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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話
ミニイベント8
しおりを挟む「よし、これで全部かな?」
「わからんな、試してみて足りなければ致し方ない、もう一度探すしかあるまいよ」
集められた4本の鍵と、4本の試験管。
それを持ったイオリが言うと、袴姿のひよりが返事を返した。
紙でできた髪結で長い紫がかった黒髪を高い位置で結いているひよりは、仁王立ちしている。
このひよりと愉快な仲間たちは普段は花魁の格好をしている胡蝶、忍者ごっこで影の薄いかげろうに、同じく忍者ごっこで口パクで話しよく怒られるかささぎと、結構なインパクトをはなっている。
「(なかなかに面白い趣向だ)」
同じく腕を組み口パクするかささぎだが、誰からの反応も無くかげろうが小声で「……誰も気付いてないでござる」と教えている。
「………とりあえず、サクッと差してみたらどうっすか」
クラン一番搾りのメンバーは後ろの方で控えている。
どうやら、第3の街に到着次第リーダーが一時ログアウトして統率が取れていない様子だ。
そんな中、ピッ!と真上に伸ばされた腕。
ふわりとピンク色のワンピースドレスが揺れた。
「どうしたんですか?マドカさん」
「扉を開ける前に聞きたいことがあるの!」
「……聞きたいこと?」
ナズナがスイの手を握りながら聞き返すと、こくんと頷きピンクの髪が揺れた。
そして前屈みになり両手を胸の前で握り締めたマドカは叫ぶように言う。
「なんで!カメムシ臭くない人が居るのぉ!?」
マドカが鍵を見つけた時、たまたま横を通ったカガリから甘い匂いがしていた。
それは自分から漂うカメムシ臭とはほど遠いのだ。
「…………あ、なるほど」
イオリが納得したように言って手を叩いた。
そしてイオリからどうやったらにおいを消せるのか聞いたマドカは崩れ落ちる。
「…………僧侶2人とか、私達にはむりだよぉぉ」
「………………確かに、私達にはチセしか居ないもんね、僧侶は」
そうな話をしながらスキル習得するチセ。
もちろん知らなかった他のクランの僧侶も習得し始め、お互いに臭いを消していく。
「ここで知って良かった…」
「街のもの使えないのはかなり厳しいよな」
「まったくだ。まさかの武器や防具アイテムすら見せて貰えないもんな」
口々に安堵の言葉が聞こえる中、イオリからフェアリーロードすら知らない情報が飛び込んできた。
「あぁ、まぁ仕方ないかな。俺だって同じ立場なら拒否しちゃうもん」
「拒否?」
セラニーチェが全員の疑問を聞いた。
実は1番最初に第3の街に来たのはイオリ率いる金色の檻であった。
この時、色々検証した4人。
「バッドステータスの悪臭ってね、移るんだよ。武器や防具、アイテム。もちろん宿屋のベッドやシーツにも移るから宿屋さんは何がなんでも泊めてくれないと思う。しかも!クリーンでもそれは消えないから移ったら仕方ないから処分しかないみたいだね」
「………………それは宿屋の子も嫌がるのですよー」
「せめてクリーンで消えて欲しいわ」
「!」
「ナズナ?どうしたの?」
「……フェアリーガーデン泊まり客、宿泊はバッドステータス解除後って約束増やす」
「「「「「「「「「「!!」」」」」」」」」」
ナズナの言葉に衝撃を受けたクランメンバーだった。
ちなみに、金色の檻も僧侶は1人のため、僧侶のマチコは他のクラメンの匂いを消し自分が消えない事にショックを受けたがこのイベント開始時にイオリがリィンに頼み匂いを消してもらっていた。
♢♢♢♢♢♢♢
「で、どうやって開けるんだ?」
割れた鍵に巨大な鍵穴。
それを見比べるプレイヤー達。
それぞれの発見者が持っているがなんのかわりもなければ指示も出ない。
「…………これ」
「ん、なぁにぃ?」
キーリがひよりの持つ鍵を見た時、何度も自分の持つ鍵と見比べていたいたのをマドカも一緒に見た。
4本の割れた鍵は同じように見えるが1箇所だけデザインが異なっていた。
それはよくよく見ないとわからないもので2つ重ねた時に模様になる設計らしい。
「……あ、あの」
「ん?」
「鍵をくっつけてみていいですか?」
キーリに言われた言葉にひよりは鍵を見比べ、差し出されている鍵にぴったり合うように重ねてみた。
すると、
「「「「「「おぉ!」」」」」」
割れていた鍵の境目が光り、割れていた場所から下が繋がっていく。
そして光が消えた時、
「でかいな!!!」
思わずひよりが叫ぶくらいの大きさの1本の鍵があった。
ナズナがそれを見て自分の鍵を見たあとセラニーチェの持つ鍵に重ね合わせた。
するとこちらも同じように光り鍵が巨大化した。
