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第2章 水の都アクアエデンと氷の城
もふもふ日記 2
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食事を堪能したもふもふは、パンパンのお腹を見せてスイの膝の上に転がっていた。
そのお腹を撫でながら優雅にお茶を1口。
今日はハーブティーらしく、臭みのないサラサラとした飲み心地だ。
「……うーん、こぶたさんかな」
長い毛をかき分けてお腹を触ると、パンパンに膨れ上がったお腹はコロコロとしている。
最近食べさせすぎてるだろうか。
撫でられてクネクネしているもふもふはご機嫌にスイにくっついている。
「よし。今日は運動しようか」
「ひゃん?」
もちゃもちゃと頭を撫でてからもふもふを起こして体にリードをつけた。
お散歩!とテンションの上がったもふもふは足の間をグルグル回って紐を絡ませていく。
「おちつけ」
笑いながら雁字搦めになったスイの足ともふもふを救出して外に飛び出した。
今日は晴天。
暖かい日差しがお散歩日和だろう。
もふもふもご機嫌だ。
現実と違い照り返しがないのがいいね、足火傷しない。
小さな鞄には、もふもふの水とおやつが入っている。
ダイエットの為に運動をするというのに、おやつ持参は意味が無いのを溺愛と化したスイには気づいていない。
歩く度にお尻を振るようにするのは犬種柄なんだけど、それがまた可愛くてスイだけじゃなく周りの視線も集めていた。
「…………たまらん」
着いたのはドックランだった。
まだそんなにペットを持っているプレイヤーは少ないが、今後を考えたのだろうか。
かなり広く作られアスレチックなども有る。
ドックランとは言っても、猫も狐も、手に入る動物は入場出来るらしく日向ぼっこしていたり遊んだりと、まったり過ごす姿も結構いた。
「もふも遊ぼう?」
楽しそう、と下を見て言ったが何故かスイの足の間にペタリと座りへれへれしている。
見上げていい顔してへれへれ。
スイ、移動。
もふもふも移動、足の間に座る、へれへれ。
「………いやいや、なんで」
思わず可愛くて笑ったが、このままではいかん。
こぶたさんになってしまう。
「ほら、いくよ」
歩き出すスイに、もふもふは引きずられる様について行った。
結果的にはもふもふ、かなり充実して遊んでいる。
紐を外して走らせたら喜んで走る走る。
尻尾をフリフリしながら走ってはスイの所に戻ってへれへれ。
また走っては、スイの所に戻ってへれへれ。
これを繰り返していると、同じペキニーズが現れお互いにくんかくんかと匂いを嗅いでいる。
いや、ちょっと違う。
ミックスかな?
じっと椅子に座って見ていると、隣に人が座った。
「あの子の飼い主ですか?」
「え?あ、はいそうです」
指さした先はもふもふ。
その人はもふもふと一緒にいるミックスの飼い主なんだそうだ。
170センチくらいの男性だった。
ただ、かなりのぼっちゃりである。
優しく言ってかなりのぽっちゃり。
「おれはミックスだったけど、混じり気ないペキニーズなんだねー」
ニコニコしている男性が椅子に座ったから、椅子が軋んだとか、多分気のせい。
「はい、いいですよね。可愛くて」
「うんうん。いいよねー」
すごくホンワカしている人で、お互い名乗ってもいないのにまったりと飼い犬を見て話をしている。
「凄いへれへれしてない?あの子」
「あ、やっぱりですか?凄いへれへれするんですよね」
「それも個性だよね、うん、可愛い」
「ですよねー」
まったりしすぎて寝そうだ。
そんな時だった。
もふもふ達のそばに男が1人。
しゃがみこみ2匹の頭を撫でる。
基本的に好きに遊ばせる場所なので触れ合いは自由な場所だが
「……………なんか、あの人変だね」
男性が言うように、ベタベタと2匹を撫で回す。
もふもふも、ミックス犬も嫌そうにしている為男性がベンチから立ち上がった瞬間。
「‼もふ!」
「澪!!」
男がもふもふとミックス犬を両腕で抱えて走り出した。
追いかけるのに、スイはペナルティ覚悟でスピードを上げるバフを2人に掛けた。
