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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話

ファーレンのアンダー探し

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「……………」

「…………………………そんな哀れんだ顔して見んなあぁぁぁぁぁ!!」

四つん這いで泣きそうなファーレンを哀れんだ、 しかしニヤニヤと口元に力を入れないと笑み作ってしまう、 そんなスイ。
なぜかと言うと頑張りすぎた結果、 ファーレンの鎧の耐久値がゼロになり砕け散ったのだ。
中のアンダーに、ズボンの姿なのだがそれが初期の金欠からなる激安で購入したアンダーだった。



オレッチ、 イケてるだろ?

そう書かれて、 くるんとセットしている金髪の男がサムズアップしているのだ。
無駄に目がキラキラした一昔前の少女漫画のようなキャラである。
店員はなんどもこれでいいのか?と聞いてきたがどうせ鎧で見えないし!と1番安いアンダーを買ったのが仇となった。
しかも、耐久値ゼロのなり方が


「あ、すまん」

「い、ええぇぇぇぇええ!?」

「はぁ!?……………………アンダーーーー!!!」


残り耐久値1だったようだ。
普通は街中では耐久値は減らない。
しかし、 残り1の場合に限りそのままフィールドに出ない為の処置として、ほんの少しの衝撃で砕けるようになっている。

街中で歩いていた男性にぶつかり鎧が砕け散った。
結晶みたいにキラキラして無くなる鎧に、 現れる
オレッチ、イケてるだろ?
のアンダー。

謝ったが砕け散ったことに驚き、 更に現れたアンダーに目がこぼれんばかりに目を見開いた男性は

アンダーーーー!

と叫んだのだった。

鎧と共に砕け散るファーレンの自尊心に、笑いが止まらず倒れ込むスイ。
男性はによによと口が動き笑うに笑えない、 しかし、 もう限界!と、 ぶっふぅぅ!と吹き出したのだった。


「ほら、早く…あ、アンダー…ぐふ…買おう、 ね?」

口元を手で隠しているスイがぐふぐふと笑いながら言い、涙で目がうるうるしながらも睨み付けるファーレン。
アンダーは脱ぎたくても、半裸はわいせつ罪(笑)になる為脱げないのである。

オレッチ、 イケてるだろ?
のアンダーを着て歩くファーレンは、周りのプレイヤーからプークスクス!と笑われているのに顔を真っ赤にしながら早歩きで足を進めた。


「……スイ、とりあえずここに」

1番近い洋服屋さんへと到着したファーレンは、スイの腕を掴み有無を言わさず入店した。
中に着るアンダーやトップス、スカートやズボンといった服は洋服屋さんにある為、今1番必要なアンダーを買いに2人は訪れた。

「いぃぃぃらっしゃいませ!お客様ぁぁぁぁ!!」

店に入った瞬間に、店員だろう女性が90度に腰を曲げて挨拶してきた。
緊張とドスが入り交じった大声である。
その隣にはスキンヘッドのおっさんが腕を組んで頷いていた。

「……は、はい」

「なぁにをお求めでしょうかぁぁぁ!!」

「アンダーを…」

「畏まりましたァァァ!!」

びゅん!と走り出し奥の棚から数枚を鷲掴み戻って来た。
バッ!と見せたアンダーにスイは吹き出し床に蹲る。

「お客様の好みに合わせてみましたぁぁぁ!!」

「ぶっふぅぅ!!!」







1枚目      ワタクシに、ひれ伏すがいいわ!!

椅子に座って真っピンクなドレスを着た女性が足を組み、その足を突き出している。 厚底だ。
ちなみに、髪型はツインテールのぐるぐるドリル。

2枚目      こう見えて、イケメンだぜ☆

今ファーレンが着ている男が振り向きざまに親指で自分を指している。
パチコーン☆と書かれていてウィンクをしていた。
イケメンらしい

3枚目      すごく、大事

熊のぬいぐるみを両手に持つネグリジェ姿の少女。
持っているぬいぐるみの口から盛大にヨダレが垂れていて、 片手には血塗れのナイフが握られていてもう片方の手には、抜け落ちた髪の毛がごっそりと握っていた。
ホラーか
このアンダー、背中側には少女の頭をあむあむと噛んでいる熊のイラスト、血を流しながらも少女は笑っている。
精神的に大丈夫か、この子

4枚目    慌てないで、オレッチはみんなのものさ☆

再登場、ファーレンのアンダーの男再び。
女性に囲まれてそれぞれの女性にケーキをアーンしてもらっている。 その後ろには女性の長蛇の列と、般若になっている男性が書かれていた。
いつか刺されると思う。

5枚目    カツオ

紺色のアンダーシャツ
左の胸部分から裾にかけてカツオが跳ねているイラストがかいてある。
一見普通だが、達筆で  

俺様は( ゜д゜)ンマッ!いぜぇぇぇぇ☆

と書かれていた。
そんなカツオのイラストの顔も( ゜д゜)と書かれている、 そんなカツオ食いたくねぇ








自信満々にアンダーを見せる店員にファーレンの顔は引き攣り、スイは笑いが止まらずひきつけを起こす勢いで床に転がっている。

「……………着れるかぁぁぁぁぁ!!!」

地団駄を踏むファーレンに、店員はまた90度に頭を下げた。

「好みど真ん中だと思いましたぁぁぁ!!」

「ひぃ!!もうかんべんしてぇぇぇ」

ひぃひぃと笑うスイの頭をファーレンが軽く踏みつける
それを見た店員が

「こちらでしたかぁぁぁ!!」




アタクシの御御足の台よ?シアワセでしょう?

真っ赤な口紅をした妖艶な女性が四つん這いの男の背中に座り、別の男の頭を踏みつけている。
どちらの男もただ恍惚とした表情をしていた。
ド変態ですね、わかります。




「ちがーう!!!」

「………おいおいにぃちゃん、冷やかしは困る」

「自分で!選ばせてぇ!!!」

店からファーレンの叫びが外にまで響き渡っていた。



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