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実は純情でした@ザ・ローズベランダ
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シャングリラ・ダイアログに合わせた総理大臣のシンガポール訪問まであと1週間。
在シンガポール日本国大使館の館員は総出で最終調整に当たっている。
その日は、リエゾングループによる現場の最終確認が行われた。
百人を超える総理一行の中には、いわゆる「偉い人」が総理以外にもごろごろいる。
リエゾンとは、その偉い人達と始終行動を共にし、あの資料が欲しいだの、その件はどうなっているのだの、果ては充電器を忘れただの、とにかく言われたことに何でも対応する御用聞き要員である。
要人訪問時は通常の担当業務とは関係なく役割が振られるので、普段は日本文化の広報や留学生支援を担当している矢倉翼も、リエゾンの一人に任命されていた。
総理一行の訪問先のすべての現場確認を終えた後、リエゾングループは宿泊所であるシャングリラホテルのロビーで解散となった。
「じゃあ、私はホテルのマネージャーと打ち合わせがあるので」
「俺もこの後首相府の担当とミーティングあるから」
と館員は三々五々別れていく。
時計を見ると午後4時だ。朝から立ちっぱなしだったので、流石に疲れた。
矢倉が茶でも飲んでも帰ろうとエレベーターへ向かうと、ロビーラウンジに向かう経済班の三宅里奈の姿が見えた。速足で追いかける。
「三宅さん」
「矢倉翼。なに?」
三宅は何故か矢倉のことをフルネームで呼ぶ。それもかなり不愛想に。
「帰らへんの?」
「経済班への差し入れに、お茶菓子買って帰ろうと思って」
「んじゃ、お茶付き合わへん?」
誘うと、三宅は思いっきり怪訝な顔をした。
「なんで私とあなたがお茶飲まなきゃいけないのよ。遠慮しとく」
矢倉はふはっと笑う。
自分で言うのもなんだが、矢倉はモテる。
身ぎれいなカッコをして、楽しい話で笑わせてあげて、優しさと強引さを混ぜ合わせれば、大抵の女の子は頬を染めて心を開いてくれる。男相手でも同じだ。
正面から袈裟懸けに斬られることなど滅多にないので、三宅の反応は逆に新鮮である。
「そう言わんと。奢るし。甘いもんでエネルギー補給してから大使館戻ろうや。どうせ今日も深夜残業やし」
食い下がると、三宅は思案するように首を傾げた。
「本当に奢り?」
「二言は無い」
「じゃあ、ローズベランダのハイティー・ビュッフェがいい」
それを聞いて、矢倉は再び噴き出した。
「容赦ないなあ」
シャングリラホテルのザ・ローズベランダは、シンガポールでも指折りのアフタヌーンティーを出す店だ。お値段、1人約5千円なり。
「うーん、美味しい!」
ケーキだけではなく、食事も充実したビュッフェである。
三宅は、サラダにローストビーフ、焼き立てのパンとチーズを取り、盛大な食欲を見せている。
一方の矢倉はそんなに腹が減っていたわけでもないので、小ぶりのケーキをいくつか取っただけだ。
しばらくは仕事の話をした。
国土交通省のキャリア出向者である三宅は、経済班で海洋インフラを担当している。
根っからの仕事人間なのだろう。矢倉の質問に応じる形で、ASEAN諸国への日本のインフラ支援について、熱く語ってくれた。
三宅が4皿目の料理を取りに行っている間、矢倉はポットの茶葉を取り換えるようウェイターに頼んだ。
戻ってきた三宅は、ラクサの入った大ぶりの器を持っている。
まだ食事を続けるらしい。
三宅は髪を耳にかけてから、つるつると麺を食べ始めた。
矢倉はティーカップの湯気越しにその様子を眺める。
客観的に見て、三宅は美人だ。
顔は小ぶりで色が白く、猫を思わせる瞳は知的に輝いていて、目尻が少し吊り上がっているのが逆に品を感じさせる。
食事で口紅が取れてもなお赤みが強い唇に、オレンジ色のスープをまとった麺が吸い込まれていく様子は、ちょっとエッチだ。
近間さんといい、色気ある人って口元がエロいよな。
「なに」
矢倉の視線に気づいたのか、三宅が睨んでくる。
「いや、よう食うなあと思て」
「矢倉翼相手に気取ってもしゃーないやん」
普段は標準語だが、矢倉と話している時は、つられてしまうのか、時々お国の京都弁が混じる。それがまた可愛らしい。
かなり好みやし。
前までの俺やったら、結構マジで口説くんやけどなあ。
三宅だけではない。街でタイプの女の子や、一見してゲイだと分かる好みの男を見つけたら、すぐに声をかけていた。
でも最近はどうしてかその気になれないのだ。
27歳にして枯れたんか、俺。
「ちゃうって。いっぱい食べる女の子って可愛えし」
「同僚に女の子とか可愛いとか言わない」
塩対応もこれ極まりだ。
矢倉はへいへいと肩をすくめて、ケーキに手をつけた。あまり甘くなくて、カシスの酸っぱさが舌に爽やかだ。
「可愛いもんは可愛いし。褒めるのが礼儀やろ」
「あんたって、本当スポンジ」
「え?」
「軽すぎ」
「はは、うまいね、三宅さん」
「否定しなよ」
打てば響くようにかえってくるので、三宅と話すのは楽しい。
三宅はラクサをスープまで飲み干してから訊いた。
「矢倉翼さあ、そういうの楽しい?」
「そういうのって?」
「大して好きでもないのに、お試しにみたいに付き合って、飽きたり他に興味の対象が出来たら、すぐ別れて。そういうの繰り返すこと」
「楽しいよ。いや、楽しかった、かな。最近、なんかナンパとかする気にならへんねんよな」
矢倉は正直に話して、まだまだ枯れる年ちゃうねんけどと肩をすくめてみせる。
すると、三宅は今日初めての微笑みを見せた。
「それは、近間さんに本気になっちゃったからでしょ」
…………え?
