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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話
ミニイベント7
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現在、半分に割れた鍵が3つに試験管が3つ。
同じ数だけ出てきたイベントアイテム、多分残りはあと1つと推測される。
全員が同時に捜し出し、だいたい同じくらいに見つけたそのアイテムの残り一つも、別の場所からみつかる。
大きな温泉の下側を二手に別れて捜索を開始した。
右側、ちょうど熱い温泉がある場所から見て真逆の場所に、もう1つ巨大な扉があった。
その扉に鍵穴はない。
押してもビクともしないその扉は後回しにして壁と地面を探し出す。
「……………うーん」
「マチコどう?ありそ?」
「なさそうだなぁ」
壁の穴に手をツッコミ体全体を壁につけて探る、黒髪ポニーテールの少女マチコ。
それを横で見るリカコは、金髪の髪を緑のリボンで結んでいた。
ツルペタな体に体操服姿とかなりマニアックである。
2人は金色の檻のクランに入っていて、上空探索中のキョウコを含めてイオリが大好きなのだ。
そんな2人は仲良く宝探し中である。
意外にも2人はそれなりに仲が良いのだ。
「うーん、見つけてキョウコに自慢したかったんだけどなぁ」
「あー、それな」
「違うとこ探そ」
「うん」
イオリと前線に立つキョウコは、マチコやリカコよりも接触が多い。
これを機に……と思ったが無理そうだ。
「………うーん、ここを見てみようかなー」
「あ、クラーティアさん私も一緒する!」
ポイン!と弾む胸に思わず視線を向けたクラーティアは、その後顔を見る。
黄色のフリフリドレス服ににっこり笑顔のサキがそこに佇んでいた。
キラキラガールの黄色担当、ポインと跳ねる胸が目印!なサキであった。
「………けしからんやつですねー」
「えぇ!?」
動く度に揺れるそれを見たあと、自分の控えめな胸をちらりと確認。
「これもよきー」
ブンブンと手を振るクラーティアにサキは首を傾げながらもわらう。
結局捜索範囲内には宝箱は発見されず、他から見つけたとの報告を聞いて「負けたー」と手を止めた。
「………なんか話してる」
「ん?」
アリアとスイが話しているのに気付いたのはイリアだった。
見上げた先には掴みかかる勢いのアリアがいて、イリアはその言葉に合わせて上を向いた。
「………はぁ、迷惑掛けてるみたいだな、わりぃ」
歩きながら近づいてくるカンザキに謝られても答えようの無いイズナは、小さくため息を吐き出した。
たまたま近くで探していたカンザキも合流して揉めている2人を地上から見上げる3人。
ナズナとリィンは離れた所で気にしながらも捜索している様子が見てとれる。
「…………あぁーあ、最近のアーサーのせいでなーんかギクシャクしてるよな」
「だねぇ、楽しいけれど楽しくないっていうか、あー!上手く言えないな!」
頭を掻きむしりながら言うイリアに、カンザキが禿げるぞと言う。
「不吉な事言うなばーか」
「…………まぁ、英雄の箱庭雰囲気変わりましたもんね、ベータの時に比べたら」
「人数が増えたってのも有るけどな。フェアリーロードだって変わったじゃねーか」
「入った人の個性が強いからだと思う」
え?重くないですよ?片手余裕です!!
行きますよー!えぇーい!!
皆さんの愛の料理人クリスティーナでーす!
ほら、みんなが羨む人魚姫よ!スイ、今度人魚姫モチーフにお菓子作ろうかしら!
残念な事に個性の塊な2人に阻まれてファーレンの活躍の場が今はない。
俺だって!!頑張ってんだからぁぁ!!!
脳内で忙しなく動く3人が浮かび上がりイズナは勢いよく頭を横に振った。
そんな世間話をする3人の後ろから、2人の男性プレイヤーが近づく。
「っ!女の子2人に挟まれて!お前何様だ!ちなみに俺はヒエン!」
少し背の低いそのプレイヤーは重量級の鎧を身につけた小太りの男だった。
震える指先をカンザキに指して言うと、カンザキは盛大に眉を寄せて言った。
「はぁ??」
「はぁ?じゃない!俺達雄妬恋組は!!女に縁のない男が集まったクラァァァン!!女と話をしたい!触れ合いたい!関わりたァァい!!こんなに熱望してるのに!何故だ!何故神は俺達に女を与えてはくれないんだぁ!!」
ひざまずき両手を上げて言うヒエンの叫びは思いの外響き、同じクランの男達はウオォォォ!と合わせて雄叫びを上げる。
「「……………そんなんだからだと思うな」」
イリアとイズナが同時に言ったら、ヒエンはショックを受けゆっくりと地面に横たわった。
そしてチラッチラッと2人を見るが、2人は虫を見るような冷たい目をむけている。
「……………うるさい」
そんな雄叫びをあげた為プレイヤーの捜索の手が止まるなか、ひよりは宝箱を握りしめていた。
中には半分に割れた鍵がある。
カチャリと音を鳴らしながらそれを掴み見てニヤリと笑った。
残り時間1時間50分
「………まぁまぁか」
「あ!見つけたんですかぁ?」
後ろからひょこっと顔を出したのはマドカだ。
ひよりの手のひらにある鍵を見てからニンマリと笑ったマドカは、親指と人差し指で挟んだ緑色の試験管を見せた。
