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1個じゃ足らないです@ガーディアン
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あー、まじかったるい。
早くシフト明けねえかな。
シンガポール国立大学人文社会学部2年生のイーシンは、陳列棚にボディソープを補充しながら、大きな欠伸をした。
大手ドラッグストアチェーン「ガーディアン」のバイトはそこそこの時給でシフトの融通は利くが、意外に肉体労働だ。
比較文化論のレポートの期限が迫っていたので、昨夜は貫徹だった。2時間だけ仮眠を取った後、昼からバイトに出ているので、とにかく眠い。
止まらない欠伸を噛み殺しながら、空になったボディソープのダンボールを潰した。
「すみません。目薬ってどこにありますか?」
声をかけてきた女性客をちらりと見ると、目がぱっちりしたなかなか可愛い子だ。
「ご案内します」
イーシンは自然に笑顔になり、女性客を誘導する。
午後6時のドラッグストアは仕事帰りの客で混雑している。
ファッションビルの中に入っている店舗なので、客の8割は若い女性だ。
このバイトを選んだ理由のひとつでもある。
「イーシン、シャンプーの補充もよろしくな」
女性客に雑談混じりに目薬の説明をしていると、店内の商品チェックをしていた先輩バイトが割って入ってきた。
ったく、重い物系はすぐ人に押し付けんだからな。たまには自分でやれよなー。
心の中で舌打ちしつつも、イーシンは殊勝に頷いた。
「はい。すぐに」
時計の針は遅々として進まない。シフト終了まであと2時間もある。
腰を落として、シャンプーボトルを陳列棚の下段に並べていると、足元に影が落ちた。
「すみません」
声をかけられ、イーシンは作業を中断して膝を伸ばした。
「はい。何かお探しですか?」
男の声だったので、適当な営業スマイルを浮かべて応じたイーシンだったが、客の顔を見て硬直する。
うわ、なんだこの人。
思わず持っていたシャンプーを落としてしまう。
その客の手が素早く動き、落下していたシャンプーを掴んだ。
すごい反射神経だ。
「どうぞ」
客の男は微笑みながら、キャッチしたシャンプーを差し出した。
イーシンはその顔をまじまじと二度見する。
巷にはちょっといないくらいの男前だった。
涼やかな目元に、綺麗な形の鼻と唇がすっきりと並んでいる。
バイトのおかげでイーシンは化粧品にも詳しくなったが、この男の肌は、化粧品など必要としないほどすべらかだ。着ているスーツはありふれた既製品なのに、姿勢がいいので、モデルのように見える。
「どうかしましたか?」
フリーズするイーシンに、男は首を傾げた。
「あ、ああ、すみません。ありがとうございます。えと、何かお探しですか?」
「シャンプーを探していて。名前は思い出せないんですが、銀色のボトルの」
アジア人なのに、ニューヨーカーみたいに綺麗な発音の英語だった。
銀色のパッケージはひとつしかないので、すぐに分かった。
うちに置いているシャンプーで一番高価なラインだ。イケメンは使うシャンプーも高級品らしい。
確かに、男の黒髪はつやつやしていて、触り心地が良さそうだ。
「こちらでしょうか?」
イーシンは陳列棚の一番端に置いてあったボトルを指し示した。
「ああ、これです。ありがとう」
男はにっこりと笑って礼を言った。
その完璧な笑顔に、イーシンはどぎまぎしてしまう。
なんだ、この人。ハンサムなのになんか可愛いっつーか。
いや、アホか、俺。この客、男だぞ。しかもかなり年上の。
うろたえながら盗み見していると、男は急に眉を顰めた。
その視線の先には、値札がある。
「は? 45シンガポールドル? あいつ、馬鹿じゃねえの」
男は日本語で呟いた。
整った顔に似合わぬ男っぽい口調だった。