矢倉はその言葉を咀嚼し、フリーズする。
俺が、近間さんを、本気で?
「え、え、え、ええっ?」
思い切り動揺する矢倉に、三宅の方が驚いて目をぱちくりさせている。
「なに、あんた、気づいてなかったの?」
「え、いや、だって」
矢倉は口元を手で覆った。
今、絶対、顔が真っ赤だ。
確かに防衛駐在官の近間恵介は、矢倉が会ったことのある男の中で最も美しい。
カッコいいのに可愛くて、色気もあって。
矢倉自身がバイなのと、シモの話には鼻が利くこともあり、近間が男に抱かれているであろうことはなんとなく分かった。
こういう綺麗な男をぐちゃぐちゃに乱れさせて泣かせてみたいと思って、凄んでみせたこともある。
まったく相手にされなかったが。
近間と話すのは普通に楽しいので、理由をつけては防衛駐在官室に入り浸って、ノリも手伝って好きアピールはしていた。
でもそれは、受付のシンディに「今日も綺麗だね」とか、庶務の花村さんに「花村さん可愛いし、俺と付き合わへん?」と挨拶代わりに冗談めかして言うのと同じだった。はず。
いや、でも俺。
思い起こせば、街中で好みの子を見つけた時、すぐに脳裏に浮かぶのは近間の顔だった。
美人さんやけど、近間さんの方が断然キレイやわ。そう思って。
矢倉は頭を抱えて、脚をじたばたさせる。
「うーわー、何やねんこれ、恥っずー」
「自分の気持ち気づいてなかったの? あんなに熱っぽい目で近間さんのこと見てるのに?」
三宅は心底呆れているようだ。
「俺、そうなん?」
「そうやわ。視線がずっと近間さんのこと追いかけてるし、近間さんと喋ってる時、すごく嬉しそうだよ」
「恥ずか死ねる」
「霞ヶ関一のチャラ男で遊び人は、実は純情でした」
三宅はナレーションのように締めくくると、ケーキを物色するために立ち上がった。
そのあと、三宅が7個のケーキとチョコレートフォンデュを食べ終えるのを胸焼けする思いで見届けた。
約束通り会計は矢倉が済ませ、店を出る。
エレベーターに乗ると、三宅は折りたたんだ50ドル札を矢倉の胸ポケットに入れた。
「いいよ、奢るって言ったし」
「奢られる理由がない」
「女の子は黙って奢られとけばいいねんって」
「純情青年が偉そうに」
「うるさいわ。ほなこれで、みんなに差し入れ買うてこうや」
矢倉がポケットの紙幣を指先に挟んで提案すると、三宅は指でオッケーサインを作った。
「それ、ナイスアイディア」
大使館に帰館すると、それぞれの執務室に別れる前に、三宅は立ち止まって矢倉を仰ぎ見た。随分優しい目をしている。
「矢倉翼」
「ん?」
「ちゃんと告白して、ちゃんと振られるといいよ。そしたら、また次に進めるから」
「振られるの前提?」
肩をすくめて訊くと、三宅は深く頷いた。
「あの二人は誰にも引き裂けない」
絶対的な確信があるようだ。
「相手の男、そんないい男?」
「いい男だよ。でもそういうことじゃなくて、あの二人は」
最適な表現を探すように一旦言葉を止め、そして続けた。
「運命だから」
矢倉の返事を待たずに、三宅はじゃあお疲れ様と言って経済班の執務室に入っていく。
矢倉はその場に立ちすくみ、呟いた。
「運命」
そんなものが本当にあるなら。
俺にとっての運命は。
在シンガポール日本国大使館の館員は総出で最終調整に当たっている。
その日は、リエゾングループによる現場の最終確認が行われた。
百人を超える総理一行の中には、いわゆる「偉い人」が総理以外にもごろごろいる。
リエゾンとは、その偉い人達と始終行動を共にし、あの資料が欲しいだの、その件はどうなっているのだの、果ては充電器を忘れただの、とにかく言われたことに何でも対応する御用聞き要員である。
要人訪問時は通常の担当業務とは関係なく役割が振られるので、普段は日本文化の広報や留学生支援を担当している矢倉翼も、リエゾンの一人に任命されていた。
総理一行の訪問先のすべての現場確認を終えた後、リエゾングループは宿泊所であるシャングリラホテルのロビーで解散となった。
「じゃあ、私はホテルのマネージャーと打ち合わせがあるので」
「俺もこの後首相府の担当とミーティングあるから」
と館員は三々五々別れていく。
時計を見ると午後4時だ。朝から立ちっぱなしだったので、流石に疲れた。
