モザイク職人テオ、皇帝補佐官に翻弄される。

ナムラケイ

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 皺になると困ると言って、イガリさんは潔く自分で軍服を脱いだ。
 さっきまで照れまくっていたくせに、やっぱり男らしい人だ。
 月下の裸体に俺の喉が鳴る。
 
 肌が白い。
 しなやかな筋肉のついた腕も胸も腹も脚も、全部が美しい。
 腰が細くて、股下も膝下も長い。
 裸まで綺麗とか、奇跡だ。

 俺の露骨な視線にイガリさんが目を伏せた。長い睫毛が丸見えになる。 

 俺は素早く服を脱ぎ捨てると、仮眠用だという小さなベッドにイガリさんを導き、そっと唇を重ねた。
 大人らしく、ゆっくりと啄むようなキスをするつもりだったが、軽く触れた瞬間に、その柔らかさと甘さに虜になって、思わず噛みつくように唇を覆い、舌で歯をこじ開けた。

「っふ」

 鼻にかかったような息が漏れる。
 それに煽られて、無茶苦茶に喰らいついて、そして衝動が収まってくると、唇や歯や歯茎や頬の上をひとつずつ丹念に舌でなぞっていった。

「テオ、もう、いいから……やめっ」

 息継ぎの間にイガリさんが訴えてきたので、唇を離す。
 長いキスのせいで、イガリさんの唇は腫れたように赤く濡れている。

「ごめんなさい、加減が分からなくて」

 素直に謝って、でも止める気なんて更々なくて、イガリさんの両手首をシーツに押し付けた。

 頬、顎の舌、耳、首筋に順番にキスを落とし、固く尖らせた舌先で舐めていく。
 鎖骨の舌に舌を這わせた時、イガリさんの身体がぴくんと跳ねた。

「―――っ」

 思わず漏れた甘い声に、俺の頬は緩む。

「ここ、好きなんだ」

 囁いて、もう一度鎖骨の舌をしつこく舐める。身体が跳ねるのが楽しくて仕方ない。

「や、そこ、んっ」

 あー、もう、本当、やばいこの人。
 どっからこんな可愛い声出てくるんだか。

「じゃあ、違うとこにしますね」

 宣言してから、俺は胸元の突起に唇を移動させた。
 右側を唇で舐めたり吸ったり押しつぶしたりしながら、左手の指先で左の乳首をいじる。
 俺の動きに応じて、びくびくと身体を揺らすイガリさんが愛おしくて、もっともっと何でもしてやりたくなってしまう。

 俺はもう最初からぎちぎちに勃起していたけど、イガリさんもいい勝負だった。
 キスをしている時からイガリさんのちんこが固く勃ち上がっていたのは気づいていた。
 そっと手を這わせると、亀頭はすでにぷくりと腫れて、先走りを滴らせていた。
 俺のと同じもののはずなのに、ずっと綺麗で、品さえある。
 
 俺はためらわずに、イガリさんのものを口に含んだ。

「うそっ、何してっ!」

 イガリさんの腰が一瞬引けたが、口の中で硬度が増したので、これは全然嫌がっていない。
 男相手は初めてだったけど、まったく抵抗がない。
 寧ろ、興奮する。

 俺は夢中になって、舌と手を酷使して奉仕した。
 恥ずかしいのか、イガリさんは両手で顔を隠しているが、はくはくと酸素を求める唇だけが見えていて、それがまた煽情的だ。
 ってか、エロい。

「ふっ、んんんっ、ああ……やあっ、もう」
「もう、なに?」

 口の中でびくびくと震える様子で、もう何なのかは分かっていたが、意地悪く聞き返した。
 なんていうか、この人の泣き顔を見ていると、妙に嗜虐心をそそられる。

「なんでも、ないっ」
「なんでもないことないですよね」

 俺はイガリさんのちんこの根元を指先でぎゅっと抑えた。

「今すぐイキたい? それとももう少し後にします?」
「……っ!」

 股間から顔を上げて、イガリさんの両手を掴んで顔を晒すと、その顔は真っ赤だった。
 唇がだらしなく開いて、アイスブルーの瞳には涙が溜まって今にも零れ落ちそうだ。

「もうちょっと我慢しましょうか」
 
 囁いて、準備していたローションを取り出す。
 赤色のガラス瓶に入ったそれは、街の道具屋(裏)で入手してきたものだ。
 コルクの蓋を片手で取り、中身を手のひらで温めてから、イガリさんの尻の割れ目にたらたらと垂らした。
 
 時間をかけて慣らそうと指先で襞を丁寧になぞる。
 中指の先をつぷりと差し入れると、指は吸い込まれるように穴に滑り込んだ。
 
 あれ?
 
 俺は首を傾げる。
 ローションがあるにしても、あまりにも柔らかい。
 嬉しくなって、枕に顔を埋めるイガリさんの耳元にキスを落とした。

「もしかして、自分で準備してくれた?」

 イガリさんはその体勢のまま、こくりと一度だけ頷いた。
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