30 / 35
第4章 唯一の宝
5
しおりを挟む
それからクーフェンは30分もしないで帰って行った。
帰ったあと、 結局何しに来たんだ?と2人で首をかしげたが。
「ちょっ…………本気で言ってるのかい!?」
「………やっぱりダメでしょうか」
「ダメって言うか……嬉しいと思うよ、 でも同じくらい悲しむと思う。…………ちゃんと相談した方がいいよ、 ベルちゃん1人で決めていい事じゃないんだから……ね?」
「………はい」
スタンピードがあり、 ベルライナの周囲は目まぐるしく変わった。
それにより、 ベルライナの考えも変わってきた。
あることを強く望み迷っていたのだが、 きアイリスが来たことによりその望みは強くなった。
クーフェンに相談をし、 1人で決めるなカーマインと相談して。
そう言ったクーフェンに、 ベルライナは俯きながら頷いた。
「………えーっと、 ベルさん?いったいどうしたのかな?」
「カーマイン様、 ベルは大切な話があります」
「う…ん?大切な話?」
「はい、 ベルとカーマイン様の大切な話です」
真剣な表情でカーマインの顔を見ながら言う。
そんなベルライナなカーマインは困惑していた。
なぜなら
「えー…っと、 ベルさん、 なんでここに座ってるのかな」
「大切なお話だからです」
「…………それを俺の膝に座って言うんだ」
苦笑しながら言うカーマインは椅子に座っていて、 そのカーマインの膝に対面になる様にベルライナが座っている。両手はお膝の上である。
「まあいいか。それで?話ってなんだい?」
嬉しそうに笑ったカーマインが、 ベルライナの腰に腕を回して微笑んだ。
ベルライナは顔を赤くしながらも、 緊張で眉を寄せながらカーマインを見て言った。
「………ベルは、 カーマイン様とのお子を宿したいと思っています」
「………え?」
ベルライナの衝撃な発言にカーマインは思考停止、 優しく微笑んでいた顔がみるみるうちに困惑に変わる。
「カーマイン様、 ベルは…」
「まって、 まってベル」
「はい」
カーマインはベルライナの両腕を掴み話し続けるベルライナを遮った。
「………ベル、 何言ってるかわかってる?俺と子供をっていうのは凄く嬉しいけどね、 でもそれはベルの…」
「はい、 ベルの命が短くなります。」
「わかっているならどうして……」
「………わかっています。ベルはカーマイン様を残して先に逝ってしまいます。それは覆しようのない事実です。……そんなベルが残せる唯一の宝です。ベルが形として残せる唯一の」
「…………ベル」
「お願いします。ベルの夢を叶えさせてください。カーマイン様とベルの子供を2人で抱きしめさせて下さい」
ベルライナはカーマインの頬を手で包み込み微笑んだ。
そんなベルライナの手を握りしめて泣きそうな顔をして言った。
「………………ベルがそう言ってくれるのは凄く嬉しいよ。ベルとの子供も出来るなら欲しい……でもさ…でも、俺はベルと一緒にいたいんだよ」
「………はい、 ベルはずっと一緒にいます。ずっとです」
「………ずっと?」
「はい、 ベルはカーマイン様のお傍を離れても心はずっと一緒です」
ベルライナの意思は固い。
微笑みカーマインが頷くのを待っている。
カーマインは困ったように微笑み優しく抱きしめたが、 次第に力が篭ってくる。
「…………ベルの願いを叶えよう。ベルをお母さんにしてあげるよ」
「はい…ベルがカーマイン様をお父様にしてさしあげますね」
「………………できる限り…できる限り長く…生きて」
「………はい」
カーマインにはそれしか言えなかった。
愛しいベルライナが望んだのは、 カーマインにとってもいつか欲しいと望んでいた子供。
口には出せなかった、 ベルライナとの子供が欲しいと願っていたのだから。
それをベルライナが望んだ。
嬉しかった、 でもベルライナの命を削る行為にカーマインは心の底から喜べなかった。
それでも、 2人の宝が生まれる
その事は言葉に出来ないくらいに幸福な事だ。
2人は顔を上げて見つめあった。
ベルライナは優しく笑い、 カーマインはまだ満面の笑みは浮かべられない。
それでも2人は決めた。
見つめあってからお互いの額を合わせて目を瞑る
「「…………天帝に誓う。我らが望みし子宝を与えたまえ」」