イーシンは第3外国語で日本語を専攻している。
あまり熱心に勉強していないので、ライティングとスピーキングは苦手だが、簡単な文章や会話なら聞き取れる。
そこへ、長身の男が足早にやってきた。高級そうなスーツを着た、やはり日本人だ。
「チカマさん、すみません、遅くなって。パン屋、結構混んでて」
詫びる男に、チカマさんという名らしい男前は顔をしかめた。
「それはいいけど。ナオキ、このシャンプーなんなの」
「なにとは」
「店員さん、この値段、間違ってないですよね?」
チカマさんが英語でイーシンに確かめる。
「はい。45ドルで間違いありません」
イーシンは頷きながら、作業途中のシャンプーの陳列を再開した。
接客とはいえ、客と喋ってばかりいると先輩バイトのゲンコがすぐに飛んでくるのだ。
「今、1ドル80円だぞ」
チカマさんが呆れたように言う。
「知ってますよ。俺、シャンプーはこれって決めてるんで」
「どうりでこれで髪洗うと異様にさらっさらになると思ったわ」
そう言いながら、チカマさんはボトルをカゴに落とした。文句を言っていたが、お買い上げはしていただけるらしい。
「チカマさん、髪綺麗なんだからちゃんと手入れしてくださいね」
笑いながら応じるナオキの横で、イーシンは人知れず頷いた。
髪が綺麗、には激しく同意だ。
俺だって触ってみたいくらいだ。
いや、だから、違うだろ、俺!
イーシンは今度は首を横に激しく振った。
「イーシン、レジヘルプ入ってくれー」
先輩バイトに呼ばれて、レジへ走ると、ちょうどチカマさんとナオキの番だった。なんとなく、ラッキーと思ってしまう。
「さっきはありがとう」
チカマさんが微笑んだ。よく笑う人だ。
顔が綺麗すぎるから、真顔だと近寄りがたいのを自分で分かっているのかもしれない。
バーコードリーダーで身分証を読み取ってから、カゴの中身を取り出す。
シャンプー、歯ブラシ2本、柔軟剤、マウスウォッシュ、ワセリン。
ドラッグストアの買い物は、その人の生活が垣間見える。
この2人一緒に住んでんのかな。
兄弟には見えないし。同じ会社の寮とかか。
「これもお願いします」
邪推していると、ナオキがレジ付近に並べているチョコレートバーをカゴに追加した。
「おまえ、また余計なものを」
チカマさんは横目で睨んでいるが、ナオキは悪びれずに、チョコレートバーをもう1本追加する。
「2本も食うのかよ。メタボになるぞ」
「1本はチカマさんのです」
「俺は食わない」
「チョコ、好きじゃないですか」
「別に好きじゃない」
「チョコリキュールはお気に召してましたよね?」
それを聞いたチカマさんは、何故か顔を赤くしている。
なんなんだ、この二人。
二人にしか分からない、まるで恋人同士のような会話に、イーシンはちょっといらっとしてしまう。
「こちらで全てでしょうか?」
もう菓子は要らないよな、との意味を込めてナオキに訊く。
「はい。……あ」
ナオキは何かを思い出したようにチカマさんを見て、日本語に切り替えた。
「チカマさん、○○、あと1個しかないです」
知らない単語だったし、ぎりぎり聞こえるくらいの小声だったので、イーシンには意味が分からなかった。
が、チカマさんは何故か大きく溜め息をついて、やはりボリュームを絞った。
「そういう買い物は一人の時にしてくれ」
「でも今夜、1個だと足らないですよね」
何の話だ。
「足らせろ。あ、これで全部なんでお会計お願いします」
後半は声量を上げた英語でイーシンに向けられたものだ。慌ててレジのキーを押す。
「93ドルです」
財布を取り出すチカマさんの横で、ナオキは不服そうに呟いている。
「無理です。1週間ぶりだし。仲直りの後だし。3回はしたいです」
…………!
これって、これってそういう意味だよな。え、なにこの二人って。
○○ってつまり、コンドームか?
