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第1章 はじめまして幻想郷
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「ぃよし、 終わり!」
剣に着いた血を振って飛ばしたタクは、 剣を腰にしまい武装解除した。
グッ…と伸びをしたタクのまわりには切られたウルフが横たわっているがタク自身に目立った怪我は見つけられない、 まだまだ元気だ。
時間の経過と共に砕けた結晶に変わってフォレストウルフが消えていき、 残ったのは所々にある白い袋。
タクがそれを拾うと袋は消えて手元に回復薬が残った。
ドロップアイテムである。
「これがドロップアイテムです。 倒すとランダムでおちるんですよ!」
数個の袋をスイの手に置くリィン。
全て回復薬に変わったその初心者用の回復薬をスイはまじまじと見ると、
「ここはあんまりドロップは期待出来ないんですよね」
リィンは苦笑しながらも教えてくれた。
そして自分の分を仕舞うリィンが、 身動きしないスイに口を開く。
「ドロップは山分けなので、これはスイさんのですよ!」
「…………でも」
何もしてないから…と返そうとするが、 グレンが肩を叩いて取っとけと伝えて歩いていった。
「ゲームで回復薬は大事ですからね、 持っておいた方がいいですよ」
ふわふわと笑うリィンも、 グレンも目立った怪我はなく、 ボロボロなのはファーレンのみという結果でクエストは終了した。やはり、タク達は強いのかと再確認する。
そして、 スイはレベル9に達していた。
ファーレンはリィンに回復してもらいよろよろしながらグレンの後を追う、そんな姿を見ながら隣にいるリィンに聞くことにした。
「…リィンさん」
「はい?」
「戦うのって…楽しいですか…?」
前を歩く3人を見ながらリィンに聞く。
リィンも3人に視線を向ける。
グレンに何かを言われているのか、 ファーレンは驚き何かを聞こうとしている。
「そう… ですね。 私は楽しいです。 みんなで戦って力を合わせて、一番いいタイミングで回復出来たらそれだけで達成感もあるし強い敵を倒した後のみんなの一体感は素晴らしいですよ」
リィンが言うのは対等に戦える存在と共闘する内容だった。
スイも今後誰かと戦うだろう、 その時リィンと同じように答えられるのだろうか。
今のスイには確実に無理ではある。だが確かにあの場に立ちたいと思う気持ちもあった。
初めてのクエスト、 討伐に頭が回らなく棒立ちしていたスイだが今後みんなと同じように
奏者としての立ち回りは?
この職業は批判されて居たがそのままでいいのか…
スイの悩みは尽きない。
男性3人での会話。
「オレ、 どうでしたか?」
ファーレンはワクワクしながら聞くが、 答えはタクの苦笑とグレンの冷たい視線だった。
それにファーレンは何かを悟ったのか眉間に皺を寄せる
「お前にはまだあのクエストは早いな」
「そうだねー」
サラッとダメだしされてファーレンは聞き間違いをしたように感じた。
「…え?」
「グレンいってたじゃん、 まだ早いって」
「ど、 どうしてですか?オレ、 ちゃんと…」
ファーレンがグレンに聞き出そうとするが、 グレンはタクに視線を向けるだけ。
タクはグレンに頷きファーレンの肩を叩く。
「ファーレンはさ、 転職したって言ってたよな?」
「え…は、 はい。」
「前は前衛?」
「そうです」
頷くファーレンに、 だよなーと返事するタク。
「ファーレンはさ、 まず盾職をもっと使いこなした方がいいよ。んー、 このままだったら自分よりも強い敵と戦う時はしんどいかなー」
苦笑して言うタクにファーレンは首をかしげていたのだった。
まだ、 盾職がどう動いたらいいかファーレンはわかっていなかった。
パーティでのクエストで、 周りに他プレイヤーがいるってこと
意識したらもっと動きが変わってくるし、 無茶はしなくなると思うよ
そう言うタクに、 ファーレンは考え込んだ。
「カガリとさ、 話してみなよ」