戦闘を意識してない為に、いつもより時間が掛かったが2人は一気に加速。
男に飛びかかり、2匹を救出した。
「うちの子に何しやがる!!」
普通に殴って逃走を止めたが、加減出来ずに男をぶっ飛ばした。
放り投げられた二匹は、無事に男性がキャッチ。
「……………正当防衛です」
「……………………………うん、そうだね」
端まで吹っ飛ばされた男は後ろから殴られたのに何故か顔全体か変形して鼻血をだしていた。
意識を飛ばしている男性を2人で見下ろす。
野次馬も増えて来ていて、ドックランの経営者が慌てて走ってくるのも見えた。
とりあえず、尻尾を足の間に入れてプルプルしているもふもふを受け取りお礼を言ったのだった。
男は連れていかれた。
勿論、ペナルティが課せられるのだが今回、スイも街中で使ってはいけないバフの使用と過度の暴行(加減なく殴った)により厳重注意を受けた。
男によると、犬が欲しかった。
それも、スイたんが飼っている犬が欲しかったんだ………
そう項垂れながら答えたらしい。
スイたん見守り隊から派生した過激派らしい。
聞いた時スイは顔を引き攣らせていたが、すぐに巻き込まれた男性に頭を下げたのだった。
散々なお散歩になったが、男性はにっこり笑って首を横に振った。
今度は一緒にクエスト行こうかー、とのんびり話しながら。
頷きフレンド登録したら、そこには淡雪と名前が表示された。
「……………淡雪ですか」
「うん。よろしくね」
淡雪ってお酒美味しいから名前付けたんだー、と笑っていうその人は、ミックス犬を抱っこして腕を上げさせた。
「そして、澪だよー」
酒好きか!!
日本酒のスパークリングが今ハマっててーと朗らかに笑うその人はおすすめだよー、と伝えた。
澪飲んだこと有るけど淡雪はないな…
と考えたスイは今度買うかな…と思案した。
そのお腹を撫でながら優雅にお茶を1口。
今日はハーブティーらしく、臭みのないサラサラとした飲み心地だ。
「……うーん、こぶたさんかな」
長い毛をかき分けてお腹を触ると、パンパンに膨れ上がったお腹はコロコロとしている。
最近食べさせすぎてるだろうか。
撫でられてクネクネしているもふもふはご機嫌にスイにくっついている。
「よし。今日は運動しようか」
「ひゃん?」
もちゃもちゃと頭を撫でてからもふもふを起こして体にリードをつけた。
お散歩!とテンションの上がったもふもふは足の間をグルグル回って紐を絡ませていく。
「おちつけ」
笑いながら雁字搦めになったスイの足ともふもふを救出して外に飛び出した。
今日は晴天。
暖かい日差しがお散歩日和だろう。
もふもふもご機嫌だ。
現実と違い照り返しがないのがいいね、足火傷しない。
小さな鞄には、もふもふの水とおやつが入っている。
ダイエットの為に運動をするというのに、おやつ持参は意味が無いのを溺愛と化したスイには気づいていない。
歩く度にお尻を振るようにするのは犬種柄なんだけど、それがまた可愛くてスイだけじゃなく周りの視線も集めていた。
「…………たまらん」
着いたのはドックランだった。
まだそんなにペットを持っているプレイヤーは少ないが、今後を考えたのだろうか。
かなり広く作られアスレチックなども有る。
ドックランとは言っても、猫も狐も、手に入る動物は入場出来るらしく日向ぼっこしていたり遊んだりと、まったり過ごす姿も結構いた。
「もふも遊ぼう?」
楽しそう、と下を見て言ったが何故かスイの足の間にペタリと座りへれへれしている。
見上げていい顔してへれへれ。
スイ、移動。
もふもふも移動、足の間に座る、へれへれ。
「………いやいや、なんで」
思わず可愛くて笑ったが、このままではいかん。
こぶたさんになってしまう。
「ほら、いくよ」
歩き出すスイに、もふもふは引きずられる様について行った。
結果的にはもふもふ、かなり充実して遊んでいる。
紐を外して走らせたら喜んで走る走る。
尻尾をフリフリしながら走ってはスイの所に戻ってへれへれ。
また走っては、スイの所に戻ってへれへれ。
これを繰り返していると、同じペキニーズが現れお互いにくんかくんかと匂いを嗅いでいる。
いや、ちょっと違う。
ミックスかな?