動揺して、握っていたバーコードリーダーを思わず取り落としてしまう。
イーシンの手とカウンターの間は15センチほどしか離れていない。
その間にチカマさんの手が伸びてきて、リーダーを受け止めた。
この人、動体視力と反射神経がハンパねえな。
「俺、先に出てコンビニ行ってきます!」
見慣れているのか、チカマさんのファインプレーに特に驚くこともなく、ナオキはレジ袋を掴んで足早に店を出ていく。
それは、アレを買いにコンビニ行くってことだよな。図体デカいのに、なんか健気な奴だ。
まあ、こんなキレイな人とヤれるんなら、必死にもなるか。
いや、だから、男だって、俺!
ってか、コンドームならうちはかなりのラインナップを揃えている。
売上アップのためにはオススメすればよかったのか? いや、いきなりそれはおかしいか。
悶々とするイーシンに、チカマさんが100シンガポールドル札を差し出した。
「もしかして、日本語分かる?」
日本語で訊かれて、その意味は勿論分かったが、イーシンは言葉が通じないというジェスチャーで小首を傾げてみせた。
ひそひそ声の外国語とはいえ、マルチリンガルが珍しくないシンガポールでアダルトな会話をしたこの人達が完全に悪い。
が、この国では表面上は同性愛は違法だし、それでなくても気まずいだろう。
イーシンとしては、精一杯の大人の対応である。
「お釣りの7ドルです」
紙幣とレシートを差し出したが、受け取る様子がない。
不審に思っていると、チカマさんが少し顔を寄せてきた。ふわんといい匂いが漂ってきて、イーシンの心臓が早鐘のように鳴る。
「お釣りは口止め料だよ」
英語で囁くと、人差し指を唇に当て、片目をつぶった。
レシートだけ回収して、チカマさんは店を出ていく。
うっわ。なに、いまの、反則……!
イーシンは思わずカウンターの下にへたり込んだ。
その頭を先輩バイトがぱこんと叩いた。
「なにやってんだ、次のお客さん待ってるだろ。……おまえ熱あんのか? 顔真っ赤だぞ」
早くシフト明けねえかな。
シンガポール国立大学人文社会学部2年生のイーシンは、陳列棚にボディソープを補充しながら、大きな欠伸をした。
大手ドラッグストアチェーン「ガーディアン」のバイトはそこそこの時給でシフトの融通は利くが、意外に肉体労働だ。
比較文化論のレポートの期限が迫っていたので、昨夜は貫徹だった。2時間だけ仮眠を取った後、昼からバイトに出ているので、とにかく眠い。
止まらない欠伸を噛み殺しながら、空になったボディソープのダンボールを潰した。
「すみません。目薬ってどこにありますか?」
声をかけてきた女性客をちらりと見ると、目がぱっちりしたなかなか可愛い子だ。
「ご案内します」
イーシンは自然に笑顔になり、女性客を誘導する。
午後6時のドラッグストアは仕事帰りの客で混雑している。
ファッションビルの中に入っている店舗なので、客の8割は若い女性だ。
このバイトを選んだ理由のひとつでもある。
「イーシン、シャンプーの補充もよろしくな」
女性客に雑談混じりに目薬の説明をしていると、店内の商品チェックをしていた先輩バイトが割って入ってきた。
ったく、重い物系はすぐ人に押し付けんだからな。たまには自分でやれよなー。
心の中で舌打ちしつつも、イーシンは殊勝に頷いた。
「はい。すぐに」
時計の針は遅々として進まない。シフト終了まであと2時間もある。
腰を落として、シャンプーボトルを陳列棚の下段に並べていると、足元に影が落ちた。
