Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう

文字の大きさ
上 下
14 / 214
第1章 はじめまして幻想郷

5

しおりを挟む
地雷職と呼ばれる奏者。
サーヴァにも奏者は少ないとは聞いていたがこんなに拒絶されるとは考えてすらいなかった。
特にカガリは見るからに嫌悪感をあらわにしている。
他のメンバーも言いはしないが良い印象は無いようだ。
一体何がダメなのか。

「………なんで奏者がだめなんですか?…」

「………あー、とりあえずクラン作っちゃう?」

スイが分からず聞こうとしたが、元々の目的があったのだろう、セラニーチェと言葉が被った。
2人で驚き目を見開くが、スイは視線を地面に落とした事で話が途切れた。
それを見てからセラニーチェは悪い事しちゃったな…と思うが予定があるプレイヤーもいる。
目的を優先する事にした。


「カガリー」

「はいはい」

新しく経ちあげるクランは以前リーダーをしていたカガリがそのまま引き継ぐこととなっている。
カガリがステータスウィンドウを出して何か操作をした後、

カガリからクランフェアリーロードに勧誘されています。


と表示された。
皆は迷いなくはいを押している様子を見て、スイは迷いを抱きつつトッププレイヤーの集まるフェアリーロードに加入したのだった。

とりあえず、フェアリーロードの創設だけ。
クランハウスを買うにしても借りるにしてもそれなりの金額が掛かるため、全員で今後資金繰りをすると話している所だったのだ。
しばらくはこの酒場の2階を集まる場所にしてそれぞれで金策を巡らすとの事でこの場は纏まったのだった。



















「と、とりあえず!何かクエストしませんか?」

まだ戸惑いのみえるスイを見かねてリィンが手を合わせながらスイに言った。
スイはリィンを見てクエスト…と声を出す

「リィン、クエスト参加者はこっちに集めろ」

セラニーチェが座る場所とまた違う小さなテーブルに座りコンコンとテーブルを叩くグレン。
リィンはスイの腕を引いてテーブルに座ると、クラーティアは申し訳なさそうにリィンの肩を小さく叩いた。

「リィンごめんー、リアルで用事あるから今回は創設だけの予定だったのですよー」

「あ、そうなのですね、じゃあまた今度一緒にクエストしましょ」

「うん、よろしくーみんなもまたー」

手を振りクラーティアはログアウトした。

「さて…後衛に、回復に、初心者の奏者…足りんな」

グレンが小さく言うとタクがひょっこりと顔を出した

「前衛もいるよ!」

「タク、行くのか?」

「あったりまえでしょー!スイちゃんがいるんだからー!」

チラチラとスイを見ながら言うタクにグレンは深くため息を吐き出した。
そして、リィンがスイに言う。

「まぁ、タクこれでも強いですから」

「これでもってどーゆー事よー!リィンちゃん!」

「あ、ごめんなさい!」

フォローしたつもりがしてないリィンに、わざとらしく怒ってる様子を見せながら言うタク。
そこにファーレンがズカズカと合流した

「おれ!行きたいです!」

「あぁ、行くか?」

「はい!!」

これで前衛、盾職、回復に後衛、そして奏者という最低限のメンバーが集まった。

「みんなごめんなさいねー、アタシも行けたらイイんだけど、先約があるのよー」

頬に手を当てて言うのは細身の長身。
先程テーブルを拭いてくれた人だ。
サラサラの銀髪を結わずに背中に流す中性的な男性。
男性よりも比較的高い声で困ったように笑う。
彼はアレイスター。
女性的な話し方をするが、その背中には大きな弓を携え戦闘時は小さな針の穴を通すかのような正確な攻撃を繰り出す。

「今度アタシとも一緒に遊びましょうね」

ニコニコと笑ってスイに言うアレイスターに、こくこくと何度も頷いた。
じゃあね!そう言って部屋を出ていくアレイスターを見送りスイ達は初心者の森へと向かう事となった。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

異世界リナトリオン〜平凡な田舎娘だと思った私、実は転生者でした?!〜

青山喜太
ファンタジー
ある日、母が死んだ 孤独に暮らす少女、エイダは今日も1人分の食器を片付ける、1人で食べる朝食も慣れたものだ。 そしてそれは母が死んでからいつもと変わらない日常だった、ドアがノックされるその時までは。 これは1人の少女が世界を巻き込む巨大な秘密に立ち向かうお話。 小説家になろう様からの転載です!

Free Emblem On-line

ユキさん
ファンタジー
今の世の中、ゲームと言えばVRゲームが主流であり人々は数多のVRゲームに魅了されていく。そんなVRゲームの中で待望されていたタイトルがβテストを経て、ついに発売されたのだった。 VRMMO『Free Emblem Online』 通称『F.E.O』 自由過ぎることが売りのこのゲームを、「あんちゃんも気に入ると思うよ~。だから…ね? 一緒にやろうぜぃ♪」とのことで、βテスターの妹より一式を渡される。妹より渡された『F.E.O』、仕事もあるが…、「折角だし、やってみるとしようか。」圧倒的な世界に驚きながらも、MMO初心者である男が自由気ままに『F.E.O』を楽しむ。 ソロでユニークモンスターを討伐、武器防具やアイテムも他の追随を許さない、それでいてPCよりもNPCと仲が良い変わり者。 そんな強面悪党顔の初心者が冒険や生産においてその名を轟かし、本人の知らぬ間に世界を引っ張る存在となっていく。 なろうにも投稿してあります。だいぶ前の未完ですがね。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

左遷でしたら喜んで! 王宮魔術師の第二の人生はのんびり、もふもふ、ときどきキノコ?

みずうし
ファンタジー
旧題:左遷でしたら喜んで! 〜首席魔術師、念願の辺境スローライフを目指す〜 第二回次世代ファンタジーカップ大賞受賞作  王宮魔術師。それは魔術師界のトップに位置し、互いを蹴落とし合い高みを目指すエリート集団である。  その首席魔術師でありながら、利益重視な上層部にうんざりしていた主人公は、ついに訳あって上司に頭突きをかまし、左遷されることになってしまう。  ......が、金や出世に別に興味もない主人公にとっては逆にありがたく、喜んで辺境に向かうことにした。  左遷?それって辺境でのんびり研究し放題ってことですよね?  これはそんな左遷魔術師が、辺境の村で変わり者を介護したり、魔術を極めたり、もふもふと戯れたり、弟子を取ったり、エルフと交流したりする話。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

処理中です...