じっと椅子に座って見ていると、隣に人が座った。
「あの子の飼い主ですか?」
「え?あ、はいそうです」
指さした先はもふもふ。
その人はもふもふと一緒にいるミックスの飼い主なんだそうだ。
170センチくらいの男性だった。
ただ、かなりのぼっちゃりである。
優しく言ってかなりのぽっちゃり。
「おれはミックスだったけど、混じり気ないペキニーズなんだねー」
ニコニコしている男性が椅子に座ったから、椅子が軋んだとか、多分気のせい。
「はい、いいですよね。可愛くて」
「うんうん。いいよねー」
すごくホンワカしている人で、お互い名乗ってもいないのにまったりと飼い犬を見て話をしている。
「凄いへれへれしてない?あの子」
「あ、やっぱりですか?凄いへれへれするんですよね」
「それも個性だよね、うん、可愛い」
「ですよねー」
まったりしすぎて寝そうだ。
そんな時だった。
もふもふ達のそばに男が1人。
しゃがみこみ2匹の頭を撫でる。
基本的に好きに遊ばせる場所なので触れ合いは自由な場所だが
「……………なんか、あの人変だね」
男性が言うように、ベタベタと2匹を撫で回す。
もふもふも、ミックス犬も嫌そうにしている為男性がベンチから立ち上がった瞬間。
「‼もふ!」
「澪!!」
男がもふもふとミックス犬を両腕で抱えて走り出した。
追いかけるのに、スイはペナルティ覚悟でスピードを上げるバフを2人に掛けた。
戦闘を意識してない為に、いつもより時間が掛かったが2人は一気に加速。
男に飛びかかり、2匹を救出した。
「うちの子に何しやがる!!」
普通に殴って逃走を止めたが、加減出来ずに男をぶっ飛ばした。
放り投げられた二匹は、無事に男性がキャッチ。
「……………正当防衛です」
「……………………………うん、そうだね」
端まで吹っ飛ばされた男は後ろから殴られたのに何故か顔全体か変形して鼻血をだしていた。
意識を飛ばしている男性を2人で見下ろす。
野次馬も増えて来ていて、ドックランの経営者が慌てて走ってくるのも見えた。
とりあえず、尻尾を足の間に入れてプルプルしているもふもふを受け取りお礼を言ったのだった。
男は連れていかれた。
勿論、ペナルティが課せられるのだが今回、スイも街中で使ってはいけないバフの使用と過度の暴行(加減なく殴った)により厳重注意を受けた。
男によると、犬が欲しかった。
それも、スイたんが飼っている犬が欲しかったんだ………
そう項垂れながら答えたらしい。
スイたん見守り隊から派生した過激派らしい。
聞いた時スイは顔を引き攣らせていたが、すぐに巻き込まれた男性に頭を下げたのだった。
散々なお散歩になったが、男性はにっこり笑って首を横に振った。
今度は一緒にクエスト行こうかー、とのんびり話しながら。
頷きフレンド登録したら、そこには淡雪と名前が表示された。
「……………淡雪ですか」
「うん。よろしくね」
淡雪ってお酒美味しいから名前付けたんだー、と笑っていうその人は、ミックス犬を抱っこして腕を上げさせた。
「そして、澪だよー」
酒好きか!!
日本酒のスパークリングが今ハマっててーと朗らかに笑うその人はおすすめだよー、と伝えた。
澪飲んだこと有るけど淡雪はないな…
と考えたスイは今度買うかな…と思案した。
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