「これで最後でしょうかねぇ」
ドヤ顔するマドカに驚いた後、ひよりもニヤリと笑ってから立ち上がった。
同じ数だけ出てきたイベントアイテム、多分残りはあと1つと推測される。
全員が同時に捜し出し、だいたい同じくらいに見つけたそのアイテムの残り一つも、別の場所からみつかる。
大きな温泉の下側を二手に別れて捜索を開始した。
右側、ちょうど熱い温泉がある場所から見て真逆の場所に、もう1つ巨大な扉があった。
その扉に鍵穴はない。
押してもビクともしないその扉は後回しにして壁と地面を探し出す。
「……………うーん」
「マチコどう?ありそ?」
「なさそうだなぁ」
壁の穴に手をツッコミ体全体を壁につけて探る、黒髪ポニーテールの少女マチコ。
それを横で見るリカコは、金髪の髪を緑のリボンで結んでいた。
ツルペタな体に体操服姿とかなりマニアックである。
2人は金色の檻のクランに入っていて、上空探索中のキョウコを含めてイオリが大好きなのだ。
そんな2人は仲良く宝探し中である。
意外にも2人はそれなりに仲が良いのだ。
「うーん、見つけてキョウコに自慢したかったんだけどなぁ」
「あー、それな」
「違うとこ探そ」
「うん」
イオリと前線に立つキョウコは、マチコやリカコよりも接触が多い。
これを機に……と思ったが無理そうだ。
「………うーん、ここを見てみようかなー」
「あ、クラーティアさん私も一緒する!」
ポイン!と弾む胸に思わず視線を向けたクラーティアは、その後顔を見る。
黄色のフリフリドレス服ににっこり笑顔のサキがそこに佇んでいた。
キラキラガールの黄色担当、ポインと跳ねる胸が目印!なサキであった。
「………けしからんやつですねー」
「えぇ!?」
動く度に揺れるそれを見たあと、自分の控えめな胸をちらりと確認。
「これもよきー」
ブンブンと手を振るクラーティアにサキは首を傾げながらもわらう。
結局捜索範囲内には宝箱は発見されず、他から見つけたとの報告を聞いて「負けたー」と手を止めた。
「………なんか話してる」
「ん?」
アリアとスイが話しているのに気付いたのはイリアだった。
見上げた先には掴みかかる勢いのアリアがいて、イリアはその言葉に合わせて上を向いた。
「………はぁ、迷惑掛けてるみたいだな、わりぃ」
歩きながら近づいてくるカンザキに謝られても答えようの無いイズナは、小さくため息を吐き出した。
たまたま近くで探していたカンザキも合流して揉めている2人を地上から見上げる3人。
ナズナとリィンは離れた所で気にしながらも捜索している様子が見てとれる。
「…………あぁーあ、最近のアーサーのせいでなーんかギクシャクしてるよな」
「だねぇ、楽しいけれど楽しくないっていうか、あー!上手く言えないな!」
頭を掻きむしりながら言うイリアに、カンザキが禿げるぞと言う。
「不吉な事言うなばーか」
「…………まぁ、英雄の箱庭雰囲気変わりましたもんね、ベータの時に比べたら」
「人数が増えたってのも有るけどな。フェアリーロードだって変わったじゃねーか」
「入った人の個性が強いからだと思う」
え?重くないですよ?片手余裕です!!
行きますよー!えぇーい!!
皆さんの愛の料理人クリスティーナでーす!
ほら、みんなが羨む人魚姫よ!スイ、今度人魚姫モチーフにお菓子作ろうかしら!
残念な事に個性の塊な2人に阻まれてファーレンの活躍の場が今はない。
俺だって!!頑張ってんだからぁぁ!!!
脳内で忙しなく動く3人が浮かび上がりイズナは勢いよく頭を横に振った。
そんな世間話をする3人の後ろから、2人の男性プレイヤーが近づく。
「っ!女の子2人に挟まれて!お前何様だ!ちなみに俺はヒエン!」
少し背の低いそのプレイヤーは重量級の鎧を身につけた小太りの男だった。
震える指先をカンザキに指して言うと、カンザキは盛大に眉を寄せて言った。
「はぁ??」
「はぁ?じゃない!俺達雄妬恋組は!!女に縁のない男が集まったクラァァァン!!女と話をしたい!触れ合いたい!関わりたァァい!!こんなに熱望してるのに!何故だ!何故神は俺達に女を与えてはくれないんだぁ!!」
ひざまずき両手を上げて言うヒエンの叫びは思いの外響き、同じクランの男達はウオォォォ!と合わせて雄叫びを上げる。
「「……………そんなんだからだと思うな」」
イリアとイズナが同時に言ったら、ヒエンはショックを受けゆっくりと地面に横たわった。
そしてチラッチラッと2人を見るが、2人は虫を見るような冷たい目をむけている。
「……………うるさい」
そんな雄叫びをあげた為プレイヤーの捜索の手が止まるなか、ひよりは宝箱を握りしめていた。
中には半分に割れた鍵がある。
カチャリと音を鳴らしながらそれを掴み見てニヤリと笑った。
残り時間1時間50分
「………まぁまぁか」
「あ!見つけたんですかぁ?」
後ろからひょこっと顔を出したのはマドカだ。
ひよりの手のひらにある鍵を見てからニンマリと笑ったマドカは、親指と人差し指で挟んだ緑色の試験管を見せた。
「これで最後でしょうかねぇ」
ドヤ顔するマドカに驚いた後、ひよりもニヤリと笑ってから立ち上がった。
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