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第2章 水の都アクアエデンと氷の城

種族チェンジ

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無事氷の城から帰ってきたスイは、久々のもふもふとのまったり休日を終えた。
さぁ、金策の為にそろそろ動こうか。
クランハウスを出て街の噴水広場へと向かいながら
そう考えていた時だった。
ワールドメッセージと言う運営から全プレイヤーへのメッセージが送られた。


[第2の街のボス討伐により、第3の街が解放されました。]


「え?」

今スイ達クランハウスがあるのは第2の街。
そこを拠点にしている為、まだ先の攻略は考えていなかったのだが、いずれはと思っていた。
焦っても意味はないし、なによりボスの居場所は依然見つかっていない。
氷の城最上階に居るのではないか、と噂はあったが、まだ誰も到達はしていないからだ。

「第3の街の解放…」



[繰り返します。第2の街のボス討伐により第3の街が解放されました。
第3の街の解放を記念して、オプションガチャ券の配布を行います。]


繰り返されるアナウンスに町中が賑わいを見せている。
オプションガチャ券?と首を傾げるプレイヤー達と同じくスイもなんだろう?と疑問を持つ。
ステータスを開き、持ち物欄を開くと見慣れないガチャ券があった。
金色に光るそれはプレミアムと書かれている。

「えーと……」

説明欄を開くと、そこには画像と文章がずらり。

「…………身体に付随するオプションガチャ。交換不可、使用後外すことは出来ないためよく考えて使用してください。…………え?」

表示にはガチャ使用しますか?
イエスorノー

「……使っていい、んだよね?」

ほかプレイヤー達は早速ガチャを回しているようだ。
猫耳ー!犬耳ー?!
これ、うさぎだ!

なにやら叫んでいる声が聞こえ、振り向くと確かに耳が生えている。
他にもコウモリの羽や牛の角など様々な変化を見せる中、箒などを持つ人も居た。
真っ黒のとんがり帽子に、真っ黒のローブを羽織っていて見るからに魔女である。

「わ!獣人族になってる!」

猫耳の人がステータスを確認して驚いた声を上げていた。
プレイヤーは等しく人族に分類されていて、どうやらこのガチャでほかの種族になれるようだ。
妖精族などもあるみたいで、左右2対ずつの羽を生やしている人も見かける。
ただし。体のサイズが小さくなっているようだ。

スイもガチャ券のイエスをタップする。

「…?これは……」

ガチャ券が一瞬光り、次に現れたのは灰色から黒へとグラデーションになっている綺麗な翼だった。
エフェクトだろうか、翼の周りがキラキラと光っている。



使用しますか?


出ているメッセージのイエスをタップ。
すると、背中がムズムズしだし一気に翼が生えた。
あの表示されていた灰色から黒へとグラデーションになっている翼だ。
ふわりと風が吹き、スイの体が地面から浮き上がる。
初めての感覚に慌てて手を広げてバランスを取る。フラフラしながらも動くとエフェクトの光がスイを追うかのように輝いた。
それも灰色だが。


「えーっと………だ、堕天使……」



使用した事により、スイは人族から堕天使へとクラスチェンジしました!



堕天使…元は光り輝く純白の天使だったが、禁忌  を犯した為にその光は消え失せ地に落ちた堕天使。
もう天上に戻ることは出来ないその制約の為、地上から3メートル以上上昇することが出来ず、天使の名残により地に足を付けることも出来ない。 


「………また激しい設定だなぁ………ん?」

人族から堕天使へとクラスチェンジしたスイのステータス。
そこには[堕天のルート]と書かれている場所があった。
普通は白く表示されている文章だが、それはグレーで書かれていてタップしても説明は表示されていなかった。


「またなんかあるのかな?」

そのうちわかるかな、とステータスを閉じたスイはフラフラと左右に揺れながら前進した。


「………う、うごけない……」


初めての経験、スイ、空を飛ぶ

慣れない飛行に必死になりながらフラフラと中央の噴水広場へと向かうのだった。





















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