矢倉が茶でも飲んでも帰ろうとエレベーターへ向かうと、ロビーラウンジに向かう経済班の三宅里奈の姿が見えた。速足で追いかける。
「三宅さん」
「矢倉翼。なに?」
三宅は何故か矢倉のことをフルネームで呼ぶ。それもかなり不愛想に。
「帰らへんの?」
「経済班への差し入れに、お茶菓子買って帰ろうと思って」
「んじゃ、お茶付き合わへん?」
誘うと、三宅は思いっきり怪訝な顔をした。
「なんで私とあなたがお茶飲まなきゃいけないのよ。遠慮しとく」
矢倉はふはっと笑う。
自分で言うのもなんだが、矢倉はモテる。
身ぎれいなカッコをして、楽しい話で笑わせてあげて、優しさと強引さを混ぜ合わせれば、大抵の女の子は頬を染めて心を開いてくれる。男相手でも同じだ。
正面から袈裟懸けに斬られることなど滅多にないので、三宅の反応は逆に新鮮である。
「そう言わんと。奢るし。甘いもんでエネルギー補給してから大使館戻ろうや。どうせ今日も深夜残業やし」
食い下がると、三宅は思案するように首を傾げた。
「本当に奢り?」
「二言は無い」
「じゃあ、ローズベランダのハイティー・ビュッフェがいい」
それを聞いて、矢倉は再び噴き出した。
「容赦ないなあ」
シャングリラホテルのザ・ローズベランダは、シンガポールでも指折りのアフタヌーンティーを出す店だ。お値段、1人約5千円なり。
「うーん、美味しい!」
ケーキだけではなく、食事も充実したビュッフェである。
三宅は、サラダにローストビーフ、焼き立てのパンとチーズを取り、盛大な食欲を見せている。
一方の矢倉はそんなに腹が減っていたわけでもないので、小ぶりのケーキをいくつか取っただけだ。
しばらくは仕事の話をした。
国土交通省のキャリア出向者である三宅は、経済班で海洋インフラを担当している。
根っからの仕事人間なのだろう。矢倉の質問に応じる形で、ASEAN諸国への日本のインフラ支援について、熱く語ってくれた。
三宅が4皿目の料理を取りに行っている間、矢倉はポットの茶葉を取り換えるようウェイターに頼んだ。
戻ってきた三宅は、ラクサの入った大ぶりの器を持っている。
まだ食事を続けるらしい。
三宅は髪を耳にかけてから、つるつると麺を食べ始めた。
矢倉はティーカップの湯気越しにその様子を眺める。
客観的に見て、三宅は美人だ。
顔は小ぶりで色が白く、猫を思わせる瞳は知的に輝いていて、目尻が少し吊り上がっているのが逆に品を感じさせる。
食事で口紅が取れてもなお赤みが強い唇に、オレンジ色のスープをまとった麺が吸い込まれていく様子は、ちょっとエッチだ。
近間さんといい、色気ある人って口元がエロいよな。
「なに」
矢倉の視線に気づいたのか、三宅が睨んでくる。
「いや、よう食うなあと思て」
「矢倉翼相手に気取ってもしゃーないやん」
普段は標準語だが、矢倉と話している時は、つられてしまうのか、時々お国の京都弁が混じる。それがまた可愛らしい。
かなり好みやし。
前までの俺やったら、結構マジで口説くんやけどなあ。
三宅だけではない。街でタイプの女の子や、一見してゲイだと分かる好みの男を見つけたら、すぐに声をかけていた。
でも最近はどうしてかその気になれないのだ。
27歳にして枯れたんか、俺。
「ちゃうって。いっぱい食べる女の子って可愛えし」
「同僚に女の子とか可愛いとか言わない」
塩対応もこれ極まりだ。
矢倉はへいへいと肩をすくめて、ケーキに手をつけた。あまり甘くなくて、カシスの酸っぱさが舌に爽やかだ。
「可愛いもんは可愛いし。褒めるのが礼儀やろ」
「あんたって、本当スポンジ」
「え?」
「軽すぎ」
「はは、うまいね、三宅さん」
「否定しなよ」
打てば響くようにかえってくるので、三宅と話すのは楽しい。
三宅はラクサをスープまで飲み干してから訊いた。
「矢倉翼さあ、そういうの楽しい?」
「そういうのって?」
「大して好きでもないのに、お試しにみたいに付き合って、飽きたり他に興味の対象が出来たら、すぐ別れて。そういうの繰り返すこと」
「楽しいよ。いや、楽しかった、かな。最近、なんかナンパとかする気にならへんねんよな」
矢倉は正直に話して、まだまだ枯れる年ちゃうねんけどと肩をすくめてみせる。
すると、三宅は今日初めての微笑みを見せた。
「それは、近間さんに本気になっちゃったからでしょ」
…………え?
