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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話

穢れた龍 その後

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大変なイベント続きだった為、 1度ログアウトした後ゆっくり休んだ翠。
ゲームとはいえ、 今回はかなりの疲労を覚えたのだ。
ゲームをしないで休んだスイは、 仕事を終わらせた後一日ぶりのゲームにログインした。







この日、 スイはしなくてはいけないことがあった。
それは

「サーヴァさぁぁぁぁああん!!」

「ぐぁ!」

扉を思い切り開けてサーヴァにしがみつくスイ。
そんなサーヴァは静かに扉を見ている。
スイが力いっぱい開けた扉に挟まり潰れているプレイヤーを。

「おいバカ娘、 あれ」

「え?……………わぁぁ!ごめんなさい!!」

サーヴァが指さした先を見たスイは驚き飛び上がりプレイヤーへと走りよった。
起こしてペコペコ頭を下げるスイに腕を組み壁に寄りかかるサーヴァはため息をついた。

「…………潰しちゃった」

「お前の馬鹿力で潰されちゃうかばれねーな」

「ううぅ……」

「あ、 そうだ。スイ、 この間渡した新しい楽器の調節甘いとこあるからちょっと暫く貸せ。 」

「あ、 うん……………あのさ」

「あん?」

人魚のハープを渡したスイは、 そっとイルカのチャームを出した。

「……………………」

「……壊れて、 しまって」

俯き言うスイ。
その手にあるイルカを手に取りジッと見たサーヴァはスイの頭を撫でた。

「がんばったんだな、 こいつも最後まで使ってくれて喜んでるだろうよ」

「……………そうだと…………いいな」

俯き手を強く握りしめるスイを無言でサーヴァは頭を撫で続けた。




「いつごろ人魚さん帰ってくるかな?」

「調整だけだから時間かかんねーよ。そうだな、 明日にでも取りに来い」

「ん、 わかった、 明日ね!」

頷き椅子から立ち上がったスイは店を出ようとする。
もう行くのか? そう聞いたサーヴァに振り向き笑った。

「もう1箇所、 行くところがあるのよ!」

「そうかい、 きーつけて行けよ」

「はーい!また明日!」

手を振ってからスイはサーヴァの店を後にした。
そしてワクワクしながら街から出たスイは直ぐに蜂を呼び寄せる。

「エルフの里の近くまでお願いします」

«エルフの里だな、 わかった»

2匹の蜂に連れられて優雅に空の散歩を始めたスイ。
ワクワクしながら、 エルフ!エルフ!と呟くスイを蜂はチラチラと見ていた。

«そんなにエルフが好きか?»

「だいっすき!!!」

«不思議なやつだな»

どこか楽しそうな雰囲気の蜂と一緒に街へと向かった。

「ありがとうございました!」

«また用事があったら呼べ»

そっと蜂蜜ビスケットを5袋渡して飛んで行った蜂に手を振ったあと、 ビスケットを見た。

「………アイテム、 蜂さんの手作り蜂蜜ビスケット。とにかく美味しい。」

特殊効果はまったくなく、 蜂の好きなビスケット。
結構量産しているみたいだ。
1袋がお徳用である。1度開けたら湿気りそうだ。

「よっし!お茶請け出来たし、 今行くね!ハーヴェイさぁぁぁぁああん!!」

ばっ!と振り返りエルフの里へと走り出したスイは一目散にハーヴェイの家へと向かった。








エルフの里

「………………まだ復興には時間がかかりそうかな」

穢れた龍の浄化も終わり、 疫病は完全に終息したが街や里、 村が受けた被害は大きい。
建物は大丈夫だが、 どうやら200年前は無かった事案が1つ出ていたようだ。
食べ物が一気に腐敗しているのだ。
店先に並んでいるものは勿論、 植えられている果物や葉物など腐敗しやすい食べ物は全て腐敗している。

どうやら疫病が落ち着いてから空気が汚染され腐敗が始まったらしい。
しかし、 数時間後空気の汚染は自然と浄化され果物や葉物のみで腐敗は落ち着いた。
根野菜や腐りにくい食材は無事である。

「…………これ、 たぶん龍の封印解いたからかな。そして龍の浄化と共に空気も浄化されたっぽい」

店先に並ぶ食品の種類は偏り、 全体的に高騰していた。
店の店員のNPCによると、 まだ行けない場所にあるエリアから急遽食料を送って貰うように頼んだらしいが、 量が量である。
いつ入荷するか未定でこの食品の高騰はしばらく続きそうだ。

「クリスティーナが叫びそうだなぁ……」

スイに気づいたエルフは声を掛け、 感謝をいい涙を流す。
他の3人にも伝えます、 そう丁寧に返事を返しているうちに時間は夕暮れ時に差し掛かっていた。

「遅くなっちゃった」

集まってくるエルフを無下にもできなく話を聞き続けたスイ。
年配のエルフがそろそろ夕飯の準備だからと、 解散を促してくれた事でその場を離れる事ができた。

「………ハーヴェイさん」

家の扉を控えめにノックして呟くような声でハーヴェイの名前を呼んだ。

「いらっしゃい。そのまま来ないのかと思ったよ」

ギィ…と音を立てて扉が開き室内の灯りがもれる。
ふわりと暖かい空気が流れて思わずスイは目を細めた。

「………遅くなりました」

「入って」

扉を更に大きく開けたハーヴェイ、 軽く頭を下げてお邪魔しますと言ったあと、 暖かな室内へと足を踏み入れた。






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