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第2章 水の都アクアエデンと氷の城
おいでませ、ペットショップ
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ガタンガタン………
ガタンガタン…………………
仕事帰り、珍しく定時で終わった翠は眠気に襲われていた。
膝の上に鞄を置き手で軽く抑えているが力は全然入っていない。
カク…カク……と頭を上下させてついには隣にいる人に体を預けてしまった。
ずるりと下がった手に鞄。
男性はパッ!と鞄を支えて翠の腕で鞄を抑えさせた。
「…………ん?」
ガタン!と大きく揺れた電車に翠の体も大きく揺れた。
目が覚めて暫くボーッとしているが左側だけが暖かく顔を上げると男性の顔アップ!!
「!?!?!?」
「あ、起きましたか?」
バッ!と離れても周りを見る状況確認。
そしてまた男性を見る
ハチミツ色の髪の柔らかな笑顔はいつか見た気がする……
「す、すみません」
「大丈夫ですよ、仕事かえりなんですか?」
パンツスタイルのスーツで電車に乗る翠はこくこくと頷くと、男性もニッコリ笑って一緒ですね。と言った。
「お疲れ様です」
「は、はい、お疲れ様です?」
首を傾げて答える翠に、男性はニコニコと笑っている。
「あの、ゲームどうでしたか?」
「……………え?ゲーム?」
ふわふわと笑って言った男性に翠は怪訝そうにすると、男性も首を傾げ、そして慌てだした。
「……………あ!すいません、覚えてないですよね!前にも電車で会ってゲーム楽しいですよって……………」
「…………あぁ!!」
どこかで見たことあると思ったら!
あのイライラした元カレ宏と別れた時に乗った電車で会った人だ!!
あの時もフワフワの髪に柔らかい笑顔を向けてくれた。
「思い出しました…?」
「思い出しました!」
ゲームを勧めてくれたあの時の人にまた会うなんて思ってもみなかった翠。
「びっくりしました……」
「俺もです」
「あ、ゲーム楽しいです。勧めてくれてありがとうございます」
「あ、良かったです。この間のイベントも楽しかったですね」
笑って話し出した2人は駅に着くまで小声でゲームの話を進めた。
クランに入ったことや色々システムが難しいと話す翠に、男性は相槌を打ちながら終始笑顔を浮かべている。
「ミドリチームだったので報酬までもらって嬉しかったんですよ」
「あ、俺もミドリチームでしたよ!」
「わぁ、一緒ですね!」
報酬迷って、結局スキルを取りましたと話す男性は次に降りるのだろう立ち上がった。
そして、くるりと向きを変えて翠をみる。
「そうだ。フェアリーガーデンって知ってますか?宿と食堂をしてるんですけど……………」
…………………………………………え?
「それじゃあ、いつか一緒にクエスト出来たらいいですね」
最後まで綺麗に笑って降りていった男性に翠は呆然としていた。
最後に言ったあの言葉。
「………………え?嘘…」
【俺が所属してるクランでやってるんです。良かったら遊びに来てくださいね】
「……………………えぇ?…………私も所属してますけど…………」
リアバレは厳禁。
それはあかねに口が酸っぱくなるくらいに言われた言葉。
だから、意図的に探したりはしない……けど……
「…………………………ええぇぇぇ………」
「…………んー」
ログインして目を開ける。
すぐ近くからはっ!はっ!はっ!と息遣いが聞こえ、首筋に黒い塊が見えた。
「おはよう、もふー」
クランハウスを手に入れてから、スイがログインして現れる場所は噴水広場ではなくスイの部屋に変わった。
全身をスイの体に仰向け乗せ横になり首の窪みに頭を乗せていたもふもふは、スイの声に反応して体を起こした。
あむ
「……………それはおはようのあいさつですか。」
鼻をあむあむ。
なんか冷たい濡れてる。鼻水?
「もふ、今日はお出かけだよ」
「きゃん!!」
「あ、スイちゃん今日は早かったのね」
食堂に出てきたスイにセラニーチェは萌を撫でながら手を振った。
萌はゴロゴロと喉を撫でられている。
「今日は定時でした」
「お仕事お疲れ様。今日はどうするの?」
「ペットショップに行きます!!」
「言うと思った」
ふふっと笑うセラニーチェに笑ったスイはそっとクラメンの様子を見る
特に男性。
ギャーギャーと騒ぐタクに物静かなグレン。
柔らかな笑みを浮かべるアレイスター。
「……………………」
「どうしたの?」
「いえ!なんでも!!」
ふるふると首を振り行ってきます!とフェアリーガーデンを飛び出したスイに、セラニーチェは首を傾げた。
「………………………あの人とクランの男性が全く結びつかない…」
謎が深まる……ともふもふを抱えながらまっすぐペットショップへと向かった。
ガタンガタン…………………
仕事帰り、珍しく定時で終わった翠は眠気に襲われていた。
膝の上に鞄を置き手で軽く抑えているが力は全然入っていない。
カク…カク……と頭を上下させてついには隣にいる人に体を預けてしまった。
ずるりと下がった手に鞄。
男性はパッ!と鞄を支えて翠の腕で鞄を抑えさせた。
「…………ん?」
ガタン!と大きく揺れた電車に翠の体も大きく揺れた。
目が覚めて暫くボーッとしているが左側だけが暖かく顔を上げると男性の顔アップ!!