矢倉はその言葉を咀嚼し、フリーズする。
俺が、近間さんを、本気で?
「え、え、え、ええっ?」
思い切り動揺する矢倉に、三宅の方が驚いて目をぱちくりさせている。
「なに、あんた、気づいてなかったの?」
「え、いや、だって」
矢倉は口元を手で覆った。
今、絶対、顔が真っ赤だ。
確かに防衛駐在官の近間恵介は、矢倉が会ったことのある男の中で最も美しい。
カッコいいのに可愛くて、色気もあって。
矢倉自身がバイなのと、シモの話には鼻が利くこともあり、近間が男に抱かれているであろうことはなんとなく分かった。
こういう綺麗な男をぐちゃぐちゃに乱れさせて泣かせてみたいと思って、凄んでみせたこともある。
まったく相手にされなかったが。
近間と話すのは普通に楽しいので、理由をつけては防衛駐在官室に入り浸って、ノリも手伝って好きアピールはしていた。
でもそれは、受付のシンディに「今日も綺麗だね」とか、庶務の花村さんに「花村さん可愛いし、俺と付き合わへん?」と挨拶代わりに冗談めかして言うのと同じだった。はず。
いや、でも俺。
思い起こせば、街中で好みの子を見つけた時、すぐに脳裏に浮かぶのは近間の顔だった。
美人さんやけど、近間さんの方が断然キレイやわ。そう思って。
矢倉は頭を抱えて、脚をじたばたさせる。
「うーわー、何やねんこれ、恥っずー」
「自分の気持ち気づいてなかったの? あんなに熱っぽい目で近間さんのこと見てるのに?」
三宅は心底呆れているようだ。
「俺、そうなん?」
「そうやわ。視線がずっと近間さんのこと追いかけてるし、近間さんと喋ってる時、すごく嬉しそうだよ」
「恥ずか死ねる」
「霞ヶ関一のチャラ男で遊び人は、実は純情でした」
三宅はナレーションのように締めくくると、ケーキを物色するために立ち上がった。
そのあと、三宅が7個のケーキとチョコレートフォンデュを食べ終えるのを胸焼けする思いで見届けた。
約束通り会計は矢倉が済ませ、店を出る。
エレベーターに乗ると、三宅は折りたたんだ50ドル札を矢倉の胸ポケットに入れた。
「いいよ、奢るって言ったし」
「奢られる理由がない」
「女の子は黙って奢られとけばいいねんって」
「純情青年が偉そうに」
「うるさいわ。ほなこれで、みんなに差し入れ買うてこうや」
矢倉がポケットの紙幣を指先に挟んで提案すると、三宅は指でオッケーサインを作った。
「それ、ナイスアイディア」
大使館に帰館すると、それぞれの執務室に別れる前に、三宅は立ち止まって矢倉を仰ぎ見た。随分優しい目をしている。
「矢倉翼」
「ん?」
「ちゃんと告白して、ちゃんと振られるといいよ。そしたら、また次に進めるから」
「振られるの前提?」
肩をすくめて訊くと、三宅は深く頷いた。
「あの二人は誰にも引き裂けない」
絶対的な確信があるようだ。
「相手の男、そんないい男?」
「いい男だよ。でもそういうことじゃなくて、あの二人は」
最適な表現を探すように一旦言葉を止め、そして続けた。
「運命だから」
矢倉の返事を待たずに、三宅はじゃあお疲れ様と言って経済班の執務室に入っていく。
矢倉はその場に立ちすくみ、呟いた。
「運命」
そんなものが本当にあるなら。
俺にとっての運命は。
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