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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

イズナとナズナ

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「………………うーん」

タクにほの暗い笑みを浮べて笑っているナズナをイズナは見ていた。

「どうしたの?」

カタンと音を立てて椅子に座るアレイスター。
イズナはチラッとアレイスターを見てからため息を吐いた。

「ままならないなぁ…って思って」

「うん?」

「…………ナズナが人見知りって、アレイスター知ってるよね?」

「もちろんよ。普段の様子を見るには信じられないくらいにナズナちゃんガードかたいんですもの。仲良くなるには時間がかかったわァ」

「…………たぶん、ベータ版の時にみんな頑張ってくれたからかなナズナ今はだいぶ治ってきたけど………ゲーム限定なんだよなぁ」

小さく呟いたリアルの言葉は無意識だったのだろう。
アレイスターは何か言うことも無くタクを打ち上げるナズナを見た。
2人は同じ家族なだけあり、ログインもログアウトと常に一緒だ。
たぶん、家族でしてるんだろうなって言うのは全員の意見である。
もちろん憶測に過ぎないし、リアルの事を聞く訳にもいかない為誰も確認などはしていないが。

「…………ナズナちゃん、どうかしたの?」

「………………フレンドに、ナズナが素っ気ないから一緒に遊ぶの嫌そうにされちゃって」

「あら。そうなの?戦闘になったらナズナちゃんは戦力になるし、あんなに可愛い性格してるのにね。諦めないで仲良くして気に入られたら逆にベッタリなくらいなのに」

スイに抱きついてニヤリと笑いタクを見るナズナ。
スイに対しての懐き方は半端じゃない。

「あ!いい事思いついたわ!」

「ん?」

「あのね………」

コソコソ話す2人をナズナが気付く。
そっとスイから離れてナズナはしずかーに近づいて行った。

「………なるほど」

「ね?」

「何がなるほど?」

「「きゃあ!」」


2人の間に入り両腕で2人の片腕ずつに抱きつくナズナ。
全然気付いていなかった2人は思わず悲鳴を上げながらナズナを見る。
まん丸の目でイズナとアレイスターを見るナズナは首を傾げているが、そんなナズナにイズナはぎゅーっと抱きついた。

それは珍しい事だった。普段は気に入った人にベッタリなのはナズナで、たとえ半身でもゲーム内でイズナは人に必要以上には触れない。
そんなイズナの反応にナズナは目を見開きイズナを凝視した後優しく抱きしめ返した。


「…………どうしたの?かなしいの?嫌な事でもあった?何かあったならナズナが怒ってやる」

「………………ナズナ」

「なに?」

「私、思っていた以上にナズナが好きみたい」

「??イズナがナズナを好き?知ってるよ?」

何今更?みたいに言うナズナに、思わず笑ってしまった。

「……アレイスター、ありがとう」

「どういたしまして」

ナズナを離して笑ったイズナはアレイスターを見てニッコリ笑顔でお礼を言った。
それを見たナズナもわからないと思いながらも同じく笑顔を作ってありがとう?と呟く。

そんな2人の笑顔はよく似ていた。









第3陣が動き出したのは、フェアリーロードが第3の街へのエリアボスを倒した後であった。
基本的にはフェアリーガーデンがある第2の街にいるフェアリーロード。
ナズナは現実世界に居る時に、イズナがリアフレに遊ぶことを誘われてナズナもと誘った。
最初は難色をみせるのだが、ここでイズナは切り札を使う。

「スイさんとタクにも声かけたから」

「いく」

お気に入りの2人が行くだと!?
行くに決まっている!
食い気味に答えたナズナにイズナは少しホッとしていた。

正直に言えば断ることだって出来たしイズナだけが友達と遊ぶことだって出来た。
半身を陰でコソコソ言う人がいるのも知ってるし、友達も微妙な反応をしていることからナズナへの好感度は低いのだろう。
でも、一緒に遊ぶなら半身とも気持ちよく遊んでくれる人の方がいいに決まってる。
だって、半身が好きだから。

でも友達も好きなのだ、一緒に遊びたいと思うくらいには。





第2の街噴水広場

今日、第3陣がゲーム開始できる記念すべき日だった。
初期装備を身につけてポツポツと現れるプレイヤーと、既にゲームを始めている第1陣、2陣プレイヤーで噴水広場は賑わいをみせていた。
そのすぐ近くのベンチ付近で2人は手を繋いで立ってる。
そう、今日が約束されていたリアフレ達との集う日だからだ。
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