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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話

ミニイベント2

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「俺から話していいか?」

カガリが英雄の箱庭とキラキラガールに話しかけ、それぞれが頷いたあとに前をしっかりと見据えた。

「まず、俺はフェアリーロードのカガリだ、ちょっと話を聞いてもらいたい。さっきのゲームマスターの話なんだが、制限時間3時間ってことと皆で仲良くって言ってたの覚えてるか?」

「あぁ、覚えてるよ。まぁ、広いしみんなで手分けしてって感じかな?」

女性プレイヤーに囲まれる様にして立つ男性が手を挙げながら言う。
それに全員が視線を向ける中、数人のプレイヤーも考え込んでいる様子も見られる。

「………………これって最初に見つけた人に特典とかはないのかな?」

女性プレイヤーがポツリと呟いた言葉に全員が顔を見合わせる。
単独で動こうとしていたパーティはこれを考えている人が多いのだ。
しかし、

「ないと思うぞ。前回イベントでそういった報酬は先に言われていた。今回もあるなら話はでてるだろうし、参加メンバーは限られてる。寧ろ出れないプレイヤーの方が多いだろうからそんなに特典はださないだろうな…………まぁ、想像の域をでないが。」

カンザキが答え、それに同意見のカガリも頷いた。

「そんなことよりもー、マドカは変ないざこざ起こしてクリアできない方が困ると思うのー」

「……たしかに」

「じゃあ、私は賛成。確かにバラバラで動いて解決までって実際厳しいかもしれないし」

「…………よし、他はいいだろうか?」



特に反対意見が出ることも無く、ここは協力することに決めた10パーティ。

フェアリーロード、2パーティ
英雄の箱庭、2パーティ
キラキラガール
一番搾り
来たれ!雄妬恋組!!、2パーティ
金色の檻
ひよりと愉快な仲間たち

この10パーティでの協力イベントとなった。
それぞれが個性的である。前線組は個性的でないとなれないのか…………


「じゃあ、調べないといけないのは……」

「温泉の中と周り全部、かな」

金色の檻のリーダー、イオリが温泉を見ながら言う。
このパーティは完全ハーレムになっていて見た目のいい女性プレイヤーがしっかりとイオリを囲んでいる。
イオリは少し幼い顔立ちをした美青年だ。

「温泉捜索は愛の料理人クリスティーナにおまかせよ✩」

ウィンクしながら尾を揺らすクリスティーナに、イオリは一瞬驚き目を見開くが、すぐににっこりと笑った。

「わぁ、人魚かぁ。水の中はクリスティーナさんの庭みたいなものかな、よろしく!」

まさかの神対応にフェアリーロードのメンバーがのけ反り、他のプレイヤーもイオリをガン見する。
金色の檻リーダーイオリ、恐るべし。
ハーレム作ってるのも伊達じゃない。
しかし、相手はクリスティーナである。


「私、頑張るね!タクさん!!」

「お、おぉ!頼むな」

「はぁぁぁん!!たぎるぅぅぅ!!」

「落ち着いて、クリスティーナ」

顔をアイアンクローするスイに、あん!と叫んで止まるクリスティーナ。
ブレない残念感を発揮するクリスティーナである。

「私、潜水のスキルあるから一緒に温泉調べる!」

「わたしもー、ガチャで引いたのサメだったから水の中は得意よー」

他のプレイヤーからも声が上がり温泉探索チームが出来上がった。
全員で8名、この人数で温泉をくまなく調べる事になったのだ。

「時間が惜しいから先に行くわね?スイ、いい?人数も多いしフェアリーロードの誰かと一緒に行動するのよ?1人にはならない事。誘われてもついてっちゃダメよ?わかった?とくに英雄の箱庭。ないわぁ、そろそろ接近禁止のシステムとか作ってくれないかしら運営、マジで。とりあえず、フェアリーロードの誰かと居たら安心だから、引っ付いてなさい。むしろ、手を繋いで動きなさい。いいわね?」

「クリスティーナは私のお母さんか。手繋いだら探せないじゃないの」

「……………まず繋ぐことに疑問っていうかよ、嫌がれよ」

カガリの呆れた声に、クリスティーナがぐるりと向きを変える。

「甘い!甘いですよ!!マカロンにガムシロと粉砂糖がっつり掛けてシロップに漬け込むくらい激甘ですよ!!相手はスイなんですよ?このなんも考えて無さそうな、実際考えてないでホイホイ着いて行っちゃうスイですよ!?」

「ねぇ、それ貶してるよね?ね?」

「実際に道聞かれて案内してって無理やり引っ張られて抵抗も出来ずに連れていかれそうになるスイなんですよ!?」

「リアルの話はやめてよぉぉぉ!!」

暴走クリスティーナに、スイが泣きつくとカガリやグレン、そしてリィンの眉間に皺がより始める。

「もぅ!早く行け!!」

貝殻に座るクリスティーナを押して温泉に突き落とすスイ。
きゃあ!と乙女な悲鳴を上げながら温泉に入るクリスティーナは、もぅ!とぷりぷりしながらも行ってくるわね!と潜って行った。
釣られるように温泉捜索メンバーも潜っていく。

「……………お騒がせしました」

顔を赤らめ俯くスイの肩をカガリはガシっと掴み、すごまれ

「…………後で話を聞くのと、お前の単独行動禁止」

「…………………え?」

「…………スイ、あぶない」

「そうね、危ないわ」

「スイさん、危機感持ってください!」

「…………え?え?」

イズナとナズナに手を繋がれ、リィンに強く言われ、そしてフェアリーロードのメンバーは心なしかスイに近付いて守るように立つ。

「…………大丈夫なのにぃ」

「よし、それじゃあ次の捜索場所だが……」

「聞いてくれる気がしないぃぃ…」

しっかりとスイの手を握りしめるナズナのほの暗い笑みと見えない足さばきを今回は誰も注意をする人はいなかった。






















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