「!?!?!?」
「あ、起きましたか?」
バッ!と離れても周りを見る状況確認。
そしてまた男性を見る
ハチミツ色の髪の柔らかな笑顔はいつか見た気がする……
「す、すみません」
「大丈夫ですよ、仕事かえりなんですか?」
パンツスタイルのスーツで電車に乗る翠はこくこくと頷くと、男性もニッコリ笑って一緒ですね。と言った。
「お疲れ様です」
「は、はい、お疲れ様です?」
首を傾げて答える翠に、男性はニコニコと笑っている。
「あの、ゲームどうでしたか?」
「……………え?ゲーム?」
ふわふわと笑って言った男性に翠は怪訝そうにすると、男性も首を傾げ、そして慌てだした。
「……………あ!すいません、覚えてないですよね!前にも電車で会ってゲーム楽しいですよって……………」
「…………あぁ!!」
どこかで見たことあると思ったら!
あのイライラした元カレ宏と別れた時に乗った電車で会った人だ!!
あの時もフワフワの髪に柔らかい笑顔を向けてくれた。
「思い出しました…?」
「思い出しました!」
ゲームを勧めてくれたあの時の人にまた会うなんて思ってもみなかった翠。
「びっくりしました……」
「俺もです」
「あ、ゲーム楽しいです。勧めてくれてありがとうございます」
「あ、良かったです。この間のイベントも楽しかったですね」
笑って話し出した2人は駅に着くまで小声でゲームの話を進めた。
クランに入ったことや色々システムが難しいと話す翠に、男性は相槌を打ちながら終始笑顔を浮かべている。
「ミドリチームだったので報酬までもらって嬉しかったんですよ」
「あ、俺もミドリチームでしたよ!」
「わぁ、一緒ですね!」
報酬迷って、結局スキルを取りましたと話す男性は次に降りるのだろう立ち上がった。
そして、くるりと向きを変えて翠をみる。
「そうだ。フェアリーガーデンって知ってますか?宿と食堂をしてるんですけど……………」
…………………………………………え?
「それじゃあ、いつか一緒にクエスト出来たらいいですね」
最後まで綺麗に笑って降りていった男性に翠は呆然としていた。
最後に言ったあの言葉。
「………………え?嘘…」
【俺が所属してるクランでやってるんです。良かったら遊びに来てくださいね】
「……………………えぇ?…………私も所属してますけど…………」
リアバレは厳禁。
それはあかねに口が酸っぱくなるくらいに言われた言葉。
だから、意図的に探したりはしない……けど……
「…………………………ええぇぇぇ………」
「…………んー」
ログインして目を開ける。
すぐ近くからはっ!はっ!はっ!と息遣いが聞こえ、首筋に黒い塊が見えた。
「おはよう、もふー」
クランハウスを手に入れてから、スイがログインして現れる場所は噴水広場ではなくスイの部屋に変わった。
全身をスイの体に仰向け乗せ横になり首の窪みに頭を乗せていたもふもふは、スイの声に反応して体を起こした。
あむ
「……………それはおはようのあいさつですか。」
鼻をあむあむ。
なんか冷たい濡れてる。鼻水?
「もふ、今日はお出かけだよ」
「きゃん!!」
「あ、スイちゃん今日は早かったのね」
食堂に出てきたスイにセラニーチェは萌を撫でながら手を振った。
萌はゴロゴロと喉を撫でられている。
「今日は定時でした」
「お仕事お疲れ様。今日はどうするの?」
「ペットショップに行きます!!」
「言うと思った」
ふふっと笑うセラニーチェに笑ったスイはそっとクラメンの様子を見る
特に男性。
ギャーギャーと騒ぐタクに物静かなグレン。
柔らかな笑みを浮かべるアレイスター。
「……………………」
「どうしたの?」
「いえ!なんでも!!」
ふるふると首を振り行ってきます!とフェアリーガーデンを飛び出したスイに、セラニーチェは首を傾げた。
「………………………あの人とクランの男性が全く結びつかない…」
謎が深まる……ともふもふを抱えながらまっすぐペットショップへと向かった。
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