ゆっくりと2人の唇が重なり合う。
そのまま首に手を回したベルライナに合わせるようにカーマインも腰に手を回して抱きしめあった。
幸せな時間だった。
どれくらい触れ合っていたのか、 数十分か、 もしくは数分だったのかもしれない。
リップ音と共に離れた唇。
ゆっくりと目を開けて見つめあった。
「……恥ずかしいです」
「ふっ……ベルやめてよ」
「……え?」
「可愛いこと言うのやめてよね」
ふふっ……と笑って頬にキスをしたカーマインにベルライナは真っ赤になり俯いた。
帰ったあと、 結局何しに来たんだ?と2人で首をかしげたが。
「ちょっ…………本気で言ってるのかい!?」
「………やっぱりダメでしょうか」
「ダメって言うか……嬉しいと思うよ、 でも同じくらい悲しむと思う。…………ちゃんと相談した方がいいよ、 ベルちゃん1人で決めていい事じゃないんだから……ね?」
「………はい」
スタンピードがあり、 ベルライナの周囲は目まぐるしく変わった。
それにより、 ベルライナの考えも変わってきた。
あることを強く望み迷っていたのだが、 きアイリスが来たことによりその望みは強くなった。
クーフェンに相談をし、 1人で決めるなカーマインと相談して。
そう言ったクーフェンに、 ベルライナは俯きながら頷いた。
「………えーっと、 ベルさん?いったいどうしたのかな?」
「カーマイン様、 ベルは大切な話があります」
「う…ん?大切な話?」
「はい、 ベルとカーマイン様の大切な話です」
真剣な表情でカーマインの顔を見ながら言う。
そんなベルライナなカーマインは困惑していた。
なぜなら
「えー…っと、 ベルさん、 なんでここに座ってるのかな」
「大切なお話だからです」
「…………それを俺の膝に座って言うんだ」
苦笑しながら言うカーマインは椅子に座っていて、 そのカーマインの膝に対面になる様にベルライナが座っている。両手はお膝の上である。
「まあいいか。それで?話ってなんだい?」
嬉しそうに笑ったカーマインが、 ベルライナの腰に腕を回して微笑んだ。
ベルライナは顔を赤くしながらも、 緊張で眉を寄せながらカーマインを見て言った。
「………ベルは、 カーマイン様とのお子を宿したいと思っています」
「………え?」
ベルライナの衝撃な発言にカーマインは思考停止、 優しく微笑んでいた顔がみるみるうちに困惑に変わる。
「カーマイン様、 ベルは…」
「まって、 まってベル」
「はい」
カーマインはベルライナの両腕を掴み話し続けるベルライナを遮った。
「………ベル、 何言ってるかわかってる?俺と子供をっていうのは凄く嬉しいけどね、 でもそれはベルの…」
「はい、 ベルの命が短くなります。」
「わかっているならどうして……」
「………わかっています。ベルはカーマイン様を残して先に逝ってしまいます。それは覆しようのない事実です。……そんなベルが残せる唯一の宝です。ベルが形として残せる唯一の」
「…………ベル」
「お願いします。ベルの夢を叶えさせてください。カーマイン様とベルの子供を2人で抱きしめさせて下さい」
ベルライナはカーマインの頬を手で包み込み微笑んだ。
そんなベルライナの手を握りしめて泣きそうな顔をして言った。
「………………ベルがそう言ってくれるのは凄く嬉しいよ。ベルとの子供も出来るなら欲しい……でもさ…でも、俺はベルと一緒にいたいんだよ」
「………はい、 ベルはずっと一緒にいます。ずっとです」
「………ずっと?」
「はい、 ベルはカーマイン様のお傍を離れても心はずっと一緒です」
ベルライナの意思は固い。
微笑みカーマインが頷くのを待っている。
カーマインは困ったように微笑み優しく抱きしめたが、 次第に力が篭ってくる。
「…………ベルの願いを叶えよう。ベルをお母さんにしてあげるよ」
「はい…ベルがカーマイン様をお父様にしてさしあげますね」
「………………できる限り…できる限り長く…生きて」
「………はい」
カーマインにはそれしか言えなかった。
愛しいベルライナが望んだのは、 カーマインにとってもいつか欲しいと望んでいた子供。
口には出せなかった、 ベルライナとの子供が欲しいと願っていたのだから。
それをベルライナが望んだ。