「すみません」
声をかけられ、イーシンは作業を中断して膝を伸ばした。
「はい。何かお探しですか?」
男の声だったので、適当な営業スマイルを浮かべて応じたイーシンだったが、客の顔を見て硬直する。
うわ、なんだこの人。
思わず持っていたシャンプーを落としてしまう。
その客の手が素早く動き、落下していたシャンプーを掴んだ。
すごい反射神経だ。
「どうぞ」
客の男は微笑みながら、キャッチしたシャンプーを差し出した。
イーシンはその顔をまじまじと二度見する。
巷にはちょっといないくらいの男前だった。
涼やかな目元に、綺麗な形の鼻と唇がすっきりと並んでいる。
バイトのおかげでイーシンは化粧品にも詳しくなったが、この男の肌は、化粧品など必要としないほどすべらかだ。着ているスーツはありふれた既製品なのに、姿勢がいいので、モデルのように見える。
「どうかしましたか?」
フリーズするイーシンに、男は首を傾げた。
「あ、ああ、すみません。ありがとうございます。えと、何かお探しですか?」
「シャンプーを探していて。名前は思い出せないんですが、銀色のボトルの」
アジア人なのに、ニューヨーカーみたいに綺麗な発音の英語だった。
銀色のパッケージはひとつしかないので、すぐに分かった。
うちに置いているシャンプーで一番高価なラインだ。イケメンは使うシャンプーも高級品らしい。
確かに、男の黒髪はつやつやしていて、触り心地が良さそうだ。
「こちらでしょうか?」
イーシンは陳列棚の一番端に置いてあったボトルを指し示した。
「ああ、これです。ありがとう」
男はにっこりと笑って礼を言った。
その完璧な笑顔に、イーシンはどぎまぎしてしまう。
なんだ、この人。ハンサムなのになんか可愛いっつーか。
いや、アホか、俺。この客、男だぞ。しかもかなり年上の。
うろたえながら盗み見していると、男は急に眉を顰めた。
その視線の先には、値札がある。
「は? 45シンガポールドル? あいつ、馬鹿じゃねえの」
男は日本語で呟いた。
整った顔に似合わぬ男っぽい口調だった。
イーシンは第3外国語で日本語を専攻している。
あまり熱心に勉強していないので、ライティングとスピーキングは苦手だが、簡単な文章や会話なら聞き取れる。
そこへ、長身の男が足早にやってきた。高級そうなスーツを着た、やはり日本人だ。
「チカマさん、すみません、遅くなって。パン屋、結構混んでて」
詫びる男に、チカマさんという名らしい男前は顔をしかめた。
「それはいいけど。ナオキ、このシャンプーなんなの」
「なにとは」
「店員さん、この値段、間違ってないですよね?」
チカマさんが英語でイーシンに確かめる。
「はい。45ドルで間違いありません」
イーシンは頷きながら、作業途中のシャンプーの陳列を再開した。
接客とはいえ、客と喋ってばかりいると先輩バイトのゲンコがすぐに飛んでくるのだ。
「今、1ドル80円だぞ」
チカマさんが呆れたように言う。
「知ってますよ。俺、シャンプーはこれって決めてるんで」
「どうりでこれで髪洗うと異様にさらっさらになると思ったわ」
そう言いながら、チカマさんはボトルをカゴに落とした。文句を言っていたが、お買い上げはしていただけるらしい。
「チカマさん、髪綺麗なんだからちゃんと手入れしてくださいね」
笑いながら応じるナオキの横で、イーシンは人知れず頷いた。
髪が綺麗、には激しく同意だ。
俺だって触ってみたいくらいだ。
いや、だから、違うだろ、俺!