かさばる為2人で持ってはいるが不思議な程に重くはない。
「あ、鍵穴も光出したのですよー」
デオトールが指さした先は目の前にある巨大な扉だった。
飛行できるプレイヤーが二人がかりで1つの鍵を持つ事に決めた時、グイッと前に出てきた雄妬恋組のプレイヤーが1つの鍵を持ち「おれがやるよ!」と訴えた。チラチラと女性プレイヤーを見ながら。
明らかに下心満載な様子にアレイスターは、あら?と笑いながら前に出て
「アタシが持つわぁ、よろしくね」
「い、いや!俺は…」
「なぁに?なにか不都合でもあった?」
「い、いや…」
アレイスターにタジタジの雄妬恋組プレイヤーは、同じクランの人から
「抜け駆けすんなよ!」
とヤジが飛んでたが、アレイスターを見てすぐに閉口した。
ナズナが小さくグッジョブ…と言ってたのは隣にいたイオリしか聞こえておらず苦笑している。
もう一つの鍵はキョウコとかささぎが持ち、鍵を持つ雄妬恋組プレイヤーはかささぎを睨みつけていた。
それはもう、妬ましーく恨めしーく。
こうして鍵穴に鍵を差し込んだスイ達は一応武器に手をかけた状態で扉が開くのを待つ。
鍵を回しカチャリと開いた音がした瞬間鍵は消え扉がゆっくりと開く。
全員がすぐに武器を出せる様にしつつ、中の様子を伺うと…………
ジュルルルル……ごくん
ジュルルルルルルルルル……………ごくん
「………………………えぇ」
巨大なモグラが一心不乱に温泉のお湯を飲んでいた。
隣には看板があり、現在真珠温泉と書かれている。
人の気配に気付いたモグラは赤く光る目を向けて言った。
「……………止めてけれぇ」
「………え?」
「………………飲むのが止まらねぇだ、止めてけれぇ!!」
「どうやってぇ!?」
後ろにいるプレイヤーからつっこみが入り、数人クラン同士で話をしている所もある。
考えているうちに温泉は無くなり、看板はフリージング温泉と表示が変わる。
無くなった筈の温泉はまた並々の溢れる位に湧き出て喉を鳴らしながら飲みだした。
「また飲んだぁ!」
「止まらねぇだ!!」
スイはカチャリと音を立ててハープを構える。
そしてお腹を目掛けてフルスイング!!
モグラはぶっ飛び腹部圧迫により口から温泉がアーチ状に吹き出した。
ブッシューーーー!!!
飛ばされたモグラは壁にぶつかりズルズルと落ちていき、容赦のないスイに視線が集まるが、フェアリーロードは全員スイを見ることも無くモグラを凝視している。
慣れているからだ。
「………の、飲みてぇだ…俺は湯守だぁ、ガブガブ飲むもんじゃねぇだ……でもぅ……飲みてぇだぁぁぁぁぁ!!!」
両手を上げて走り出すモグラに、フェアリーロードは直ぐに武器を構える。
「壁に前衛組前へ!後衛後ろに移動!!中衛状況見て移動しろ!!!」
カガリの声が響く中、フェアリーロードは既に動いていた。
イズナ、タク、デオドールが走り出しカガリとファーレンがタゲ取りに動く。
中衛、後衛も直ぐに走り出し、スイは走りながらも防御アップの曲をかき鳴らして前衛と壁の防御力を一気に上げた。
動き出したフェアリーロードにハッ!として動き出すプレイヤー達。
一気に動く周りにキーリはキョロキョロと周りを見るが、指示してくれる英雄の箱庭は近くにいない。
中程の場所で取り残されたキーリは、モグラの土玉攻撃に気付くのが遅れ、気付いたら後ろに弾き飛ばされていた。
呆然と座り込み、当たった腹部を抑えている。
次第に感じる痛みに顔を歪めていると、すぐにヒールが掛けられ痛みと体力ゲージが元に戻った。
「…………あ、」
「立ちなさい」
すぐ隣にいるセラニーチェ。
前を見すえて言うセラニーチェは一切キーリを見てはいなかった。
その後ろから走りよるリィンとアリア。
アリアはすぐにキーリの腕を掴み立たせようと引っぱり、それに合わせて無意識に立ち上がる。
「私はセラニーチェ。さっきクリスティーナから話を聞いたわ。僧侶としての動き実践で叩き込んであげる」
「私はリィンです。大丈夫、ゆっくり覚えていきましょ!むしろレイド戦でラッキーですよ!立ち回りを覚えたら応用はいくらでも効きますからね!」
「え?なんの話しをしてるの?」
セラニーチェとリィンの唐突な言葉にアリアは驚くが、セラニーチェは言った。
「聞いたわよ、指示待ち僧侶だって。悪いけど自分で動けないならただのお荷物になるだけよ。僧侶はね、如何に周りを見て迅速にその場にあった対応をするかで戦局はかなり変わるの」
「指示待ちはですね、全てが後手に回ります。そして、指示する人が死に戻りしたらどうしますか?わからないから何もしないですか?それは、いけないことです。このレイド戦、この混戦を見てあなたはそれでも指示を待ちますか?」
キーリはセラニーチェとリィンの言葉をしっかりとかみ締めた。
そして前を見据える。
