【完結】ヒノモトオンライン~フレンドリストにのらない友達~

森原ヘキイ

文字の大きさ
72 / 77
10.火車

10-11

しおりを挟む
 火車の女性のような猫のような顔の中心で、血走った目がカッと見開かれた。同時にコロが地面を蹴る――速い!
 右に左にと動きながら火車に迫るコロの背中が、あっという間に小さくなる。そのバフ盛り盛りの想定外のスピードに、覚醒したばかりの火車も追いつけていないようだ。大きく振り下ろした腕は、コロの残像さえ捉えることができず、むなしく地面に突き刺さる。

「いける……!」

 火車の第二形態は第一形態よりも体が圧倒的に大きいぶん、動きは鈍い。さっきのように、宙に飛び上がったコロを追って自分も飛んでいくような真似はできない。
 いうなれば、地面に縫い止められたままの巨大なサンドバックだ。アクションも単調だから、コロなら簡単に回避できるだろう。ただとんでもなく体力が高い。削りきるのに相当な時間がかかる。
 そうなると不安なのは、小太郎くんの体調だ。大きな負荷をかけ続ければ、いつ発作が起きてもおかしくはない。
 当の本人であるコロは、もちろん自分のタイムリミットを理解しているだろう。攻撃が通りやすそうな腕の関節や付け根、首筋や額などをねらって、猛烈な速さで術技を仕掛けていく。

 コロをサポートするため、僕も必死に回復の術技を唱え続けた。メロンカッパンとは違って、火車は少し離れた僕のことも攻撃対象にする。ときどき思い出したように髪の毛の先の車輪から炎の矢が飛んでくるけど、そのたびにコロが戻ってきて助けてくれた。

「ありがとう! でも僕のことは放っておいてくれていいよ。が、頑張って避けるし!」
「信用できねー。ハルキが落ちたら、その時点で終わりだからな。おい猫又、ちゃんと守っとけ」
「にゃあん」

 というようなことをくり返しながら、火車との戦闘は続く。だんだん慣れてきたと思ったころ、火車の動きが大きく変化した。ボスは体力が減ってくると、攻撃パターンを変えてくる。より激しい方向に。

「うお!」
「わ!」
「にゃ!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

童話絵本版 アリとキリギリス∞(インフィニティ)

カワカツ
絵本
その夜……僕は死んだ…… 誰もいない野原のステージの上で…… アリの子「アントン」とキリギリスの「ギリィ」が奏でる 少し切ない ある野原の物語 ——— 全16話+エピローグで紡ぐ「小さないのちの世界」を、どうぞお楽しみ下さい。 ※高学年〜大人向き

マジカル・ミッション

碧月あめり
児童書・童話
 小学五年生の涼葉は千年以上も昔からの魔女の血を引く時風家の子孫。現代に万能な魔法を使える者はいないが、その名残で、時風の家に生まれた子どもたちはみんな十一歳になると必ず不思議な能力がひとつ宿る。 どんな能力が宿るかは人によってさまざまで、十一歳になってみなければわからない。 十一歳になった涼葉に宿った能力は、誰かが《落としたもの》の記憶が映像になって見えるというもの。 その能力で、涼葉はメガネで顔を隠した陰キャな転校生・花宮翼が不審な行動をするのを見てしまう。怪しく思った涼葉は、動物に関する能力を持った兄の櫂斗、近くにいるケガ人を察知できるいとこの美空、ウソを見抜くことができるいとこの天とともに花宮を探ることになる。

不幸でしあわせな子どもたち 「しあわせのふうせん」

山口かずなり
絵本
小説 不幸でしあわせな子どもたち スピンオフ作品 ・ ウルが友だちのメロウからもらったのは、 緑色のふうせん だけどウルにとっては、いらないもの いらないものは、誰かにとっては、 ほしいもの。 だけど、気づいて ふうせんの正体に‥。

flower

霞花怜
絵本
一緒に旅をしよう ※絵本大賞参加作品※

その怪談、お姉ちゃんにまかせて

藤香いつき
児童書・童話
小学5年生の月森イチカは、怖がりな妹・ニコのために、学校でウワサされる怪談を解いてきた。 「その怪談、お姉ちゃんにまかせて」 そのせいで、いつのまにか『霊感少女』なんて呼ばれている。 そんな彼女の前に現れたのは、学校一の人気者——会長・氷室冬也。 「霊感少女イチカくん。学校の七不思議を、きみの力で解いてほしい」 怪談を信じないイチカは断るけれど……? イチカと冬也の小学生バディが挑む、謎とホラーに満ちた七不思議ミステリー!

未来スコープ・コンセプト絵本 ―みらいのたまごとカメのトト―

米田悠由
絵本
「ちゃんと ふつうに しなさい!」 ──どうして ぼくは みんなみたいに できないんだろう…… 森の奥で、のんびり屋のカメ・トトは「みらいのたまご」を見つけます。 そのたまごには、見えた未来 がほんとうになる不思議な力がありました。 トトは、たまごに映る立派な姿を なりたい自分 だと信じて、努力を始めます。 でも、仲間たちとの出会いを通して、少しずつ問いが生まれます。 ──それは、ほんとうにぼくが望む未来なのかな? やがて、たまごは失われ、未来も見えなくなります。 けれどその喪失の中で、トトは気づきます。 「未来は、見えるものじゃなくて、歩きながらつくっていくもの」 誰かに決められた 普通 ではなく、自分のペースで、自分らしく生きることを選んだトト。 違いを抱えた仲間たちとの出会いが、トトの心をほどき、再び歩き出す力をくれました。 挫折と再生、多様性と希望を描いた、すべての 選び直したい人 にそっと寄り添う絵本です。

瑠璃の姫君と鉄黒の騎士

石河 翠
児童書・童話
可愛いフェリシアはひとりぼっち。部屋の中に閉じ込められ、放置されています。彼女の楽しみは、窓の隙間から空を眺めながら歌うことだけ。 そんなある日フェリシアは、貧しい身なりの男の子にさらわれてしまいました。彼は本来自分が受け取るべきだった幸せを、フェリシアが台無しにしたのだと責め立てます。 突然のことに困惑しつつも、男の子のためにできることはないかと悩んだあげく、彼女は一本の羽を渡すことに決めました。 大好きな友達に似た男の子に笑ってほしい、ただその一心で。けれどそれは、彼女の命を削る行為で……。 記憶を失くしたヒロインと、幸せになりたいヒーローの物語。ハッピーエンドです。 この作品は、他サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:249286)をお借りしています。

へんしん! マンマルくん

スズキマキ
絵本
マンマルくんはねん土の妖精。いろんなものに変身!

処理中です...