同じ盾職であるカガリと、 そう言うタクにファーレンは静かに頷いた。
剣に着いた血を振って飛ばしたタクは、 剣を腰にしまい武装解除した。
グッ…と伸びをしたタクのまわりには切られたウルフが横たわっているがタク自身に目立った怪我は見つけられない、 まだまだ元気だ。
時間の経過と共に砕けた結晶に変わってフォレストウルフが消えていき、 残ったのは所々にある白い袋。
タクがそれを拾うと袋は消えて手元に回復薬が残った。
ドロップアイテムである。
「これがドロップアイテムです。 倒すとランダムでおちるんですよ!」
数個の袋をスイの手に置くリィン。
全て回復薬に変わったその初心者用の回復薬をスイはまじまじと見ると、
「ここはあんまりドロップは期待出来ないんですよね」
リィンは苦笑しながらも教えてくれた。
そして自分の分を仕舞うリィンが、 身動きしないスイに口を開く。
「ドロップは山分けなので、これはスイさんのですよ!」
「…………でも」
何もしてないから…と返そうとするが、 グレンが肩を叩いて取っとけと伝えて歩いていった。
「ゲームで回復薬は大事ですからね、 持っておいた方がいいですよ」
ふわふわと笑うリィンも、 グレンも目立った怪我はなく、 ボロボロなのはファーレンのみという結果でクエストは終了した。やはり、タク達は強いのかと再確認する。
そして、 スイはレベル9に達していた。
ファーレンはリィンに回復してもらいよろよろしながらグレンの後を追う、そんな姿を見ながら隣にいるリィンに聞くことにした。
「…リィンさん」
「はい?」
「戦うのって…楽しいですか…?」
前を歩く3人を見ながらリィンに聞く。
リィンも3人に視線を向ける。
グレンに何かを言われているのか、 ファーレンは驚き何かを聞こうとしている。
「そう… ですね。 私は楽しいです。 みんなで戦って力を合わせて、一番いいタイミングで回復出来たらそれだけで達成感もあるし強い敵を倒した後のみんなの一体感は素晴らしいですよ」
リィンが言うのは対等に戦える存在と共闘する内容だった。
スイも今後誰かと戦うだろう、 その時リィンと同じように答えられるのだろうか。
今のスイには確実に無理ではある。だが確かにあの場に立ちたいと思う気持ちもあった。
初めてのクエスト、 討伐に頭が回らなく棒立ちしていたスイだが今後みんなと同じように
奏者としての立ち回りは?
この職業は批判されて居たがそのままでいいのか…
スイの悩みは尽きない。
男性3人での会話。
「オレ、 どうでしたか?」
ファーレンはワクワクしながら聞くが、 答えはタクの苦笑とグレンの冷たい視線だった。
それにファーレンは何かを悟ったのか眉間に皺を寄せる
「お前にはまだあのクエストは早いな」
「そうだねー」
サラッとダメだしされてファーレンは聞き間違いをしたように感じた。
「…え?」
「グレンいってたじゃん、 まだ早いって」
「ど、 どうしてですか?オレ、 ちゃんと…」
ファーレンがグレンに聞き出そうとするが、 グレンはタクに視線を向けるだけ。
タクはグレンに頷きファーレンの肩を叩く。
「ファーレンはさ、 転職したって言ってたよな?」
「え…は、 はい。」
「前は前衛?」
「そうです」
頷くファーレンに、 だよなーと返事するタク。
「ファーレンはさ、 まず盾職をもっと使いこなした方がいいよ。んー、 このままだったら自分よりも強い敵と戦う時はしんどいかなー」
苦笑して言うタクにファーレンは首をかしげていたのだった。
まだ、 盾職がどう動いたらいいかファーレンはわかっていなかった。
パーティでのクエストで、 周りに他プレイヤーがいるってこと
意識したらもっと動きが変わってくるし、 無茶はしなくなると思うよ
そう言うタクに、 ファーレンは考え込んだ。
「カガリとさ、 話してみなよ」
同じ盾職であるカガリと、 そう言うタクにファーレンは静かに頷いた。
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