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第1章 はじめまして幻想郷

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なんとかセーフティエリアまで戻ったスイは汚れるのも気にしないで地面に大の字に倒れ込んだ。
息切れが中々治らず、楽器も放り出して胸を上下させる。
無我夢中でセーフティエリアを目指して走ったスイ、無意識にだが演奏しながら戦い逃げ切ってきたのだ。

「はぁ、やれば出来る…」

起きあがり木片に座り直す。
楽器を抱えて喉乾いたなー…と呟いた。
回復薬の瓶の蓋を開けてゴクッと喉を鳴らす。
爽やかな味が広がりホッと息を付き、体力も全回復、休憩した為疲れも取れた。

ぐっ…と伸びをして楽器を持ち直し立ち上がろうとした時、楽器の耐久値が落ちている事に気づく。42/100となっていてかなり減っていることがわかった。
もう一度座り直しまじまじと見てから

「あ、これはヤバいやつかな?」

と、呟いた。

えーっと、とステータスを出して耐久値回復、上昇を見てみる。
思った通り、武器や楽器防具など耐久値を上げる為のもの。

ステータスを消して楽器を持ち直し、頭の中でスキル、耐久値回復、上昇と唱えた。

「わっ!」

自身から光が溢れてきて、それが楽器にどんどん集まっていく。
全部楽器に吸い込まれたあと、スイは楽器のステータスを見て目を見開いた。

101/101 +1

「…上がった、てか増えた。」

確かに上昇してる。
なるほど、使い勝手良さそうと頷いてスイは立ち上がり又森へと向かって歩き出した。

あれからAnotherfantasiaの世界で三日間、スイはずっと1人で森に篭っていた。
もちろん空腹ゲージがある為何度か街に帰っては居たが、途中から道具袋に入れ持ち歩ける事に気づきそれからは買いだめして森から出ることなくひたすらレベル上げに力を入れたのだった。


スイ    奏者Lv16
称号・初心者奏者

体力310
攻撃力0(+8583)
防御350
スピード280
腕力32670
指力603
響かせ512(+1150)
演奏Lv12
lucky972

スキル【魅了Lv2、耐久値回復.向上Lv5、演奏短縮 Lv4、効果上昇 Lv3、拡声器Lv1、音楽補正Lv4、スタミナ減少軽減Lv3作曲Lv3スキルレベル上昇Lv2、クールタイム短縮Lv3】

新しく増えたのがスキルレベル上昇とクールタイム短縮。
スイはスキル欄から今欲しいものを選んで手に入れ戦いを続けていた。
一気に上がったレベルの為、中腹よりも奥を前より楽には倒せるようになってきた時だった。


「ゆ………油断した、くやしいぃ」

他種族の敵が複数現れ倒す事も逃げることも出来ずに死に戻りしたスイ。
無様にも地面に倒れたまま呟き、ゆっくりと体を起こす。
はぁ、と息を吐き出して立ち上がろうとする。
久しぶりの死に戻りにテンションがダダ下がりだ。

「だ、大丈夫?」

そんなスイの様子に気づい少女が控えめに声を掛けた。
少し屈んでスイの後頭部を見る女性の視線に気づいて慌てて顔を上げると、ブラウンの髪を揺らしながら聞いてきた少女の顔を見る。
アリアだった。キラリと指輪が光り、その手で髪を耳にかける。

「あ、はい。大丈夫です。」

アリアに手を貸してもらい立ち上がったスイは、お礼を言いアリアを見る。

「わぁ、可愛い!作りこんでるねー!」

手を叩いて言うアリアに、曖昧にお礼を言うとボロボロの服を指で摘まれた。

「これ、初期装備よね」

「はい」

「お金に余裕があるなら装備整えた方がいいよ、防御力とか格段に上がるから。そのままならすぐ死んじゃう」

アリアの言葉に自身を見る。
汚れはいつの間にか無くなり最初と同じ真っ白のワンピース。

「防具屋にもあるけど、露店に掘り出し物とか安価で売ってたりするし、服とかアクセとか一緒に見れるからおすすめだよ」

「わかりました、ありがとうございます」

「うん!じゃあ、またどこかで会ったら!」

手を振って離れていくアリア。
必要最低限しか話さなかったこのアリアが、後に宏であるアーサーのクランメンバーである事を知るがそれはまだ先の話である。

「装備かぁ…」

自分が来ている真っ白なワンピースを見てから周囲を見る。
確かに、今初めてログインしたばかりの新規ユーザーらしき人以外初心者装備の人はいない。
少し迷ったあと、スイは露店へと向か売ことにした。
ご飯も食べようかなー、と考えながら。
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