど...
それでもショックだった。
この人なら好きになれると思った。
実際好きだった。
もちろんそれは友情なんかじゃ無い、紛れもない恋だった。
いくら素っ気なくされても、冷たい態度を取られても、いつか堂々としているその姿に憧れを抱き、いつのまにかどんな人に対しても平等であることに好意を抱いた。
それは、もちろん社長に重ねてないわけではない。
でも完全に重ねているわけでもない。
ちゃんと、彼は、彼であって、
社長は社長であることを理解している。
もう二度と社長と会えることはないと思うと、ひどく胸が痛むけど、この恋に一途になれるなら、と思った。
でももうしょうがない。
諦めましょう。
私は大好きだった本をメイドに頼んでもう目に届かないところへと売ってしまった。
◇
それからというもの、私は何かをする気力がなくなった。
恋をする前ならいくらでも夢中になれることがあったのに、恋が終わったらこんなにも辛い。
よく漫画で振られてやけ酒する人の気持ちが今ではよくわかる。
でも今の私には自暴自棄になる気力すらも起こらないかもしれない。
「なにをすれば良いんだろう」
私は1人っきり部屋の中で寂しげに震えた声で呟いた。
「...ルネリアお姉さま」
そんな中で誰かから返事が返ってくる。
それは2年前に公爵家に養子に来たというまだ幼い、10歳の弟だった。
「カミル、どうしたの」
「それは僕のセリフです。ルネリアお姉さまこそどうしたんですか。」
「あら、うちの弟は人の気持ちを察するのが上手なのね」
「はい。自分がそうでしたから。」
「...そんなこともあったわね」
「それで、ルネリアお姉さまはどうしてそんなにも泣いているんですか?」
「泣いて....る?」
私は指摘されてようやっと頬が濡れていることに気付いた。
婚約者ができました!!
って、いっても、まあ政略なんだけど。
でも物語の2人も元は政略だったわけだし。
これから仲良くなれればいいよね。
◇
13歳
ま、まぁ、まだ会って一年しか経ってないし。
14歳
まだ会って2年だし?これからだよね。私たちまだこんな歳だし。
15歳
えっと...ちょっと相性が悪いだけ、もうちょっと時間をかければ仲良くなれるよね!
そして2年の時が過ぎ...
17歳になった。
もうすでに16歳の頃には悟り始めていた。
——この人とは仲良くなれない。
と。
それが友情であったとしても、無理なんだと私は悟っていた。
そして17歳になり、あきらめがついた。
はず、なんだけど...
それでもショックだった。
この人なら好きになれると思った。
実際好きだった。
もちろんそれは友情なんかじゃ無い、紛れもない恋だった。
いくら素っ気なくされても、冷たい態度を取られても、いつか堂々としているその姿に憧れを抱き、いつのまにかどんな人に対しても平等であることに好意を抱いた。
それは、もちろん社長に重ねてないわけではない。
でも完全に重ねているわけでもない。
ちゃんと、彼は、彼であって、
社長は社長であることを理解している。
もう二度と社長と会えることはないと思うと、ひどく胸が痛むけど、この恋に一途になれるなら、と思った。
でももうしょうがない。
諦めましょう。
私は大好きだった本をメイドに頼んでもう目に届かないところへと売ってしまった。
◇
それからというもの、私は何かをする気力がなくなった。
恋をする前ならいくらでも夢中になれることがあったのに、恋が終わったらこんなにも辛い。
よく漫画で振られてやけ酒する人の気持ちが今ではよくわかる。
でも今の私には自暴自棄になる気力すらも起こらないかもしれない。
「なにをすれば良いんだろう」
私は1人っきり部屋の中で寂しげに震えた声で呟いた。
「...ルネリアお姉さま」
そんな中で誰かから返事が返ってくる。
それは2年前に公爵家に養子に来たというまだ幼い、10歳の弟だった。
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「それは僕のセリフです。ルネリアお姉さまこそどうしたんですか。」
「あら、うちの弟は人の気持ちを察するのが上手なのね」
「はい。自分がそうでしたから。」
「...そんなこともあったわね」
「それで、ルネリアお姉さまはどうしてそんなにも泣いているんですか?」
「泣いて....る?」
私は指摘されてようやっと頬が濡れていることに気付いた。
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