Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう

文字の大きさ
上 下
89 / 214
第2章 水の都アクアエデンと氷の城

幻の食材とレアドロップを求めて

しおりを挟む
「ごめんねー、付き合わせて」

「行ったことないし、楽しみだよ」

クリスティーナが狙うのは氷の城にある魔物から取れる食料だった。
中枢から最奥に氷属性の豹が現れるのだが、その豹からはかなり身のしまった肉が取れる。
また、部位によって様々な食感の肉が取れるのだが特に希少価値の油の乗った場所がある。
それは雌にしかない為、クリスティーナは雄雌を出来るだけ綺麗な状態で倒し持ち帰りたかった。

「だから、よろしく!」

「がんばるよー!」

クリスティーナの頼みで集まったのはスイにリィン、デオドールとイズナ、そして

「私まで、すいません」

ペコッと頭を下げたのはバイトで来ている男性プレイヤーの清水。
氷の城で手に入る氷結のブレスレットが欲しいと、クリスティーナの話を聞いて志願してきたのだ。

氷結のブレスレット
氷属性+10
水耐性+10

使用時衣装チェンジ効果あり(アバター)

レアドロップ。
性能はイマイチだが、衣装チェンジ効果があるため特に女性プレイヤーにかなりの人気。

レアドロップだからなかなか出ないが、出たらかなり羨ましがられる。
男女でアバターが違うが、仲の良い友達同士や恋人夫婦でお揃いにするのが最近の人気だ。

「………その、好きな人が居てプレゼントしたいんです」

金髪碧眼のイケメンモテ男子が、顔を赤らめながら言った。
それにクリスティーナがにんまり笑って、レアドロップ取ったらクリスティーナちゃん特製、告白用スペシャルケーキを店員価格で作ってくれると約束した。

「よーし、幻の食材とレアドロップを求めて」

『しゅっぱーつ!!』





氷の城は1階から最上階である6階まであり、3階から敵のレベルが跳ね上がる。
今いるプレイヤーは行けて5階の前半らしく、攻略方法も4階までしか書かれていない。
その為、第3の街は城攻略後に解放ではないかと言われている。

「…………おおぅ」

城の扉が開き、中は薄い青と冷えた空気がスイ達を迎えた。
氷で出来た装飾品は触るとひんやりするが、巨大な花は冷たくなく、むしろ花弁の中に入れるオブジェクトの作りが素晴らしかった。

「見てくださーい!」

広がった花弁の真ん中に座るリィン。
ピンクのスカートが広がり巨大な花の中心に座るリィンは親指姫みたいに小さく見える。

「あぁん!かーわーいーいー!!私も入っていい?」

『やめて!!』

クリスティーナが入りたーいと言うが、ムキムキ女子が巨大な花に入るなど………
殺傷能力が高すぎる……

「ほらほら、敵が来たのですよー」

ふわふわ笑って言ったデオドールが一瞬で真顔になり巨大ハンマーを取り出した。
ぐるりと一回転して遠心力を付けトカゲの形の敵を粉砕した。
回転した為スカートがフワリと浮き上がったが、デオドールは無表情のまま次にくる敵に向かってジャンプし

「スキル『投擲』」

巨大ハンマーをすごい勢いで投げ一直線に敵を倒した。
その空いた道をイズナが走り抜け左を崩し始めた。

「イズナありがと」

空いた場所をデオドールが走り、現れた敵はブーツに付いている刃物が飛び出し強力な蹴りで血飛沫をあげた。

「相変わらず、戦闘中が別人みたいね」

イズナがスカートに付いた氷の破片を払いデオドールを見ると、無表情でハンマーを拾い下からすくい上げるように振り上げた。
空気が震え周りの敵が衝撃波により吹き飛ばされる。

「…………もぅ、ちゃんと警戒しないと危ないのですよー」

ハンマーをしまって振り向き言ったデオドールに、スイ、クリスティーナ、そして清水は口をポカンと開けていた。

……………30ちかくの敵を、一瞬で……

「す……すごい」

清水が目を見開いてデオドールを見る。
デオドールはいつもほわほわと笑い戦闘とはかけ離れているから余計だろう。

「1階ですからね。これくらい問題ないのですよー」

さぁ。いきましょ!
ドロップを確認してからそう言って奥に進んで行った。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

最初から最強ぼっちの俺は英雄になります

総長ヒューガ
ファンタジー
いつも通りに一人ぼっちでゲームをしていた、そして疲れて寝ていたら、人々の驚きの声が聞こえた、目を開けてみるとそこにはゲームの世界だった、これから待ち受ける敵にも勝たないといけない、予想外の敵にも勝たないといけないぼっちはゲーム内の英雄になれるのか!

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

処理中です...