「………教えてください、お願いします!!」
「……………キーリ…」
今までにない強い瞳をしたキーリに、アリアは驚く。
そしてアリアも真っ直ぐに前を見すえて杖を強く地面に叩きつける。
「よく言ったわ。さぁ、構えて」
「はい!」
「っ!魔本か」
取り出したのは魔本だった。
クラーティアも使う武器で、これは魔力が多い人が好んでもつ火力を増幅させる武器で、本に魔法が浮かび上がりそれを想像する事で魔法が発動する。
そんな魔本を僧侶が持つのは少ない。
だが、使えないわけではなかった。
キーリが魔本を開きセラニーチェを見た。
「視線は常に戦闘中のプレイヤーを見る!敵が誰を見ているか、どんな攻撃をしてくるのか今何が必要か。それを見極める。回復は常に発動前の状態にしておくこと。バリアや他の支援が必要ならすぐにキャンセル。まずはこれを忘れないで」
そう言うセラニーチェの手は常に動き様々な人にバリアと回復をし続けていた。
腰につけているポーチを触って回復薬が何本あるか確認する。
「あとは、自分の魔力量も常に気を配って下さい。いざ魔法を、という時に魔力切れは笑えません!……………大きなの来ます!全員固まってください!!」
敵の動きを見ていたリィンが叫ぶ。
敵の今までの動きを逐一見ていたリィンは、初めてのモーションに警戒した。
敵のゲージが3分の2削れている状態で、溜があるモーションは高火力広範囲攻撃の可能性が高い。
「「「「「バリア!!」」」」」
バリアを僧侶全員が重ねがけして強固にし、スイがさらにその精度を高めた。
キーリもあわててバリアを展開する
バリィンバリィンバリィンバリィンバリィン!!
重ね掛けをしたバリアはどんどん破られ盾を持つプレイヤーと半数の前衛メンバーを吹き飛ばした。
「「フェアリーサークル!」」
2箇所に大きく回復するサークルを作りだしそこにいるプレイヤーはジワジワと回復し始めた。
それを見ていた他の僧侶は次々に単体回復を走り出すプレイヤーに掛けていく。
「前に出ます!」
腹部を怪我したスイがハープ片手に走り出したのを見てキーリは手を握りしめてから本を前に向けて口を開いた。
「ヒール!!」
本が輝き、その輝きがスイに向かって飛んで行った。
「っ…………」
「あ!スイさんにヒールはっ…」
「…………さぁ、前を見て!まだ戦闘は終わってないわよ」
リィンが慌てて言い、セラニーチェもそれを確認したが、セラニーチェは………うん、仕方ない…とゆっくりとスイから視線を逸らした。
「っ!!oh(´・ω・`)...まさかのヒールですね、わかります」
スイにかけられたヒールにガクッと体力を奪われ、おおぅ…と声を上げた。
ポーチからサッと回復薬を取り出して一気に煽り、体力ゲージの確認。
そして、スイはニッと笑って高く飛び上がった。
ハープをモグラの頭目掛けて叩き付けるが、ガードされそのまま吹き飛ばされ、空中で回転して威力を殺したスイはファーレンの盾に足を付け、再度飛び上がる。
ファーレンも押し出すようにスイを援護してから走り出した。
「心配はいらなくなってきたな」
カガリが笑って2人を見る。
実は最近2人が一緒にいる戦闘では、コンビネーションを見せるようになってきていた。
スイのトリッキーな動きに盾を使った足場を作ったりスイッチをして敵を抑えるなど無意識に動いている事に最初はカガリは勿論フェアリーロード全員が驚いていた。
「っ飛ばしすぎ!」
「ごめん!」
また吹き飛ばされたスイをファーレンが支えてそのまま後ろに下がると、槍を持つひよりと双剣のかげろう、かささぎが走りだす。
かげろうは遊撃しながら隙を作り、そこに前に来た前衛が一気に攻撃を叩き込む。
絶え間なく続く魔法攻撃に、フレンドリーファイアと敵からの攻撃が当たらないように展開されるバリア。
リィンが張るバリアはそのうち体全体を球体で覆い5回の攻撃を弾いていた。
セラニーチェがリィンを見ると、リィンはにっこり笑ってブイサイン。
「バリア進化しました」
「もぅ、羨ましいなぁ」
「アタシも負けないわよォ!!弓隊!!」
いつの間にか集まっていた弓を使うプレイヤー。
数は6人と少ないが、流石トッププレイヤーである。
スキルを使った矢が四方八方から飛ぶ弓は炎を纏っていたり雷を呼び込んだりとモグラの体力ゲージを一気に削った。
その直後、砲弾が飛び銃声が響く。
それを必死に躱すモグラだが、ボタボタと血液を撒き散らしてヨタヨタと立ち上がる。
真っ直ぐに見据えたモグラは次第に赤くなっていた目が白く戻り後ろに倒れ込んだ。
「……………助かっただァァァ」
ぜぇぜぇと息を吐くモグラに、全員が攻撃の手を止め顔を見合わせたのだった。
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