イーシンは今度は首を横に激しく振った。
「イーシン、レジヘルプ入ってくれー」
先輩バイトに呼ばれて、レジへ走ると、ちょうどチカマさんとナオキの番だった。なんとなく、ラッキーと思ってしまう。
「さっきはありがとう」
チカマさんが微笑んだ。よく笑う人だ。
顔が綺麗すぎるから、真顔だと近寄りがたいのを自分で分かっているのかもしれない。
バーコードリーダーで身分証を読み取ってから、カゴの中身を取り出す。
シャンプー、歯ブラシ2本、柔軟剤、マウスウォッシュ、ワセリン。
ドラッグストアの買い物は、その人の生活が垣間見える。
この2人一緒に住んでんのかな。
兄弟には見えないし。同じ会社の寮とかか。
「これもお願いします」
邪推していると、ナオキがレジ付近に並べているチョコレートバーをカゴに追加した。
「おまえ、また余計なものを」
チカマさんは横目で睨んでいるが、ナオキは悪びれずに、チョコレートバーをもう1本追加する。
「2本も食うのかよ。メタボになるぞ」
「1本はチカマさんのです」
「俺は食わない」
「チョコ、好きじゃないですか」
「別に好きじゃない」
「チョコリキュールはお気に召してましたよね?」
それを聞いたチカマさんは、何故か顔を赤くしている。
なんなんだ、この二人。
二人にしか分からない、まるで恋人同士のような会話に、イーシンはちょっといらっとしてしまう。
「こちらで全てでしょうか?」
もう菓子は要らないよな、との意味を込めてナオキに訊く。
「はい。……あ」
ナオキは何かを思い出したようにチカマさんを見て、日本語に切り替えた。
「チカマさん、○○、あと1個しかないです」
知らない単語だったし、ぎりぎり聞こえるくらいの小声だったので、イーシンには意味が分からなかった。
が、チカマさんは何故か大きく溜め息をついて、やはりボリュームを絞った。
「そういう買い物は一人の時にしてくれ」
「でも今夜、1個だと足らないですよね」
何の話だ。
「足らせろ。あ、これで全部なんでお会計お願いします」
後半は声量を上げた英語でイーシンに向けられたものだ。慌ててレジのキーを押す。
「93ドルです」
財布を取り出すチカマさんの横で、ナオキは不服そうに呟いている。
「無理です。1週間ぶりだし。仲直りの後だし。3回はしたいです」
…………!
これって、これってそういう意味だよな。え、なにこの二人って。
○○ってつまり、コンドームか?
動揺して、握っていたバーコードリーダーを思わず取り落としてしまう。
イーシンの手とカウンターの間は15センチほどしか離れていない。
その間にチカマさんの手が伸びてきて、リーダーを受け止めた。
この人、動体視力と反射神経がハンパねえな。
「俺、先に出てコンビニ行ってきます!」
見慣れているのか、チカマさんのファインプレーに特に驚くこともなく、ナオキはレジ袋を掴んで足早に店を出ていく。
それは、アレを買いにコンビニ行くってことだよな。図体デカいのに、なんか健気な奴だ。
まあ、こんなキレイな人とヤれるんなら、必死にもなるか。
いや、だから、男だって、俺!
ってか、コンドームならうちはかなりのラインナップを揃えている。
売上アップのためにはオススメすればよかったのか? いや、いきなりそれはおかしいか。
悶々とするイーシンに、チカマさんが100シンガポールドル札を差し出した。
「もしかして、日本語分かる?」
日本語で訊かれて、その意味は勿論分かったが、イーシンは言葉が通じないというジェスチャーで小首を傾げてみせた。
ひそひそ声の外国語とはいえ、マルチリンガルが珍しくないシンガポールでアダルトな会話をしたこの人達が完全に悪い。
が、この国では表面上は同性愛は違法だし、それでなくても気まずいだろう。
イーシンとしては、精一杯の大人の対応である。
「お釣りの7ドルです」
紙幣とレシートを差し出したが、受け取る様子がない。
不審に思っていると、チカマさんが少し顔を寄せてきた。ふわんといい匂いが漂ってきて、イーシンの心臓が早鐘のように鳴る。
「お釣りは口止め料だよ」
英語で囁くと、人差し指を唇に当て、片目をつぶった。
レシートだけ回収して、チカマさんは店を出ていく。
うっわ。なに、いまの、反則……!
イーシンは思わずカウンターの下にへたり込んだ。
その頭を先輩バイトがぱこんと叩いた。
「なにやってんだ、次のお客さん待ってるだろ。……おまえ熱あんのか? 顔真っ赤だぞ」
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