【完結】英雄小学生アフター~氷の女王と春の歌姫~

森原ヘキイ

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第一章 目と目が合って、おひさしぶり

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 少年はもう、フードの下の素顔が確認できる位置にまで来ている。非の打ち所のない、完璧に整ったバランス。だからといって、人形のように作り物めいた中性的な容姿なのかといえば、絶対にそんなことはない。確かな命と強かな野性味が、内側からあふれ出している。
 面倒くさそうで、気だるげな表情すら絵になってしまう。その中心でほのかに光る、未知の鉱石のような瞳を見れば、思い出すのは彼――黒鐘エリヤとの異世界の記憶。その瞬間、マコトの呼吸がふっと楽になり、口の端がぐにゃりと上がった。

「元気そうでよかった、エリヤくん」
「……アカか」

 名字の最初の二文字を取り上げた、エリヤ特有の呼び方が懐かしい。四回目の異変の直後。それも短時間で二人分まとめて思い出したので、マコトの心の中にあるアルバムも写真を貼りつけるのに忙しそうだ。エリヤの強烈な存在感にあてられたこともあり、マコトはどこか夢見心地のまま、へらりと笑った。
 マコトの後ろにいたミサキとタイシとも、エリヤは淡々と目を合わせていく。記憶が一気に蘇って、頭の中はマコトより大変なことになっているだろうに、そんな様子はまったく表に出さないのがエリヤらしい。

「そっちがモモにミドリか。オマエらも生きてたんだな」
「ちゃんとタイシで驚きなさいよ、つまらないわね。このビフォーアフターを、なんとも思わないの?」
「はあ? 外側なんか、いちいち気にしてねぇよ」
「お前が言うと説得力があるのかないのか、よくわからんな」

 まるで空白の三年間など存在しなかったかのように、すっかりくだけた雰囲気で話し始める三人を見て、マコトは心がくすぐったくなる。けれど、そんなやり取りもすぐに飽きてしまったのか、エリヤはまだ座り込んでいるユウの胸倉をつかむと、そのまま力ずくで引き上げた。
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