モザイク職人テオ、皇帝補佐官に翻弄される。

ナムラケイ

文字の大きさ
上 下
5 / 8

しおりを挟む
 皺になると困ると言って、イガリさんは潔く自分で軍服を脱いだ。
 さっきまで照れまくっていたくせに、やっぱり男らしい人だ。
 月下の裸体に俺の喉が鳴る。
 
 肌が白い。
 しなやかな筋肉のついた腕も胸も腹も脚も、全部が美しい。
 腰が細くて、股下も膝下も長い。
 裸まで綺麗とか、奇跡だ。

 俺の露骨な視線にイガリさんが目を伏せた。長い睫毛が丸見えになる。 

 俺は素早く服を脱ぎ捨てると、仮眠用だという小さなベッドにイガリさんを導き、そっと唇を重ねた。
 大人らしく、ゆっくりと啄むようなキスをするつもりだったが、軽く触れた瞬間に、その柔らかさと甘さに虜になって、思わず噛みつくように唇を覆い、舌で歯をこじ開けた。

「っふ」

 鼻にかかったような息が漏れる。
 それに煽られて、無茶苦茶に喰らいついて、そして衝動が収まってくると、唇や歯や歯茎や頬の上をひとつずつ丹念に舌でなぞっていった。

「テオ、もう、いいから……やめっ」

 息継ぎの間にイガリさんが訴えてきたので、唇を離す。
 長いキスのせいで、イガリさんの唇は腫れたように赤く濡れている。

「ごめんなさい、加減が分からなくて」

 素直に謝って、でも止める気なんて更々なくて、イガリさんの両手首をシーツに押し付けた。

 頬、顎の舌、耳、首筋に順番にキスを落とし、固く尖らせた舌先で舐めていく。
 鎖骨の舌に舌を這わせた時、イガリさんの身体がぴくんと跳ねた。

「―――っ」

 思わず漏れた甘い声に、俺の頬は緩む。

「ここ、好きなんだ」

 囁いて、もう一度鎖骨の舌をしつこく舐める。身体が跳ねるのが楽しくて仕方ない。

「や、そこ、んっ」

 あー、もう、本当、やばいこの人。
 どっからこんな可愛い声出てくるんだか。

「じゃあ、違うとこにしますね」

 宣言してから、俺は胸元の突起に唇を移動させた。
 右側を唇で舐めたり吸ったり押しつぶしたりしながら、左手の指先で左の乳首をいじる。
 俺の動きに応じて、びくびくと身体を揺らすイガリさんが愛おしくて、もっともっと何でもしてやりたくなってしまう。

 俺はもう最初からぎちぎちに勃起していたけど、イガリさんもいい勝負だった。
 キスをしている時からイガリさんのちんこが固く勃ち上がっていたのは気づいていた。
 そっと手を這わせると、亀頭はすでにぷくりと腫れて、先走りを滴らせていた。
 俺のと同じもののはずなのに、ずっと綺麗で、品さえある。
 
 俺はためらわずに、イガリさんのものを口に含んだ。

「うそっ、何してっ!」

 イガリさんの腰が一瞬引けたが、口の中で硬度が増したので、これは全然嫌がっていない。
 男相手は初めてだったけど、まったく抵抗がない。
 寧ろ、興奮する。

 俺は夢中になって、舌と手を酷使して奉仕した。
 恥ずかしいのか、イガリさんは両手で顔を隠しているが、はくはくと酸素を求める唇だけが見えていて、それがまた煽情的だ。
 ってか、エロい。

「ふっ、んんんっ、ああ……やあっ、もう」
「もう、なに?」

 口の中でびくびくと震える様子で、もう何なのかは分かっていたが、意地悪く聞き返した。
 なんていうか、この人の泣き顔を見ていると、妙に嗜虐心をそそられる。

「なんでも、ないっ」
「なんでもないことないですよね」

 俺はイガリさんのちんこの根元を指先でぎゅっと抑えた。

「今すぐイキたい? それとももう少し後にします?」
「……っ!」

 股間から顔を上げて、イガリさんの両手を掴んで顔を晒すと、その顔は真っ赤だった。
 唇がだらしなく開いて、アイスブルーの瞳には涙が溜まって今にも零れ落ちそうだ。

「もうちょっと我慢しましょうか」
 
 囁いて、準備していたローションを取り出す。
 赤色のガラス瓶に入ったそれは、街の道具屋(裏)で入手してきたものだ。
 コルクの蓋を片手で取り、中身を手のひらで温めてから、イガリさんの尻の割れ目にたらたらと垂らした。
 
 時間をかけて慣らそうと指先で襞を丁寧になぞる。
 中指の先をつぷりと差し入れると、指は吸い込まれるように穴に滑り込んだ。
 
 あれ?
 
 俺は首を傾げる。
 ローションがあるにしても、あまりにも柔らかい。
 嬉しくなって、枕に顔を埋めるイガリさんの耳元にキスを落とした。

「もしかして、自分で準備してくれた?」

 イガリさんはその体勢のまま、こくりと一度だけ頷いた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

捨て猫はエリート騎士に溺愛される

135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。 目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。 お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。 京也は総受け。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

幽閉王子は最強皇子に包まれる

皇洵璃音
BL
魔法使いであるせいで幼少期に幽閉された第三王子のアレクセイ。それから年数が経過し、ある日祖国は滅ぼされてしまう。毛布に包まっていたら、敵の帝国第二皇子のレイナードにより連行されてしまう。処刑場にて皇帝から二つの選択肢を提示されたのだが、二つ目の内容は「レイナードの花嫁になること」だった。初めて人から求められたこともあり、花嫁になることを承諾する。素直で元気いっぱいなド直球第二皇子×愛されることに慣れていない治癒魔法使いの第三王子の恋愛物語。 表紙担当者:白す(しらす)様に描いて頂きました。

恐怖症な王子は異世界から来た時雨に癒やされる

琴葉悠
BL
十六夜時雨は諸事情から橋の上から転落し、川に落ちた。 落ちた川から上がると見知らぬ場所にいて、そこで異世界に来た事を知らされる。 異世界人は良き知らせをもたらす事から王族が庇護する役割を担っており、時雨は庇護されることに。 そこで、検査すると、時雨はDomというダイナミクスの性の一つを持っていて──

本能と理性の狭間で

琴葉
BL
※オメガバース設定 20代×30代※通勤途中突然の発情期に襲われたΩの前に現れたのは、一度一緒に仕事をした事があるαだった。 すいません、間違って消してしまいました!お気に入り、しおり等登録してくださっていた方申し訳ありません。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

処理中です...