嬉しかった、 でもベルライナの命を削る行為にカーマインは心の底から喜べなかった。
それでも、 2人の宝が生まれる
その事は言葉に出来ないくらいに幸福な事だ。
2人は顔を上げて見つめあった。
ベルライナは優しく笑い、 カーマインはまだ満面の笑みは浮かべられない。
それでも2人は決めた。
見つめあってからお互いの額を合わせて目を瞑る
「「…………天帝に誓う。我らが望みし子宝を与えたまえ」」
ゆっくりと2人の唇が重なり合う。
そのまま首に手を回したベルライナに合わせるようにカーマインも腰に手を回して抱きしめあった。
幸せな時間だった。
どれくらい触れ合っていたのか、 数十分か、 もしくは数分だったのかもしれない。
リップ音と共に離れた唇。
ゆっくりと目を開けて見つめあった。
「……恥ずかしいです」
「ふっ……ベルやめてよ」
「……え?」
「可愛いこと言うのやめてよね」
ふふっ……と笑って頬にキスをしたカーマインにベルライナは真っ赤になり俯いた。
0
お気に入りに追加
57
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

モブのメイドが腹黒公爵様に捕まりました
ベル
恋愛
皆さまお久しぶりです。メイドAです。
名前をつけられもしなかった私が主人公になるなんて誰が思ったでしょうか。
ええ。私は今非常に困惑しております。
私はザーグ公爵家に仕えるメイド。そして奥様のソフィア様のもと、楽しく時に生温かい微笑みを浮かべながら日々仕事に励んでおり、平和な生活を送らせていただいておりました。
...あの腹黒が現れるまでは。
『無口な旦那様は妻が可愛くて仕方ない』のサイドストーリーです。
個人的に好きだった二人を今回は主役にしてみました。

甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。

【完結】勤労令嬢、街へ行く〜令嬢なのに下働きさせられていた私を養女にしてくれた侯爵様が溺愛してくれるので、国いちばんのレディを目指します〜
鈴木 桜
恋愛
貧乏男爵の妾の子である8歳のジリアンは、使用人ゼロの家で勤労の日々を送っていた。
誰よりも早く起きて畑を耕し、家族の食事を準備し、屋敷を隅々まで掃除し……。
幸いジリアンは【魔法】が使えたので、一人でも仕事をこなすことができていた。
ある夏の日、彼女の運命を大きく変える出来事が起こる。
一人の客人をもてなしたのだ。
その客人は戦争の英雄クリフォード・マクリーン侯爵の使いであり、ジリアンが【魔法の天才】であることに気づくのだった。
【魔法】が『武器』ではなく『生活』のために使われるようになる時代の転換期に、ジリアンは戦争の英雄の養女として迎えられることになる。
彼女は「働かせてください」と訴え続けた。そうしなければ、追い出されると思ったから。
そんな彼女に、周囲の大人たちは目一杯の愛情を注ぎ続けた。
そして、ジリアンは少しずつ子供らしさを取り戻していく。
やがてジリアンは17歳に成長し、新しく設立された王立魔法学院に入学することに。
ところが、マクリーン侯爵は渋い顔で、
「男子生徒と目を合わせるな。微笑みかけるな」と言うのだった。
学院には幼馴染の謎の少年アレンや、かつてジリアンをこき使っていた腹違いの姉もいて──。
☆第2部完結しました☆
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁
結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【決してご迷惑はお掛けしません。どうか私をここに置いて頂けませんか?】
妾腹の娘として厄介者扱いを受けていたアリアドネは姉の身代わりとして暴君として名高い辺境伯に嫁がされる。結婚すれば幸せになれるかもしれないと淡い期待を抱いていたのも束の間。望まぬ花嫁を押し付けられたとして夫となるべく辺境伯に初対面で冷たい言葉を投げつけらた。さらに城から追い出されそうになるものの、ある人物に救われて下働きとして置いてもらえる事になるのだった―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる