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第1章 はじめまして幻想郷

変則クエスト8

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 「うわぁ……………」

  疲れない程度に早歩きしながら歩き、クラーティアたちも見たあの部屋を開けてスイは口を開いた。
  顔が引き攣るのを抑えられず、リィンは口元を手で抑えている。

  「ねぇ、まさかこれがペットとか言わないわよねぇ?」

アレイスターが指さして言ったら、全員沈黙。
  ……………………たぶん、これだよね
全員の心の声が揃ったが口には出したくない

「……マジで早く合流した方がいいな」

  暗闇が続く廊下を見据えて言うカガリに全員が視線を向けた。














「はぁはぁ………」

「サンダーウォール!!」

「きゃあ!!」

「くっ…………」


  壁に追い詰められたクラーティアたち。
クランメンバーと一緒ならこんなに追い詰められる事などなかっただろうが、後衛のクラーティアには4人を守る事で精一杯だった。
  3匹に増えたペットであるキメラの前に立ち、4人はクラーティアの後に座り込んでいる。
いや、1人は倒れている。

  グレン59は全身から出血、倒れ込み体力ゲージは赤で、あと一撃を貰ったら死に戻りするだろう。
  ティアラは前衛ではあるが、目の前の恐怖に動けずカタカタと震えて壁を背に座り込みどうする事も出来ない。
    リンドーは武器破損により既に攻撃の手段がなく
そして、回復であるファーチルは魔力がつき回復が出来ないでいる。
  体力はまだあるファーチルはグレン59の体を支えて魔力回復を待つが、多分間に合わないだろう。

そしてクラーティアは建物内のため超火力での攻撃が出来ない、周りを巻き込むからだ。
  ここにリィンかセラニーチェが居たらバリアを張ってくれるため出来るがファーチルにバリアは張れないため防戦一方なのである。
魔力体力ともにまだまだ余裕のあるクラーティアは、守りながらも威力の低い攻撃を繰り返している。

「もう、むりだ!!」

クラーティアに向かいリンドーが叫ぶと、本が光り今まさに魔法を繰り出したクラーティアが振り向きニッ!っと笑った。

「無理なんかじゃないですよー、諦める必要なんてありません」

三体のキメラが交互に来るが壁を背にして居るため守る場所は限られている。
  そして、クラーティアはその全てを1人で守っていた。
  最初はグレン59が自ら前に行ったが、1人で1匹すら抑えることが出来ず、死に戻りギリギリでリンドーが後ろに引っ張り倒して前線から離れ、その隙にクラーティアが前に出ている。
  それから既に1時間近く立つだろうか、クランメンバーは既に屋敷に到着しているがまだ合流は出来ていない。

「…………もう1時間近いのに、クラーティアさんどうしてまだ戦えるの……?」

「魔力管理とスキルのおかげですかねー」

とは言っても、何時間も守り続けるのはクラーティアにも流石に無理である。


早く………来てくれるといいんですがねー……

少し冷や汗を浮かばせながら、それから20分
待ちに待った声が聞こえてきた。



「いた!いましたよ!!」

ファーレンが指さして言った先にはクラーティアたちの姿。
そして三体のキメラがグルグルと喉を鳴らしながら足音に反応して先頭にいるファーレンを見る。


「大地に降ります地母神よ、我らに護りを!バリアー!!」

セラニーチェが杖を振り上げ言うと、薄い青の壁のようなものが現れ仲間全員の体に吸収されていく。

「生命の息吹を、フェアリーヒール!」

バリアを張っている間にリィンが4人に回復をかける。
一気にオールグリーンまで回復し、グレン59は体を触りながら起き上がった。
  その間にカガリとファーレンがクラーティアの前まで走り回復によりタゲ取りしたリィンから挑発をかけて自分にタゲを向けた。

  「お前ら後衛まで下がれ」

  「助かりましたー」

  カガリの言葉にいち早く動くのはクラーティア、動けないティアラの手を掴んで走る事でリンドー達もカガリを見ながらも後をおった。
  ただ、グレン59はカガリの近くまで行き初心者用の盾を見せつける。

  「俺も壁だ、前に……」
  
  「お前も下がれ、こいつら相手しながら守るのは流石に厳しい」

  「守ってもらう必要はない!!」

  大声で言うグレン59の言葉に、後から走りよりキメラを切りつけるタクたち前衛。
 大剣を振り上げ、叩くように切る様子にリンドーはただただ口を開けて見る。
  ハンマーで叩き骨を粉砕、奥からは続々とくる弓や魔法の追加攻撃。
  そしてそれはスイのハープで何倍にも効果が膨れ上がっていた。

  「…はは、これはやられたな……」

  カガリがタゲ取りを続けながらバフ効果で上がる能力に笑いが漏れた。
  それは最初の攻撃を防いだ時より反動も少なく防御も上がっていて、更には敵にデバフも掛かっているのだろう。
  だいぶ楽に守れていた。その証拠にファーレンは苦い顔をしているし、前衛は上がったスピードと攻撃力に一瞬振り回される。
  回復量は上がり、魔法攻撃力も上がる。
しかもそれは時間が経つとともに威力が上がっているのだ。
  そのおかげでグレン59の防御力も上昇、1匹を何とか抑えていた。

  「!しまった!!」

  しかし、バフの能力が高かった為タゲがスイに移る。
  カガリ、ファーレンは再度すぐに挑発するがグレン59がタゲ変更に気付いたのは既に後衛へと走り出している所だった。

「俺が行く!」

 カガリが相手にしていたキメラに切りかかっていたタクが走り間に入り攻撃するがそれを交わしてまっすぐスイに向かう。

  「…っくそ!」

タクをかわして走るキメラが中衛間近まできた時、一番前にいた筈のカガリが盾でキメラを押さえつけていた。
ニヤリと笑い盾を持つ手に力を入れる。

  「後衛にまで行かせるなんて、そんな恥ずかしいことさせるかよ」

ギリギリと盾でキメラの動きを妨害し、地面が凹むほどに足に力を入れ、盾をおおきく振りキメラをはじき飛ばした。

  「………今、何が……」

呆然とカガリを見るグレン59。後ろで見ていたリンドーが思わず漏れたように呟いた。

  「あれはですね、突進と割り込みっていうスキルを同時に使っているんですよ」

  隣にいたリィンがニコッと笑い教えている。

  「さらに、バフでスピードがあがってるからスキル能力は更に上がってるわね」
  
  うんうん、と頷き続きを言うセラニーチェにクラーティアも頷いた。

  「………バフって、でもそれは…」

  ファーチルが困惑した様に少し後ろに居るスイを見ると、ハープを地面に起き弾き続けている。
  ファーチルの視線に気付いたスイが顔を向けると、リンドー達3人がスイを見ていて、ふんわりと笑った。
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