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第3章 ホワイトライスケーキと疫病の話

秘湯の発見、ただし水 3

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タクとファーレンが離れ、温泉に潜り息止め大会を始めた頃、カガリが空を見上げて眉を寄せた。



「……………………」

「どうした?カガリ」

「……いや、最近のフェアリーロードの事を考えていた」

「ん?」

潜水はファーレンに軍配が上がりガッツポーズをしている。
タクは悔しがり水掛け合いへと発展。
水着が欲しいところだ。

「いやさ、不遇職って理由でスイにキツく当たっちまったけどさ、スイ自身にはなんも関係ない事で悪い事しちまったなってずっと思っててさ」

パシャンと音を立てて動き、温泉に映る自分の顔を見た。
なんとも情けない顔をしている。


「しかも、すっげー強くなって今ではパーティプレイで必要不可欠になったな。なんだあの強さ、反則」

「…………そうだな」

小さく笑って言ったカガリに、グレンは静かに話を聞いている。

「不遇職だが、いや、あれはスイ自身の性格だな。あいつのおかげでクラメン達はいい刺激になって色々いい方向に変わった。1番はアイツかな」

タクと遊んでいるファーレンを見ると、グレンも頷いた。
最初の時とは考えられないくらいに笑みを浮かべるファーレンはだいぶ丸くなっていた。

「そうだな、ぶつかりあったが結果は上手くまとまったしアイツが更に強くなるきっかけもスイだろう。」

「まだあんまり活躍してないがな」

苦笑するが、周りが強すぎるのだ。
ファーレンは決して停滞している訳じゃない、ただそれが上手く表にでないでいた。
ファーレンが出るよりも早くカガリが、タクが、イズナやデオドールが処理をしてしまうのだ。

「あとは、スイの紹介でクリスティーナが入って…………」

「………………………あれは、なんだ…上手く言い表せない」

「良い奴に変わりはないのにな」

「全くだ」

彼女はキャラが濃く衝撃が激しい。色々な意味で。
そんな彼女の存在もフェアリーロードには大きな存在だった。
主にサポート面を中心に。
クリスティーナは基本料理特化のサポート職だ。
自分で素材を集める為に火力も出せるようになったが、火力職にはどうしても劣ってしまう。
そう、あの火力を持ったとしてもだ。

「…………1番意外だったのはナズナの懐きだな」

「あ、わかる。俺も意外だった。……まぁ、意外な特技も手に入れたがな」

ほの暗く笑って歌うナズナ。その足さばきは既に残像だ。

「……………まさかの足スキルも取るしな」

「ガチャでも天使とか1番引いちゃダメなやつだろ」

ため息を吐き言うカガリに、グレンは小さく笑った。


「デオドールの武器巨大化だってそうだ。魔力酔いをするから魔力回復自体あいつはあまり飲むのを嫌っていたのに、複数本飲んだのは驚いた。あれ程のハンマーの巨大化も出来なかったはずだ。……スイが来てからあいつのありえない強さが移ってきてるのかって気がする」

「わかる………」

クラメンの強さが上がっていく。
しかも斜め上に、後退はしない。
それはいい事なのだが、いいのか?と問いたくもなる。
そしてそれは、まるで連鎖するかのようにジワジワと広がっていくのだ。

「…………まぁ、1番のアリエナイはスイだがな」

「あれはさぁ、奏者の枠から外れてるとしかいいようがないよな」

「第3陣、奏者が増えるって聞いてるか?」

「掲示板だろ?知ってる。………スイみたいには、ならねぇんじゃねーかなぁ」

スイの様に強くなりたい。
スイの様に居なくては困るプレイヤーになりたい。
そう願って奏者を選ぶプレイヤーが増えるのは必然だったようだ。
実際に、新しく奏者になったプレイヤーが色々なクランに続々と入っているのだ。

「…………ゲーム自体がさ、これめちゃくちゃなとこあるじゃん?でもそれが楽しいよな」

「そうだな」


空を見上げて呟いたカガリの言葉はタク達には届かなかった。

「カガリー!グレンー!もう出ようぜ!」

手を振りながら言うタクとファーレンに、カガリは振り向きグレンは緩やかに手を挙げた。
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