[完結]サクリファイス~主従の契約

くみたろう

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第4章 唯一の宝

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「…………ふぅーん、 なるほどねー」

部屋を片付け再度ティーセットを用意したベルライナは、 今度こそカーマイン達にお茶を振舞った。
クーフェンはそれを飲みながら頷く。

「ジーヴスなんて!有り得ませんよね!クーフェン!!」

「いや、 私的には君がありえないよ、 アイリス」

「どうしてですの!!」

テーブルを叩き立ち上がるアイリスに、 クーフェンは落ち着きなよ。 とカップ片手に上目遣いで言った。

「誰が誰を好きになるとか、 種族とかさ。つまりは個人の自由でしょ?それをアイリスが止める権利なんてないじゃないか。ジーヴスが恋愛対象ではダメ?それならアイリスはリアルドと恋愛すればいい」

「だから!私はカーマインと!」

「いや、 そもそも振られてるじゃないか」

「っ!」

「自分の主張だけ言ってカーマインを困らせるのはただのわがままだよ?アイリスはそれをわかっているのかい?」

  2人が話すのを黙って聞いているカーマインにハラハラしているベルライナ。
いつもの雰囲気とだいぶ違うクーフェンにアイリスは驚きつつも必死に言葉を返していた。
しかし、 振られているの言葉にアイリスはショックで力なく椅子に座った。

「だって…私………私は………」

俯き泣き出したアイリスに、 クーフェンははぁ…と息を吐きカーマインを見て

「モテる男はつらいねぇぇ」

「まったくだね」









 アイリスは落胆し、 オルセンに抱えられるように帰って行った。
オルセンもカーマインとベルライナ付き合うと知った時、 目を見開きベルライナを見たがベルライナはオルセンを見ることすらなかった。
アイリスを抱えた後ベルライナへ視線を向けたがカーマインと話をしていて入れる余地はないのかと、 こちらも落胆していたのだった。


「アイリスだけじゃないみたいだよ」

「なにが?」

「スタンピードにかこつけて結婚を迫るの。多分アイリスもそんな話を聞いて無理やり言ってきたんじゃないかな」

はぁー…と深く息を吐き出すクーフェンはそう言ってから言葉を選ぶように口を開いた。

「……あと、 ジーヴスとの恋愛を支持してるリアルドも増えたみたいだよ。今回の事で仲良くしてたジーヴスが居なくなるかもしれないっていう事実に直面して……えっと……好きだって気付いた人や元から好きだった人達が…
私よりも早く死んでしまうならちゃんと想いを伝えたいって」

 恋愛としてでは無く、 
感謝してる、 いつも助かるよと伝えているリアルド達も居るようだ。
だが、 まだまだそのように思うリアルドは少数派で、 ジーヴスを奴隷のように扱うリアルドの方が多いのも事実だ。

「………私だって伝えれるなら伝えたいよ!サテラ!!大好きだよ!!愛してる!!私のサテラ帰ってきてよーー!!」

「クーフェン……」

「クーフェン様……」

「なんて顔してるんだい二人とも。サテラが帰ってこないのは分かってるしちゃんと気持ちの整理をつけたよ。………あぁーあ、 私がこんなに君の帰りを待っているっていうのにわかってないよね」


困ったように笑うクーフェンに、 2人は言葉が出なかった。






























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